共創スクエア

株式会社MAP経営

机上の空論にならない経営計画

ビジョンの明確化と意識改革との両面アプローチが真の経営革新を実現

代表取締役社長 浅野泰生

共創スクエア

中期経営計画という言葉を聞くと、多くの人は大企業のことを思い浮かべるのではないだろうか。しかし、そもそも経営をしていくにあたっては、計画は不可欠だ。それも、成長していくとすれば、1年単位ではなく、将来像を描く計画が必要になるだろう。だが、実際は売り上げ目標を決めてそこに向けて努力する、といったレベルの計画にとどまっている中小企業も多いのではないだろうか。

数多くの経営コンサルティング会社がある中で、MAP経営が得意とするのは、社長だけではなく幹部から社員までを巻き込んだ、高いモチベーションにつながる計画策定支援だ。

ビジョンや目標を社員と共有することで、それぞれの社員が会社の利益のために何をすればいいのか、積極的に考えるようになる。ここをスタートラインとして、会社も経営も未来に向かって変化するという。

浅野社長に経営計画策定の本質を聞いた。

【ビズテリア経営企画 編集部】

失われた20年から立ち直っていない中小企業

浅野 泰生 (Yasuo Asano)
株式会社MAP経営 代表取締役社長
1972年生まれ。愛知県一宮市出身。経営計画の立案を通じ社長の課題設定力を醸成し、行動計画の徹底と人材活用の両面からビジョン構築とその達成を支援するビジョンナビゲーター。
大学卒業後、飲料メーカーに営業職として入社。その後、大手税理士法人で会計実務に従事。
会計力を活かした新しい経営サポートを追求するため経営計画専門会社であるMAP経営に2006年に入社し、2014年1月より現職。
著書に『最強「出世」マニュアル』(マイナビ)がある。

アベノミクス効果よる景気回復の話を耳にすることが増えて来ましたが、中小企業の経営状況は、「失われた20年」からまだ変わっていません。こうしたところにも早く景気回復が及んで欲しいと思います。同時に私たちとしては今なお立ち直っていない中小企業が輝く未来に向かえるように支援していくことが使命だと考えています。

中小企業が抱える課題とは何でしょうか。これは今も昔も変わっていません。すなわち、将来のビジョンがなかなか見えにくいということです。

5ヵ年経営計画

将来のビジョンが見えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。

私たちは、まず5ヵ年の中期経営計画を立てることをお勧めしています。5年後にはこうしたいという願望があっても、そこには現状とのギャップがあると思います。このギャップが課題なのです。そこで、5年後の姿から逆算し、1年ごとに何をやっていくのか、単年度の計画を立てます。さらに、毎月の計画や部門ごとの計画、そしてそれぞれの社員の目標に落とし込んでいきます。

5年ということには意味があります。目先のことではなく、中長期的に、人、モノ、金をどのようなタイミングで手当てしていくのか、このことを考えるのに、適切な時間の長さだからです。

3つの分野で定性的な自社分析を

5年後の自社の姿と現在とのギャップを考える上で、自社の現状を分析することは欠かせません。

売上げなどの数値による定量的分析は当然必要ですが、それだけでなく、定性的な分析も必要です。

では、どのような分析が必要なのでしょうか。

1つは、販売力の現状分析です。市場の成長性、商品の品質や価格の妥当性、戦術や営業力の有無などといったことです。

2つめは、社員のあいさつがきちんとできているか、組織内のほう・れん・そうができているか、といった、会社そのものの体力分析です。

そして3つめは、中間管理職の管理力の分析です。

この3つの項目で、自社の定性的な現状を認識し、そこから自社の強みや弱みを把握することができます。こうした分析が、将来の事業領域を検討する材料となり、また、課題の克服による経営体質の強化につながっていきます。

社員のモチベーションを上げる経営計画

「5年後の自社の姿と現在とのギャップを分析し、そこで見えた課題を着実に解決して行く経営計画の策定が必要です。」

行動分析に基づく目標設定のケースとして、営業部門を例として取りあげます。

営業活動には、一連のプロセスがあります。例えば、「見込み客へのテレアポによる展示会の案内」→「展示会での商品・サービス紹介」→「アポイントメントによる訪問」→「見積書の依頼・提示」→「契約」などと言ったプロセスです。

