共創ワークショップ

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企業ステージに見合った人事の「仕組み」と「運用」のバランスを考える

人事戦略上の重要な取り組みとして

代表 小笠原 隆夫

共創ワークショップ

制度で決めないと動けない?

私どもは組織・人事コンサルティングを専門分野としていますが、ご依頼が多いテーマの一つに人事制度構築をはじめとした人事の仕組み作りがあります。

仕組みを整備しようというきっかけは、組織規模の拡大に伴う組織化など、次のステップに進むためという場合、すでに制度はあるものの、方向性が合わない、思うように機能しないなど、実態との不整合が生じてきた場合のいずれかであることが大半です。

制度作りのご依頼を頂く時、「誰がやっても同じになるように、できるだけ詳細に作ってほしい」「マネージャーたちが自分で判断できないから、制度を作らないと動けない」などと言われることがあります。仕組みに委ねる比重を高くして、運用を楽にしようという考え方です。

確かに制度化の目的に、「標準化」「具体的な基準作り」という要件はありますが、細かく規定すればそれで良いのでしょうか。

これは、ある大手企業でのお話ですが、「具体的で詳細な職務基準書が必要」との考えのもと、3年近い歳月をかけて職務基準書の整備を行ったそうです。しかし完成した頃には、仕事のやり方が変わっていたり、業務自体が無くなっていたり、新たな仕事が増えていたりと、すでに実態と乖離してしまっていたそうです。あらためて職務基準書を見直そうとしますが、膨大なドキュメント量でそう簡単にはいきません。またその間にも、現場の職務内容は変わっていきます。 せっかく作成した職務基準書は、結局あまり活かすことができない結果となってしまいました。

これは極端なケースですが、人事の仕組み作りにおいて、このような事例は往々にしてあります。

例えば、制度が細かく決められていれば、経験不足を補う事ができ、組織人事の質は担保しやすくなります。経験が少ない組織や未熟な人たちの集団ではメリットになるでしょう。

一方、仕組みが整ってくるほど、自分で判断をしなくても済む傾向があるので、いざスピード感を持った判断が必要という時の対応は遅れがちになります。大企業ほどこのような傾向があります。

仕組みに依存しすぎることの弊害は、十分に考えておく必要があります。

自己判断の運用をしたがる経営者や上司

仕組みへの依存とは反対に、運用の過程で「決めた通りに実行しない」という問題があります。

仕組みが確立していない中小企業などでは、制度運用の中で経営者や上司といった人たちから先に、手抜きや我流の運用を始めたり、以前のやり方に勝手に戻したり、自分に都合よくアレンジをしてしまうことが往々にしてあります。

その理由を聞くと、「彼は頑張ったから、もう少し金額をプラスしたい」「彼は上がりすぎだからいくらか減らそう」など、要は個別の評価結果を自分の感覚と合わせるために、とにかく鉛筆をなめたいということのようです。

確かに個別調整でやる気を増す社員もいるでしょうから、一概に悪いことばかりとは言えません。ただそこでの問題は、調整の理由や金額は完全に個人の主観であり、その妥当性を誰も説明できないということです。当事者はその調整で公正さが増すと思っている節がありますが、権限者が説明できない評価をするということは、「恣意的で公正ではない」ということを自覚する必要があります。

運用に委ねる部分が多いと、その場の状況に応じた臨機応変な対応が可能になり、個々の能力は発揮しやすくなります。

その一方では、何事にも個人差がつきやすく、一貫性のある対応は行いづらくなります。組織人数が増えるにつれてこの傾向は増し、まちまちな対応によって、社内外を問わずに相手からの信頼感を失います。

一貫性のある対応をするために、一定の仕組み作りは不可欠といえます。

最適な仕組みと運用は常に変化していくもの

このように、それぞれの企業ステージに応じた、望ましい「仕組み」と「運用」のバランスがあります。どこまで仕組みで決めて、どこから運用で調整するのかというバランスは、人事戦略上でも重要なことです。

また、このバランスは、その時々の状況によって変化していきます。

会社規模、事業内容、業績、組織構成、年齢構成や男女比ほかの人員構成などの内部的な変化から、業界構造や市場動向、景気といった外部的な変化まで、企業の周辺では常に変化が起こっています。この変化は人事戦略とも無縁ではありません。

「最適な仕組みと運用のバランスは常に変化するものである」ということは、しっかりと頭に置いておく必要があります。

企業人事が目指すところは「人的資源を活性化すること」です。そのための人事戦略であり、人事の仕組みと運用であり、それらを最終的な"業績向上"に結びつけることです。このことを見失わずにいることが大切だと思います。

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