爆速経営(蛯谷敏) ヤフーの経営改革で気づかされたこと
2013/11/09


爆速経営(蛯谷敏 著)は従業員5千人の大企業ヤフーの組織変革について書かれた本です。
ヤフー内部で経営改革をどのように行っていったかを知ることができます。
興味深いのは、なぜヤフーが改革を断行したかです。
経営改革が叫ばれている大企業というのはたいがいにして、
業績悪化で苦しんでいる企業です。
華々しい成果を出してきた事業が成熟し、あるいは競合の出現などにより、
かつてのような収益構造ではなくなってしまい、
構造改革の必要に迫られているといったケースです。
しかし、ヤフーはIT企業の中の優良児。
順調に高収益を出してきた企業です。
そのヤフーがなぜ、組織変革をする必要があったのでしょうか?
爆速経営(蛯谷敏 著)の中で、
ヤフーは
「高収益だがつまらない会社」
「今のヤフーは守りに入り過ぎている」
とソフトバンク社長の孫正義氏は考えていたことが明らかにされています。
その飽くなき理想像の追及が経営改革のスタートにつながったようです。
順風満帆の企業がここまでの変革に取り組むケースはかなり稀だと思います。
そういった意味でもこの爆速経営(蛯谷敏 著)は一読の価値ありです。
ところで、そもそも組織変革とは何なのか、
改めて考えてみました。
経営危機にさらされている企業が取り組む組織変革。
ヤフーのように、さらなる理想を追求して取り組む変革。
どちらも、新しい企業に生まれ変わるべく、
自らの組織構造を変えようとする活動だと思います。
しかし考えてみると、組織変革にはもう1つのケースがあることに気づきました。
それは、自然と新しい形に変わる変革です。
つまり、
変化しようとして、変化することと、
気がつくと変化していた
の違いです。
前者の組織変革に特徴的なのは、
経営者が変革の必要性を訴え、それに従業員も共感して、改革を断行するという様なイメージです。
しかし後者の場合は、
変革自体は従業員の中で意識されません。
何か別のコンセプトの中で活動をしていった結果、
気がつくと新しい組織形態に変わっているようなイメージです。
「お客様の悩みを解決する」というコンセプトに徹底的にこだわった結果、
誰が言い出した訳でもなく、自然と組織のあり方が変わってきた
というようなケースがこれに当てはまるかと思います。
このように組織変革について改めて考えてみると、
いろんなバリエーションがありそうです。
爆速経営(蛯谷敏 著)を組織改革・経営改革を考えるきっかけにしてみても
良いのではないでしょうか。

爆速経営 新生ヤフーの500日