ここで、毎月100件の見込み顧客にテレアポをかけると、その後の営業プロセスを経て契約まで至る顧客は5件だとしましょう。そこで、契約数をこの5件から7件に増やすためには、テレアポの数を100件から140件に増やせばいいという仮説を立てることができます。  中小企業の営業部門は、あまり営業プロセスの分析をしていないという傾向があります。しかし、分析してみると、課題や対策がわかってきます。

このような課題に対する対策が、行動目標となりますが、これを社長や幹部だけで決めていっては、社員のモチベーションにつながりません。

むしろ、分析したデータを社員と共有し、現場から持ち上がるようにして、行動目標を取り決めていくのがいいでしょう。

5年後の事業戦略は、社長がトップダウンで示せばいいのですが、これを実現していくための戦術は、現場からのボトムアップであるべきです。それぞれの社員が目標設定の場にいることで、同じ目標を共有し、能動的に動くことができるからです。

ビジョン実現のためのプロセス

経営計画のPDSサイクルをまわす

中期経営計画を立案するにあたって、注意するのは、上場企業の計画とは目的が違うということです。

上場企業の場合、投資家向けのIRが求められます。したがって、5ヵ年計画であれば5年ごとに策定されますし、業績予想も求められます。

しかし、中小企業の場合、IRは必要ありませんから、業績予想をする必要もありません。必要なのは、5年後の会社の姿と、そこに至るための課題の解決です。

5ヵ年計画は5年毎に作成するのではなく、毎年作成することが必要です。現在の自社の5年後と、1年後に会社のステージが上がり、経営者として成長した状態からの5年後の姿は、当然異なってくるからです。

また、経営計画は、Plan(計画)→Do(実行)→See(検証)→次のPlan というPDSサイクルでまわしていくことになります。これによって、目標の管理が行われ、5年後の自社の望ましい姿に近付いていくことになります。

PDSサイクルをわまして自社の望ましい姿に近づく

社員の意識改革が会社の業績向上に

具体的なケースとして、研修事業を行うA社があります。A社は社員1人あたりの粗利は約2,000万円もあるのですが、社長の能力に依存している状況で、社員との間にギャップがあることが課題でした。

そこで、会社のさまざまな数値を公開し、社員と共有しながら、社員自らが計画を立てるようにしました。その結果、社員による売上げが増えることで、A社の業績もアップしていきました。

同じようにして、優秀な部門長の営業力に依存している中小企業の例を考えてみましょう。1人の営業力では限界があります。仮に1人による年間売上げ3000万円が限界だとしたら、部下を4人増やし、それぞれ売り上げを1000万円ずつ上げた方が、業績向上につながることが分かります。

このように、社員との間で課題や目標の共有を図ると、売上げアップなどの経営課題を解決することができます。一見シンプルな話の様ですが、経営改革の本質なのです。

「将軍の日」を持とう

私たちは現在、全国の1,000に及ぶ会計事務所と連携することで、数多くの中小企業の支援を行っています。今後、3,000の会計事務所と連携し、研修サービスなども提供していきたいと考えています。

会計事務所だからこそできる経営支援があります。それは、中期経営計画から単年度計画の策定、経営計画発表会の開催、月次の達成管理、決算評価にいたるまでのサイクルで、MAS(Management Advisory Service)監査を行うことです。実際、一般の経営コンサルティング会社のサービスとは異なり、月次の訪問による課題の把握、解決策の検討を通じて、PDSの経営サイクルをまわしながら、さまざまなノウハウを提供しています。

また同時に、私たちは経営シミュレーションシステムも提供しています。システムとコンサルティングを融合させた、唯一無二の会社だと自負しています。この2つのサービスを通じて、私たちは未来のキャッシュフローの可視化することにより、経営者の意思決定の後押しをすることができます。

私たちのコンサルティングは、すべての業種に対応したものです。どのような業種でも、自社が描く将来像の実現へ向けて、仮設・実証・検証を、経営幹部を中心にして行うことができます。パソコンでいえば、OS(オペレーティング・システム)をバージョンアップするようなものでしょうか。

私たちは、中小企業の経営者を対象に、「将軍の日」というセミナーを行っています。これは、「毎日の業務から離れて、自社の将来像や戦略について考える日」ということです。この将軍の日を通じて、参加者には、5年後の会社のありたい姿を明確にしていただいています。まず、このセミナーへの参加から本当の経営改革を始めてみてはいかがでしょうか。

(終わり)
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