フロンティア・マネジメント株式会社

成長戦略にのっとったM&Aとは

M&Aとコンサルティングのハイブリッドで企業を支援

代表取締役 大西 正一郎

日本社会は成熟の段階に入り、内需の拡大が難しく、中長期的には各企業が成長をすることがなかなか難しい時代になってきた。こうした中、国内外で成長が見込まれる事業を買収し、自社の成長戦略につなげる、そうした形のM&Aが、近年増えているという。新規事業に投資するよりも、事業を買収し、既存事業とのシナジー効果を通じて業績をアップさせる方が、早く結果を求められるというのが、その理由の1つだ。

しかし、M&Aを成功させることは容易ではない。買収先の経営状況の査定をはじめ、M&Aによる相乗効果があるのかどうか、買収後の経営や人事の統合、さらにはそもそもM&Aが適切な戦略なのかどうかということもある。海外の企業であれば、相手国の状況も問題となるだろう。

こうしたさまざまな問題をクリアした上で、M&Aが成功するかどうかが決まる。

M&Aからその後の経営まで、一貫した支援を行うのが、フロンティア・マネジメントの事業。代表取締役の大西正一郎氏に、その留意点について語ってもらった。

【ビズテリア経営企画 編集部】

M&Aに成長戦略を求める時代

大西 正一郎 (Shoichiro Onishi)
フロンティア・マネジメント株式会社 代表取締役
早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会弁護士登録(44期)後、奥野総合法律事務所(現、奧野総合法律事務所・外国法共同事業)、(株)産業再生機構を経て、2007年にフロンティア・マネジメント(株)を設立。2012年のフロンティア・ターンアラウンド(株)(100%子会社)設立時に、代表取締役社長に就任。2008年にアルピコホールディングス(株)取締役、2009年にJAL再生タスクフォースのメンバー、2010年に更生会社(株)ウィルコム事業管財人、2011年には内閣官房 東京電力経営・財務調査タスクフォース事務局の事務局次長を務める。

近年、アベノミクスの効果で、為替が円安となり、株価が上昇したと言われています。最近でこそ、中国経済の鈍化で少し株安にふれている面もありますが、それでも高い水準です。

では、国内の景気は回復しているのか。残念ながら、一部の大企業を除いて、ほとんどの企業は成長が鈍化しているか又は厳しい業績となっています。その理由は、消費そのものの停滞と人口減少が重なっていることです。内需主導型の産業は、成長戦略を立案するためのアイデアがないという状態ではないでしょうか。

こうした状況を抜け出すために、中長期的な成長に向けた主要な施策として、M&Aを考える企業が増えています。とりわけ、国内市場での成長が難しくなっているため、海外進出にあたって、海外の事業を買収することを検討する企業の割合は増えています。

もちろん、M&Aには資金が必要ですが、各社の余剰資金を自社株買い、新規事業または新規設備投資、配当増などの選択肢を含め、どこにまわせば企業価値(または株式価値)が最大化するのか、といった考えが背景にあります。その上で、新規事業に投資するよりも、M&Aで早く成果を出したい、ということです。

経営戦略あってのM&A

もちろん、M&Aだけが成長戦略のすべてではありませんし、M&Aが簡単に成功するというものでもありません。

事業戦略があってはじめて、M&Aが検討されるようになります。逆に、買収の意義がよくわからない、目的のはっきりしないM&Aは成功しません。

また、買収先に法的な問題がないかどうか、あるいは事業や資産に対するデューデリジェンス(適正評価手続き)ができているかどうか、といったことも大切です。とりわけ、国内の企業は一般的にROE(株主資本利益率)の低い企業が多いと思いますが、その原因が何かを掴むことは大切ですし、さらに、実質価値のない資産の有無や偶発債務など追加的な債務がないことの確認は欠かせません。

その上で、買収後に経営統合をきちんと行わなければ、既存事業とのシナジー効果が得られないということも指摘できます。

一方、M&Aに関する文化ということも問題です。海外では大企業がベンチャー企業を買収するケースがよくあります。しかし、日本では、経営者として会社を売却することが倒産の次に良くないというレピュテーション(評判)になる文化があります。したがって、多くのベンチャー企業はIPOを目指す方向で検討していますが、残念ながら有力なベンチャー企業は必ずしも多くありません。その点、日本では大企業等の社内ベンチャーのような事業の方が成功しているともいえます。

