株式会社オウケイウェイヴ

「困ったこと」のビックデータ解析が、マーケティングの鍵に

日本最大級のQ&Aサイト「OKWave」から見える本当の顧客ニーズとは

代表取締役社長 兼元謙任

オウケイウェイヴが運営する日本最大級のQ&Aサイト。ここには、日常の素朴な疑問から、商品・サービスへの問い合わせなど、数多くの質問が寄せられる。回答するのは、同サイトの会員をはじめ、特定分野の専門家、商品・サービスを提供しているメーカーの担当者など様々だ。それぞれがそれぞれの目線で、質問者の「困ったこと」を解決してくれる。回答に対する「ありがとう」のメッセージは、4500万件に近付いている。

このサイトの最大の魅力は、困ったことを互いに助け合うことで充実度の高いコミュニケーションを創り出していること。その結果、顧客ニーズを知る手がかりになる膨大なビックデータが蓄積されていることだ。ネット検索やソーシャル・メディアとは異なるネットワークを創り出す、オウケイウェイヴがもたらす価値とはどんなものなのか。

同社の代表取締役社長、兼元謙任氏がマーケティングの本質を語る。

【ビズテリア経営企画 編集部】

マーケティングでは、顧客ニーズよりも「困っている」ことを知る

兼元 謙任 (Kaneto Kanemoto)
株式会社オウケイウェイヴ 代表取締役社長
1966年7月22日、愛知県生まれ。愛知県立芸術大学卒業、株式会社GK京都、株式会社ダイワ、株式会社イソラコミュニケーションズを経て、1999年に創業。名証セントレックス上場(3808)。
オウケイウェイヴは互い助け合いの場の創造を目的とした日本初、最大級のQ&Aサイト「OKWave」ならびに著名人との課金Q&Aサイトの運営、国内市場シェア最大のFAQシステム「OKBiz」等の企業向けサービスを提供。
主な著書に『グーグルを超える日』(ソフトバンク クリエイティブ)、『ホームレスからのリベンジ』(小学館)、『ホームレスだった社長が伝えたい働く意味』(大和書房)など。

顧客の要望に応えようと努力しても、なかなか顧客満足度が上がらずに悩んでいる企業は少なくありません。確かに、「もっとこうしてほしい」というような顧客の要望を聞くことは必要です。しかし、それだけでは十分とは言えません。

それよりも、「困っていること」を知ることが重要です。マーケティング戦略を考える上で、まず行うべきことは、顧客の要望の背景にある悩みや課題を理解して、それを解決する商品やサービスを提供することです。

早い馬車を作らなかったフォード

世界の自動車王と言われたフォード・モーターの創業者、ヘンリー・フォードはこんなことを言ったそうです。

「顧客のニーズに応えていたら、私は自動車ではなく、もっと早く走れる馬車を作っていたでしょう」と。

自動車がまだ世の中になかった時代には、当時主要な移動手段の1つであった馬車について、「もっと早く走れる馬車が欲しい」などといった改善の声がたくさんありました。しかし、その要望の背後にあるのは、馬車そのものではなく、「大切な約束に遅れてしまう」、「大事な会議に出席できなくなる」といった悩みであり、あるいは「いつも遅れない様にしたい」と言った課題なのです。

そのような、「困ったこと」を解決する手段として、ヘンリー・フォードは内燃機関で駆動する乗り物、すなわち自動車を市場に投入して、大きな成功を収めることができました。

この100年以上も前の話は単なる昔話で終わることはなく、今の企業経営にも大変重要な示唆を与えてくれます。それは顧客の表面的なニーズを聞くだけではなく、その奥底にある「困ったこと」を知ることが重要であるということです。

早く走れる馬車ではなく、自動車を作ったフォード

「困ったこと」のビックデータが蓄積されているOKWave

では、世の中の「困ったこと」はどのようにして知ればいいでしょうか。情報化社会と言われて久しい今日、インターネット上には無数の情報が溢れています。その中には、次の商品・サービスの企画や開発のヒントとなる「困ったこと」が埋もれているはずです。それを的確に探し出して、自社のマーケティング戦略を構築できれば、他社に対する競争優位を確実なものに出来るでしょう。

どうすればそれが可能か。私達が運営している日本最大級のQ&Aサイト「OKWave」なら、その答えがあります。OKWaveはインターネット上の誰かの質問に対して、また別の誰かが答えるという、Q&A形式に特化した情報交換コミュニティサイトです。毎月約3,500万人ものユーザーがこのサイトを訪問し、1億ページビューを超える閲覧数があります。(2015年7月現在)

