共創スクエア

株式会社フュージョン

中堅企業が取組む現実的な業務改革とは

IT刷新を業務改革のチャンスに

代表取締役社長 広兼 修

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「この業務を全社で集約し、表計算ソフトの表で管理しませんか」
ある顧客企業からソフトウェア導入の相談を受けて、ITコンサルティング会社、株式会社フュージョンの広兼社長がアドバイスしたのは、高価なソフトウェアを導入する解決策ではなく業務を見直し簡易ツールを利用する運用案だった。

業務改革の必要性を感じている企業は多いが、実際に改革に成功している企業は少ない。そんな現状がある中、同社のITを活用した解決策の裏には広兼氏の業務改革に対する哲学が見え隠れする。企業が業務改革を成功させるには何が必要なのか、「身の丈にあった業務改革」を提唱する同氏に話を伺った。

【ビズテリア経営企画 編集部】

業務改革が進まない3つの要因

広兼 修 (Osamu Hirokane)
東京工業大学大学院修士課程終了後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社し、企業の経理・製造・人事業務におけるIT化の構想・設計・開発に従事。その後、外資ERPベンダーにてコンサルティング部門の立ち上げ、販売・物流ソフトウェアの導入責任者として従事。

1999年、経営視点および現場視点を重視したIT化支援を目的とする株式会社フュージョンを設立。 現在は、業務およびシステムのコンサルティング、IT戦略立案、プロジェクト管理支援、企業のCIO補佐などを中心に活動を行う。

業務改革が進まない主な要因は3つあります。1つ目は経営者自身に原因がある場合です。経営者が業務改革の必要性をそれほど強く感じていなかったり、社員任せにしてしまうなどです。

特に業績が順調に伸びていると、敢えてこの時期に改革を行わなくてもいいだろうと考えてしまう経営者方がいます。

しかし、業績の良いときだからこそ、次の成長機会や新たな脅威などの将来を見据えた業務改革を行うべきと我々は考えます。

2つ目の要因は、改革の推進役が原因で業務改革が進まない場合です。経営者が業務改革を進めようとして、その推進を経営幹部や経営企画部門、あるいは情報システム部門などにまかせても、思ったように推進できないことがあります。

特に経営幹部が推進役となった場合、これまで自身が構築してきた業務のやり方や進め方にこだわり過ぎ、抜本的な改革とならないことがあります。

また経営企画部や情報システム部門など、特定の部門が改革の推進役となった場合は、セクショナリズムの壁により、他部門への働きかけが不十分となり改革が進まない事があります。

そして、業務改革が進まない3つ目の要因は、現場がこれまでのやり方に固執し、変化を受け入れない場合です。経営者や推進役が業務改革を進めようとしても、現場ではその意義やメリットを理解していないことがあります。

何か変えることで、今行っている業務にマイナスの影響が出ることを現場では危惧します。自分たちが責任を負わなければならないのでは?自分たちの業務負荷が増えるのではないか?と考え、業務改革に積極的になれないのです。

このように業務改革が進まない原因は、経営者、推進役、現場の大きく3通りになりますが、それらに共通するのは、業務改革を推進した経験の有無です。業務改革をどのように進めたらよいか、そのやり方が分からず、苦戦しているのです。

少し視野を広げて考える

そもそも業務改革とは、何をすることなのでしょうか。ビジネス誌の記事で目にする業務改革の成功事例は、会社の業務全体を抜本的に変えた話だったり、大規模なリストラを行った話だったりします。

このような記事から伝わってくる業務改革のイメージは、何か壮大なプロジェクトを行うというもの。業務改革をこのような大がかりに考えている人は、実際に自社が業務改革の必要性に迫られると及び腰になってしまいます。「そんな大それたことはうちの会社ではできない」などと考えてしまうからです。

しかし、業務改革とはそのような壮大なものではある必要はありません。むしろ、もっと身近なもの、身の丈にあったものと我々は考えます。会社の置かれている状況、経営上の新しい戦略などに合わせて、少し視野を広げて現在の業務を見直すことが業務改革です。

業務改革の本質は「変える」ことではなく、変える必要性について「考える」ことです。考えた結果、業務を変えるという判断があってもいいですし、業務を当面変えないという判断があってもいいのです。