海外のM&Aの場合は、国の事情が影響してきます。数年前までは、中国企業に対するM&Aの案件が多かったのですが、尖閣諸島に関する政治問題が日中間で起きてからは、両国間での前向きな案件がめっきり減少しました。また、中国では人件費の高騰が顕著であるため、中国から撤退する日本企業が多くなっています。その一方、他のアジア諸国、アメリカでの案件は多いといえますし、特にインドは注目されています。

クロスボーダーM&Aの難しさ

「消費の停滞や人口減少などにより国内市場が鈍化していく中、中長期的な成長に向けた主要な施策として海外事業のM&Aを検討する企業が増えています。」

とはいえ、海外事業の買収は、国内以上に難しさがあります。

失敗するケースには、大きく分けて2つのパターンがあります。

1つは、日本流のやり方でマイクロマネジメントを行ってしまい、結果としてカルチャーが統合できず、買収時から企業価値が全く上がっていないようなケースです。

もう1つは、ローカライゼーションを進めるあまり、現地まかせとなってしまって、両者間のシナジー効果が全く発揮されないというケースです。

いずれも、クロスボーダーM&Aは、カルチャーや言葉の問題があるため、PMI(ポストM&Aインテグレーション)が格段に難しくなっていることが大きな原因です。とりわけ、M&Aが常時行われているアメリカと比較すると、アジアでのPMIは難しい場合も多いです。

会社を運営するように、M&Aを運営する

企業の経営戦略においては、M&Aが必ずしも不可欠ということはありません。したがって、私たちの会社では、クライアントがM&Aを検討する前段階から、コンサルティングによる経営サポートをしています。また、M&Aが行われたあとも、買収先の会社との事業統合が円滑化するように、引き続きお手伝いをしています。

私たちの会社では、M&Aアドバイス業務と経営コンサルティング業務をハイブリッドで行っており、これが特徴となっています。

サービスの流れとしては、例えば新規事業を行う場合、自社だけで行うのがいいのか、M&Aを行う方がいいのか、こうした点から検討を開始します。この場合、M&Aの対象となる会社が1年以内に見つかるとは限らないため、先に新規事業を立ち上げて、M&Aの対象となる会社の探索と実行を経営戦略や経営計画の中に位置付けるというようなケースもあります。

M&A後の支援は、大変重要です。企業同士のカルチャーの違いをきちんと融合させない限り、シナジー効果は発揮されません。しかし、統合される側として、自分たちのカルチャーを尊重してもらうことを、M&Aに応じる大前提としているケースもあります。こうした矛盾する部分を、どのようにクリアするのかも、重要なポイントです。

とはいえ、最近は大手企業でも、外資系や金融機関からM&Aに手慣れた人材を採用するケースも増えてきました。PMIの経験がある方を採用する、というケースもあります。また、弊社のような外部コンサルティング会社の社員が経営者に対するアドバイザーとして、PMIのお手伝いをするようなケースもあります。

M&Aもコンサルティングも、企業経営へのソリューション

私たちのサービスのモデルケースを紹介します。

売上げが700億円から800億円のある企業様に、経営コンサルタントとして入らせていただきました。そこで、成長戦略を立案する中、売上げ1000億円を目標とするにあたって、うち900億円を既存事業で、残りの100億円をM&Aで上積みするという計画を立てました。

このように、私たちは経営コンサルティングとM&Aの片方だけではなく、両方の手法を駆使して企業価値を上げるサポートを通常行っています。この他に、企業再生のお手伝いもさせていただいています。この3つが、私たちの事業の柱です。

一方、2015年6月から導入された「コーポレート・ガバナンス・コード」への対応も行っています。元々、コーポレート・ガバナンスは、不祥事防止のために株主が統治するメカニズムです。したがって、株主が企業を客観的に見ることができる様に、ガラス張りの経営にしていくことで、対応していくことになります。もちろん、金融機関による企業の経営監視となる「スチュアードシップ・コード」にも対応しています。

また、地方創生に不可欠な、地方にある企業を支援していくことも、これからのテーマだと考えています。地方企業の場合、終身雇用が前提となっている点や、後継者の問題などがあります。地方の企業をM&Aで受け入れる企業は少ないので、事業承継が大きなテーマとなります。また、地方銀行とのお付き合いも必要となってきます。こういったサービスについても、これから積極的に取り組んでいきたいと考えています。

私は弁護士出身で、同じく代表取締役の松岡真宏はアナリスト出身です。代表2名の経歴はコンサルティング業界ではめずらしいですし、私たちの他にも多様な専門性を持つ人材が社内にはいますので、お客様のいろいろなケースに対応できると思います。とりわけ、M&A後の企業のカルチャーづくりとマネジメントという難しいテーマは、私たちの得意とするところです。

(終わり)
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