「働き方改革」社内展開プラン 共創ワークショップ

株式会社マイツ

変容する中国市場で生き残る

戦略マップによる経営の可視化を

代表取締役社長(マイツグループCEO) 池田 博義

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「戦略マップをつくることが、経営の可視化の最も重要な部分だ」

株式会社マイツ代表取締役の池田氏はこう語る。

株式会社マイツは、会計事務所をルーツとする経営コンサルティング会社である。名前の由来は、Make You Truly Successful(顧客を成功に導く)の頭文字をとったものであり、中国に進出した日本企業、中国で設立した日系企業の経営を積極的に支援している。

中国の経済成長は鈍化したと言われているが、それでもアジア最大の市場であることに変わりはなく、厳しさを増す中国市場でいかに生き残っていくのかが今後の課題となっていく。しかし池田氏は、昨今の日本企業はリスクを前にして萎縮しており、中国に進出した日系企業もまた同様だという。

そこで重要になってくるのが、経営の可視化だ。マイツでは、バランス・スコアカード(BSC)という手段を用いて、戦略マップを策定し、経営の可視化を行っている。バランス・スコアカードとはどのようなものか、また、経営の可視化の重要性とは何か、池田氏に伺った。

【ビズテリア経営企画 編集部】

リスクを恐れる日本企業

池田 博義 (Hiroyoshi Ikeda)
マイツグループCEO
株式会社マイツ 代表取締役社長
1948年生まれ。71年同志社大学経済学部卒業。75年公認会計士資格取得。同年、池田公認会計事務所、税理士池田博義事務所を開設。87年マイツを設立、代表取締役に就任。94年マイツ上海代表処開設、首席代表に就任。99年上海邁伊茲会計師事務所有限公司設立。その後、中国沿岸部にマイツグループの事務所を展開。
会計・税務の分野を中心として、法務コンサルティング、ビジネスプロセスアウトソーシング、経営支援、人事・労務コンサルティング、M&A・日中企業のビジネスマッチングなどを行う。
愛読書は「孫子の兵法」。

現在の日本企業の多くは戦略を立てられなくなっているのではないかと感じています。何か行動を起こそうとしても、リスクを恐れて萎縮してしまうのです。

しかし、前向きに事業を展開していくのであれば、リスクがあるのは当然のことです。特に中国に進出していくには、リスクがあることを覚悟するのはもちろんのこと、更にそのリスクを乗り越えるためのビジョンが見えていなければなりません。

これまで、中国に進出した日本企業の多くは、現地の日系企業としか付き合いを持ちませんでした。今現在も、リスクを考えるあまり中国人と付き合うことを躊躇している企業がほとんどです。しかし、戦略マップを策定し、固い決意を持って経営をしていれば、このようなリスクにもひるまず立ち向かえます。

例えば空調機メーカーのダイキンは、技術を盗まれるリスクを加味しながらも、中国企業との合弁会社を設立しました。その後、中国市場向けエアコンの現地生産を行い、成功をおさめています。これは、経営者の方の明確なビジョン(目標)と、リスクがあってもやろうという強い意志があっての成功だと私は思っています。

経営の可視化と戦略マップの有用性

経営の可視化とは、経営者の掲げる目標やそれに向かう戦略、強い意志を見せることだと私は思っています。

そのために有用なのが、バランス・スコアカード作成の過程にある戦略マップです。マイツでは、バランス・スコアカードは全体のものだけでなく、各事業部、さらには個人レベルまで落とし込んで作ります。

具体的にバランス・スコアカードを作成するにはまず「現状分析」を行い、課題や問題点を抽出します。その後、その課題に対する「ミッション・目標」をたて、目標を達成するための「戦略マップ」を策定します。そして戦略をさらに「毎月の計画」として具体的に落とし込み、実行していきます。最後に「自己分析」をし、結果と目標の差異を分析します。それをまた来期の「現状分析」として、サイクルを回していくのです。また、その過程で目標を数値化していくとなお効果的です。

より有用な戦略マップを策定するために必要なのは、「ミッション・目標」で定めた大きな最終目標を、「財務の視点」・「顧客の視点」・「業務プロセスの視点」・「人材の視点」の4視点からさらに検証することです。そして、その4つの視点から見た最終目標達成のためのプロセスを定めます。プロセスは、すべて連鎖しながら最終目標につながっていかなければなりませんので、各視点のばらばらにあがってきたプロセスを、何が必要か取捨選択し、つなげていくことが重要です。