IT刷新・老朽化対策は業務改革のチャンス

では業務改革は何をきっかけに始めたらよいのでしょうか。例えば、社内にあるITの刷新や老朽化対策は、業務改革の入り口になると我々は考えています。

企業にとってITは欠かせず、業務の様々な所で活用されています。その範囲は今後ますます広がっていくでしょう。一方ITは、一度導入すれば良いというものではなく、法令改正や機器の老朽化により、見直しや刷新が必要となり定期的にコストがかかります。

このITの刷新・老朽化対応をコストと考えるのではなく、更なるIT活用のチャンスと捉えるべきだと我々は考えています

現在使用しているITは構築当時の業務を前提にしており、時代と共に変化する業務や取引内容に最適であるとは限りません。

この数年でタブレット端末やスマートフォンの普及、ネットワークの高速化、クラウドの普及により、場所を選ばない働き方ができるようになりました。これら新技術の活用により、生産性の向上や業務効率の改善を実現した企業は少なくありません。

システム刷新を機に業務改革に」成功した事例
A社は、システム刷新を機に業務標準化を中心とした業務改革に取り組み、計画通りの成果を得た

業務改革の推進のポイント

IT刷新・老朽化対策をきっかけに業務改革を始める場合では、業務改革を成功させるポイントはどこにあるでしょうか?

一番のポイントは、業務の見直しやITの構築だけでなく、ITを活用する人や組織にも見直しを入れることです。業務改革を進めるにあたり、我々では最初に経営者や担当者にインタビューを実施して現状把握を行います。

このとき見えてくるのは、「現場のスキルが不足している」、「社員のモチベーションが低い」、「組織間で意思の疎通が取れていない」など、人や組織の問題です。この問題を解決しないまま、業務やITだけを変えようとしても業務改革は失敗に終わります。ITを使い業務を行うのは、結局は人だからです。

人や組織の問題解決には概して時間がかかります。業務改革を成功させるには、人や組織の問題も計画的に対応を進めることが必要となります。

社内に見つからない業務改革の推進役

ITの刷新・老朽化対策をITの担当者や情報システム部門に任せておくと、業務改革が思うように進まない場合があります。

なぜなら、ITの担当者や情報システム部門の人材は、コンピューターの管理や運用のスキルは持っていても、他の部門を取りまとめる統率力や経営の視点で全社を見るなどの、業務改革に必要な経験を持っているとは限りません。

お客様企業の一員として業務改革を進めるCIOffice

業務改革を構想しても、それを推進する人材が社内見つからないという悩みをよくお聞きします。このような悩みを抱えるお客様への我々の回答がCIOfficeです。

ITを活用した業務改革の推進役には、ITの能力だけでなく、人や組織の問題をはじめ、様々な経営課題について各部門とコミュニケーションを図りながら、プロジェクトを進めていける人材が必要です。

CIOfficeはお客様の立場でIT活用の促進するために、促進役であるCIO(Chief Information Officer)を補佐・補完する役割と、その実行部隊を代替・補強する役割(Office)をトータルで提供するフュージョンオリジナルのサービスです。

IT刷新における業務改革においても、経営者の意図を理解し、会社全体を俯瞰しながら業務改革の推進役を補佐し、お客様企業の一員として業務改革を支援させて頂きます。

IT刷新・老朽化対策から業務改革をサポートするCIOffice

目的は「効果を出すこと」

私たちはお客様の相談に対して、ITの導入だけではない回答を心掛けています。例えば、業務システムのソフトウェアを導入したいという相談を受けた場合でも、話を聞いた結果、ソフトウェアを導入する変わりに、業務を見直し、表計算ソフトを活用し運用することを勧める場合もあります。

私たちの目的は、お客様の経営上の効果を出すことです。効果が出ないと思われる提案はしません。お客様の会社の状況を考えて、現段階で必要なIT、必要な対策を提案しています。

お客様は、最高のITが欲しいわけでも、理想の戦略が欲しいわけでもなく、お客様の身の丈にあった効果の出る解決策を求めているからです。

私たちはCIOfficeを通じて、お客様に寄り添い、効果が出る現実的な業務改革を提案し、その着実な実行をお客様の現場で支援したいと考えています。

(終わり)
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