共創スクエア

株式会社コムニコ

ソーシャルメディアはエンゲージメントを高める所

顧客に求められるコンテンツから始まるコミュニケーション

代表取締役社長 林雅之

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近年、企業のマーケティング活動は大きく変化している。インターネットが普及したことで、マスメディアを活用した広告だけではなく、ホームページやブログ、さらにFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを使ったマーケティング活動も盛んになっている。

株式会社コムニコは、FacebookやTwitterの日本語版が登場した2008年から、企業のソーシャルメディアマーケティングを支援している。

ソーシャルメディアマーケティングは、マスメディアによるマーケティングとは様々な点で異なる。例えば、ユーザーが企業の投稿に対してコメントを入れ、そこからコミュニケーションが始まり、ユーザーがファンとなってエンゲージメントを高めていくことにもつながる。

とはいえ、どの企業もソーシャルメディアマーケティングで成功しているわけではない。ではどうすればいいのか、株式会社コムニコ代表取締役社長の林雅之氏が成功のポイントについて語る。

【ビズテリア経営企画 編集部】

マーケティングでは何を考えればいいか

林 雅之 (Masayuki Hayashi)
生年月日:1972年3月6日生まれ
出身地:東京
大学:立命館大学法学部卒業
株式会社エル・エム・ジー 代表取締役社長
株式会社コムニコ 代表取締役社長
株式会社マーケティングエンジン 代表取締役

昔はテレビや新聞などの4大マスメディアにしか情報を出す経路がなかったものが、インターネットができて、ソーシャルメディアが使われるようになりました。このソーシャルメディアは、新たなチャネルとして重要度が増しています。

当社にソーシャルメディアマーケティングに関して相談に訪れる企業には、大きく分けて2つのパターンがあります。

1つは、ソーシャルメディアにまだ取り組んだことがなく、これから始めたいという企業。もう1つは、すでに取り組んでいるのだけど、ユーザーからの反応が少ない、効果が思うように出ない、どのような情報をユーザーに届ければいいのかわからないなど、課題を抱えている企業です。

どうすればソーシャルメディアマーケティングがうまくいくのか。そもそも、マーケティングでは、情報を発信する側と受信する側がいて、情報がどういった経路で受信側に伝わるのかを考えることが重要になってきます。

必要とされる情報の提供を

マスメディアの場合、情報はダイレクトに伝わります。これに対し、ソーシャルメディアでは、ソーシャルメディア上でシェアされることで伝わる場合もあれば、「Facebookで話題の○○です」というようにテレビで取り上げられることもあります。つまり、いろいろなフェーズで情報の流通経路にからんでくるのがソーシャルメディアです。

こうした中で、適切に情報が伝わりコミュニケーションできることは、企業にとって、とても重要です。

マスメディアとソーシャルメディアでは、同じ情報でも、情報の出し方はそれぞれ工夫が必要です。

今の時代は、消費者向けの製品は差別化が難しく、ひとつひとつの特長で商品を売るのは難しい状況ですが、会社そのものへの評価や、そのブランドが好きだという、エンゲージメントを高めることが売り上げにつながっていくのではないでしょか。そして、エンゲージメントを高めるためには、マスメディアよりも接客に近いソーシャルメディアが有効に使えます。

ソーシャルメディアの情報流通経路

事例:ある飲料メーカーのケース

あるメーカーの代表的ブランドについてですが、このブランドはもうテレビCMはしていませんが、売り上げは伸びています。

ターゲットを特定の層にしぼり、フェイスブックを通じて、想い出のある商品として飲んでもらえるような情報を提供されています。すると、コアなファンがいることがわかりましたし、反応も日本の企業ページの中でもトップレベルです。

具体的に提供する情報は、この飲料に合う料理のレシピや、過去のパッケージデザイン、クイズなど。そうすることで、ユーザーとのエンゲージメントを高めている事例です。

ソーシャルメディアマーケティングのKPI

ソーシャルメディアによるマーケティングが成功しているかどうかを定量的に示すために、KPI(重要業績評価指標)は、ファン数やリーチ率、反応率、アクション率などその企業の目的にあったもので設定するといいでしょう。これを月次で分析し、反応の良いコンテンツを厚く、悪いものは差し替えていく、といったことを行うのが、一般的です。

気を付けなければいけないのは、ソーシャルメディアでそのブランドや商品と何ら関連のない、単なるプレゼントキャンペーンなどを実施して、ファン数を増やすと、本来はターゲットではない人までがファンになってしまいます。多くのファンがいるようにみえても、実際は反応率の低いアカウントになってしまいます。

ターゲット以外の方がたくさんフォローしているアカウントに対して、新しいアカウントの作成を提案することもあります。適切な方法で、ファンを増やし、その人たちに喜んでもらえるコンテンツを提供していくことが重要です。

「情報がどういった経路で受信側に伝わるのかを考えることが重要です」

ソーシャルメディアは新しい情報に出会う場

私たちはこれまで、数多くの企業のソーシャルメディアを支援してきました。そのため、ノウハウの蓄積もあります。また、厳しく結果を求められる大手企業に育てていただきました。こうした私たちの知見を提供させていただきたいと思います。

ソーシャルメディアとは、利用者にとって新しい情報に出会う場所だと言えます。インターネット上には、消費しきれないほどの情報があふれています。

しかし、ソーシャルメディアでは自分の友人などを通じて、自分に適した情報が効率的に得られます。興味あるニュースや、自分の好みに合ったレストランの情報などに、出会うことができます。また、ソーシャルメディアのつながりの中で、新しい人に出会うということもあります。

また、ソーシャルメディアマーケティングを展開する場合は、接客業だと考えていただけるといいと思います。インターネットでつながっているお客様と向き合って、情報を提供し、コミュニケーションを深めていくことで、ファンを増やしていくということなのです。

(終わり)
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