この巨大なQ&Aサイトには、質問という形で人々が投稿した3,400万件(2015年7月現在)以上の膨大な「困ったこと」がビックデータとして蓄積されています。私達はこれを最新のIT技術を用いて分析し、どのような顧客ニーズがあるのかを可視化することで、企業の経営戦略やマーケティングの支援を行っています。

Q&A形式のOKWaveだから可能な緻密なニーズ分析

他のインターネット上のサイトでも顧客の声を拾う事は可能です。しかし、OKWaveは数あるネット上のサービスの中でも、世の中の「困ったこと」を分析する上で、最も適したビックデータを保有していると私達は考えています。

その理由はQ&A形式という構造にあります。確かに、他のネット上のサービス、例えば、ソーシャル・メディアなどでも、ユーザーのたくさんの書き込みがあり、その中からも顧客ニーズを分析できるかもしれません。しかしそこには限界があります。

例えば、ソーシャル・メディアで、「この商品はいいね!」という書き込みがあったとします。それは、その商品に対する肯定的なコメントだと言えます。しかし、そのユーザーがどの程度、その商品を評価しているのか、何となく良いイメージを持っただけなのか、あるいは、直ぐにでもその商品を買いたい強い衝動なのか、と言ったそのユーザーの感じた深度までは知ることができません。

世の中には、テキストマイニングや人工知能などのような最新の技術を用いて、ネット上にある情報を収集・分析しようとする試みがあるのも事実ですが、ソーシャル・メディアに代表されるようなユーザーが自由形式でコメント投稿できるサイトでは、ユーザーの感じた微妙なニュアンスは投稿の際にそげ落ちて、「いいね!」などといった簡略化された表現でサイトに蓄積されてしまいます。これでは、後から情報を分析しようとしても、そこには限界があると言わざるを得ません。

これに対して私達の運営しているOKWaveでは、Q&A形式に特化したサイトという特性上、ユーザーは質問を投稿する際には、なるべく詳細かつ具体的な内容を書きこもうとします。そうすることで、より適切な回答、より多くの回答をもらうことが期待できるからです。この結果、OKWaveでは人々の様々な「困ったこと」についての緻密な情報をビックデータとして蓄積することに成功しています。

OKWaveは世の中の「困った」を分析し、
マーケティングに活かせる巨大なビックデータ

ネット検索、ソーシャル・メディアの限界

Q&A形式が顧客ニーズ分析に最適であることを述べましたが、では、そもそも何故、OKWaveは巨大なビックデータを持つことができるのでしょうか。

それは、Googleなどのネット検索サービスや、FacebookやTwitterなどのソーシャル・メディアにはない特性がネットユーザーを引き付けているからです。

ネット検索を考えてみましょう。例えば、ある機器の使い方を調べようと、その機器の名前で検索するとします。そうすると、検索結果に上位表示されるのは、その機器を販売している量販店のサイトがほとんどで、使い方を説明しているサイトを見つけられない場合が多くあります。つまりネット検索では、いわゆる「売り込み」の情報が溢れていて、本当に知りたい情報を見つけられないことがよく起こります。これに対してOKWaveでは「○○の機器が動かない。どうしたらいいでしょうか?」のような「困っていること」を起点に知りたい情報を探すことができます。

またソーシャル・メディアへのコメント投稿を考えてみましょう。投稿コメントは、時系列情報として最新のものが一番先頭に表示されます。上から下にどんどん流れて行くフロー型の情報です。投稿した内容は時間と共に古くなり、次第にアクセスされなくなります。これに対してOKWaveは必要とされる情報はいつまでもユーザーにアクセスされ続けるストック型の情報です。

このようにOKWaveはネット検索やソーシャル・メディアでは実現できないQ&A機能を提供することで、日々拡大し続けるネット空間にあって、大きな役割を果たし続けています。

「互い助け合いの場の創造」への共感

また私達は「互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与する」という企業理念を掲げています。これは長年、Q&Aサイトを運営する中で、私達の本当の価値は何なのかについて、何度も議論し、リファインして行きついた結論です。質問と答えというシンプルな形でのコミュニケーションを通じて、ネットユーザーが互いに助け合い、その結果、新しい価値が生み出され、ビックデータとして蓄積される。そのような場がOKWaveであるという信条を表したものです。

ネット空間の中でこのような人間味ある場を提供したいという想いが、多くのネットユーザーに支持され続けたからこそ、OKWaveは日本最大級のQ&Aサイトに成長することが出来たのだと思います。これからも、この「困ったこと」のビックデータを活用して、企業の経営戦略やマーケティングを支援して行きたいと考えています。

(終わり)
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