また、戦略マップは社長以下経営者だけでなく各部門のリーダーも参加させ、策定することが重要です。経営陣からのトップダウンだけではなく、現場からのボトムアップを取り入れることで、現場も自分の目標として考えるようになり、戦略に取り組む情熱も違ったものになっていきます。

バランス・スコアカードができるまで

戦略をいかに実行するか

「生き残るためには、経営トップ自らが戦略実行の強い意志を示すことが必要です。」

せっかく戦略マップの策定をし、経営を可視化したとしても、実行できなければ絵に描いた餅になってしまいます。戦略の実行にあたってはまず、経営者の「これを実行する」という強い意志と、「やれ!」という一声が必要です。そしてその後は、経営者自らがこまめなチェックをしていきましょう。一声かけたからと言って、すべてを部下任せにしていては、何の成果もありません。

実際に、戦略をたてるというところまではバランス・スコアカードやコンサルティング会社の導入でできますが、この一声をかけられる経営者が今の日本企業には少ないのです。

経営者に戦略を実行していく気概が乏しければ経営は改善されない、これは当然のことのように思えますが、今の日本企業の多くは、経営者がサラリーマン化しているため、自社の経営実態すら把握できていない場合が多いと感じます。こうした状況では、これからの激動の時代にはついていけません。

バランス・スコアカードの浸透
全社レベルから個人レベルまで、各レベル間での目標のすり合わせを行って浸透を図ります。

更に、戦略を実行していく組織そのものの問題も考えなければなりません。戦略に対する部門間での役割分担があいまいだと十分に実行されませんので、各部門に経営者と同じように、戦略実行のための強い意志を持ったリーダーが必要です。

経営を可視化することで、縦割りの組織ではなくなり、他の部門の業務が分かるようになりますので、情報の共有化が進みます。これも戦略の実行に不可欠です。

そして、初めに申し上げたこまめなチェックは、PDCAサイクルが上手く回っているかどうかで判断していきます。経営の可視化(戦略マップの策定)をしっかりしていれば、PDCAサイクルは自然と回っていくのです。

中国市場はこれからが本当の競争

かつて中国経済は、年率10%の成長をしてきた時代がありました。何もしなくても、売り上げが10%伸びる市場だったのです。しかし、これからはそうはいきません。これから先こそ、本当の経営が必要となる時代になるのです。

アジアにはおよそ40億人の人が生活しています。当然、当社も中国以外にも拠点を進出させています。それでも、中国市場にとってかわるほど大きな市場はアジアにはありません。

今までは、中国に工場を建設し安価な労働力を活用した、加工生産型の進出が主流でした。そして中国で生産されたものを日本に戻し、あくまで日本の中で流通させてきたのです。しかしこれからは、中国市場の中で戦うことになります。中国では何が求められているのかを考え、中国の消費者ニーズに合わせた事業をすることが必要となってきます。そして更にその先には、中国で成功した製品が日本市場に入ってくる、という今とは真逆の時代が待っているでしょう。

日本企業には中国企業を警戒するところがあります。しかし、中国でバリバリやっている民営企業と結び付かないと、中国市場での成功はありえません。また、中国企業からの資本出資についても拒否反応がありますが、これも、日本企業が米国のファンドに買われていることに比べれば、リスクが高いとは思いません。

中国でのさまざまなビジネス支援

我々は日本企業の中国進出を支援しています。元々は、会計や税務の分野を専門としてきましたが、中国の実態を見ていると、むしろ経営の分野から支援することが必要だと考え、現在は経営コンサルティング事業も行っています。

最近では、中国から撤退する日本企業を支援することも増えてきました。撤退するといっても、現地法人で雇用している方々への対応や清算決議の承認、最終的な税の支払い、登記抹消など、2~3年はかかります。そこで、現地法人を再生させて他社に売却するという方法をとり、撤退の時間を短縮するということもあります。実際に、当社が現地法人を買収し、再生させたケースもあります。

我々は中国企業にも成長してもらいたいと考えておりますので、日本企業と同様にコンサルティングを提供し、バランス・スコアカードを積極的に勧めています。日本企業もまた、そうした想いを持って中国企業と結び付いて欲しいと思います。

ビジネスは、私利私欲が先に立つと必ず失敗します。「先義後利」の心構えこそ、イノベーターのひとつの極意だと思います。

(終わり)
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