三井物産クレジットコンサルティング株式会社

「与信・債権管理」におけるアウトソーシング活用の効果

客観的判断基準が企業のリスクを低減させる

松本 和之

企業の将来不安はなくならない / リスクマネジメントの重要性
昨年9月の米リーマンブラザーズ破綻を機に、サブプライムローンを組み込んだ金融商品や株価の下落、信用収縮による資金調達の困難、需要の減少など様々なリスクが現出し、企業にとっては非常に厳しい状況でした。それから1年が経過し、新聞や雑誌などでは「金融危機は終息したのか」「金融緩和や財政拡大をどう解除していくのか」といった出口戦略の議論が目立つようになり、楽観論と慎重論が入り乱れる状況になっています。厳しかった国内景気の面に関しても「4~6月に底入れした」とか、「7~9月が底打ち」との見方が紹介されており、事実、企業の倒産件数も夏場にかけて減少してきています。直近の9月の全国企業倒産状況でみても倒産件数は減少傾向が続いています。

しかし、こうした情勢分析を実感している企業は少ないのではないでしょうか。金融機関では3月期決算を基に企業の格付け見直しが進んでいます。また、「倒産は景気底入れ後、しばらくしてから増加する」という経験則もあります。昨年10月末の緊急保証制度の活用で一息ついたとしても仕事がない場合は業績が低迷して格付けが下がる可能性が高く、資金不足からつなぎ融資を申請しても認められないという企業が増えるのではないでしょうか。これが、多くの企業が二番底を警戒する理由です。でも、“警戒感”ばかりを強くしていたのでは企業活動、業績向上は望めません。そこで今後、さらに重要になるのがリスクマネジメントということになります。
企業の信用リスクに対する意識は高いが組織・人員・規程で未整備も
どんなに景気が悪くても企業としては営業活動を行わなければなりません。むしろ、こうした厳しい環境だからこそ「もっと営業を頑張れ」と社員を叱咤するケースが増えるのではないでしょうか。しかしご承知の通り、過度な営業拡大や無計画な取引増加は結果として自社の信用リスク増大につながります。当然、それらを回避するために企業は「与信管理」「債権管理」を重視して実際に取り組まれてると思いますが、一方で、「組織や人員、規程等が整備されていない」あるいは「整備されているが今一つ機能していない」と感じている企業も多いことでしょう。その問題点の一つに専任の人員、部門がないということがあげられます。経理や経営企画が与信管理を兼務するというケースですが、今後ますます与信・債権管理が重要視されるなか、このような体制では的確な判断はできないのではないでしょうか。

企業にとって与信・債権管理は、最小限の負担で最大の効果をあげることがベストです。しかし、与信管理、債権管理は、企業の歴史が長ければながいほど、取引先が多ければおおいほど難しく、長年良好な取引関係にある相手先をあらためて審査することに抵抗を感じる場合もあるのではないでしょうか。しかし、こうしたことを効率的に、客観的に行うことこそが今求められていることです。企業としても、これまでは経験則的な視点でおこなっていた与信・債権管理を、客観性のあるものに精度アップしたいという要望があります。客観性を持たせるためには明確な与信判断の基準を持つこと、また、時間をかけて審査担当者の経験やスキルを養成することが必要になります。特に専任の組織がない場合はこうしたことは難しいですが、そうした時に与信・債権管理をアウトソースする選択肢もあると思います。
企業の“格付け”“濃淡管理”客観的判断基準が鍵に
与信・債権管理を徹底するといっても自社のすべての取引先について審査担当者が詳細に審査することは現実的ではありません。重要な与信案件や問題与信先に、より時間をかけるべきでしょうし、そのためには“濃淡管理”をする必要があります。そして、濃淡管理をするためには取引企業の“格付け”を活用し、格付けと取引額とで濃管理の対象先や問題与信先を絞り込むことが有効になります。例えば、高格付けで金額の少ない与信先は淡管理とし、営業現場での決裁も可とします。このことで審査部門の関与は最小限に留まります。逆に、低格付け・多額与信は濃管理として審査部門で精査し、上位者を決裁者にするということです。

ここで重要になるのが格付けです。格付けは自社で作成することも可能でしょうが、格付けモデルを作るには相当の専門性が必要ですし、さらに格付けごとの倒産確率を蓄積するためには時間もかかります。それ以前に、格付けには恣意性が入ることはあってはならず、客観性が求められます。当社は三井物産が約30年に亘りブラッシュアップしてきた格付けモデルを活用しています。格付け精度に対しても信頼を得ており、これに基づいた濃淡管理が即刻実現できます。また、各企業の状況に応じた格付け毎の適正与信金額の提供も可能ですし、客観的な基準としてご利用いただいています。

例えば、傘下に複数の事業会社を抱える持ち株会社Aの場合は、当社のサービスを活用することによって持ち株会社、事業会社ともに与信管理に敏感な土壌が醸成され、貸倒れ債権を運用前と比べて20%程度減少させることができました。このことで、昨今の信用収縮時においても自信を持って与信管理に当たっているようです。またIT関連事業会社Bは、与信管理関連費用を約30%削減することに成功するとともに、従来は判断に要する時間が10日程度要していたものが2~3日に大幅に短縮され、営業効率の改善にもつながりました。
与信管理マインドを高揚させる独自研修プログラムも
「この企業とどこまでの取引が可能か」「この企業と取引して大丈夫か」――。この点を客観的に判断することは企業の事業計画そのものに影響することであり、単に一人の担当者や部門で判断することではありません。経営者をはじめ全社的に取り組まなければならないものです。特に営業部門の与信管理マインドの高揚が不可欠ですが、これには研修などの形で取り組むことが効果的ではないでしょうか。当社では、「与信管理・債権管理とは何か」といった基本的なものから、「緊急対応」まで幅広く研修プログラムを揃えています。また、最近は審査体制構築に対するコンサルテーションを受けることも多く、実績も豊富です。更には債権保全へのソリューションとして取引信用保険の取扱いも数多く手掛けています。様々なケースでお客様の与信・債権管理のご支援ができるのではないかと考えていますので、お気軽にご相談ください。(終わり)
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