共創ワークショップ

TOMAコンサルタンツグループ株式会社

事業承継のポイントは、経営理念の確立と浸透

100年続く企業づくりを目標にコンサルティング

代表取締役 理事長 藤間秋男

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多くの企業の創業者が最後に悩むことが、後継者がいないということだ。たとえ成功した事業であっても、次の経営者に引き継ぐことができなければ、会社は存在しつづけることはできない。

TOMAコンサルタンツグループ代表取締役の藤間秋男氏は、経営者の最後の役割は、会社をいい状態で次の経営者に引き渡すことだという。いい状態とは、いい社風であり、いい人材であり、いい商品、いいブランドが揃った状態だ。これが意味するところは、何よりも、いい会社を支えている経営理念を承継してもらうということだ。

事業がうまく承継され、100年以上続いていく、そういったしくみをつくるために、TOMAコンサルタンツグループは、会計から人事、経営、ITまであらゆるコンサルティングサービスをワンストップで提供している。何よりも、同社は1890年に開業した司法代理人(司法書士)の事業から125年続けてきた経験があり、5代目となる藤間氏自身も次の経営者への承継を準備しているという。

【ビズテリア経営企画 編集部】

社長はマラソン、会社は駅伝

藤間秋男 (Akio Toma)
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役。公認会計士、税理士、中小企業診断士、行政書士。

100年企業創りコンサルティングをライフワークとし、数多くの事業承継事例を手がける。後継者問題に悩む中堅中小企業の現場で、経営承継の実践的指導や節税対策・財務改善・自社株・相続を含む総合的戦略で好評を博し、関連セミナーを1600回以上開催している。自らが創業130年、総人数200名のTOMAグループの後継者であり、また会計事務所の開設では創業者である実体験から、お客様の立場に立った実践的アドバイス、提案を信条とする。

多くの会社で、後継者がいないことが問題となっています。実際に、日本商工会議所のアンケートでも、3分の2の経営者が、後継者がいないと答えています。また、その結果、社長の平均年齢が上がっているということも指摘できます。

しかし、私から見ると、後継者を育てる努力をしていないのだと思います。とりわけ、後継者の候補となるべき人に対しても、信じて仕事をまかせるということをしません。その一方で、自分の子供に、事業を継がなくてもいいと伝えてしまう経営者もいます。その結果、気付くと後継者がいないという状況になります。

日本IBMの社長だった椎名武雄氏は、社長就任時にすでに、次の社長を誰にするか、考えていたといいます。そして、社長を育てることが、社員を育てることにもなっていました。

社長は経営者としてマラソンを走り切ればいいのですが、会社には社員もお客様もおり、事業を続けていくことが必要です。これは、何代にもわたる経営者による駅伝なのです。

事業承継は理念の承継

では、事業承継にあたって、最初に何を考えるべきなのか。それは、経営理念の確立と浸透です。これができれば、事業承継は50%できたと考えてもいいでしょう。

誤解しないでいただきたいのは、技術や環境は常に変化しており、対応していくことが必要ということです。これに対し、理念は変化させるべきものではありません。

創業以来500年近く続く和菓子屋、とらやの経営者は「伝統は革新の連続である」と言っています。理念は変わらなくとも、事業は革新しつづけます。

任せることで人は成長する

経営理念が確立され、社員の間に浸透し、社員が経営理念どおりに行動すれば、事業を社員に任せることができます。任された社員は活き活きと働くはずです。むしろ、事業の戦術や戦略を社員の好きにさせてしまうことが、事業の規模の拡大にもつながっていきます。また、社長としては社員に任せることはこわいと思うかもしれませんが、会社が成長すれば、実際には任せざるを得ないともいえます。

唯一、社長が社員に求めるべきなのは、経営理念にしたがった行動ということです。

逆に、仕事を任せない社長は、次の社長を育てられません。仮に、自分が会長となって退いても、結局は社長に事業を任せないため、社長が育ちません。

任せていても、報・連・相はさせる

「事業承継で、まず最初に考えるべきことは経営理念の確立と浸透。そしてこの理念を継承させることが事業継承の本質です。」

私自身の会社も、事業承継の真っただ中にあります。実は来年度は、新しい代表を中心とした経営陣で事業を進めていくことになっています。経営をすべて彼らに任せます。ただし、常に報告だけはしてくれ、とお願いしています。任せていても、報・連・相を欠かさないことで、互いの信頼関係ができてきます。

もちろん、いきなり任せるというわけではありません。

実は、かつて当社は、社員40人規模になったあと、成長が止まったことがありました。当時は、私が一人でしきっていたことで、会社が私の器より大きくなれなかったからです。

このとき、松下幸之助さんの言葉に触れ、会社の理念を見直しました。その上で、理念に基づいて、社員に任せるようにしたのです。その結果、社員が自分の肩の上に乗ってくるような感覚になりました。ここから、会社が自分の器以上に成長しはじめました。

このことをきっかけにして、社員も自分のこととして会社を考えるようになりましたし、私も社員の意見に耳を傾け、尊重しています。場合によっては、私の意見が社員に否決されることすらあります。

しかし、こうした会社の文化をつくり、同じ理念の下で仕事をしていくことで、安心して次の代表に会社を任せられるようになったと思います。

自分が従うことができる人を次期社長に

事業承継といっても、自分の子供に会社を継がせるとは限りません。社員・役員の中から選んでいくことになります。

では、どのような人を選べばいいのか。私は、理念を理解し、社内での発言が多く、私心がない人を選ぶべきだと考えています。また、自分が従うことができる人であることも、大切です。一方、誰を社長にすればいいのかを、社員にアンケートで聴いてみるということも必要です。下から見る社員の意見は重要だからです。その結果、選んで間違いがなかったという確信が得られればいいでしょう。

また、同じ社長でも、初代と二代目では性格がちがってきます。初代は事業を切り開いてきた存在ですが、二代目はその会社を守りながら、さらに攻めていかなければならない、より難しい経営が求められます。しかし会社は、社長だけで経営するわけではありません。したがって、次期幹部も、しっかりと育てておく必要があります。

事業承継は10年計画で

お客様の事業承継に対するサービスでは、基本的に毎月、対策会議を行っていきます。その中で、後継者や株式、幹部など、さまざまな課題について、2時間程度の打合せを行っていきます。いろいろな課題がありますが、その点は、当社のコンサルティング集団がワンストップで対応させていただきます。

また、現社長と次期社長の二人で、事業承継の10年計画を一緒に作成して頂いています。内容は、理念、目標とする将来の会社の規模、事業内容、承継時期などです。目安としては、5年後に社長が交代し、次の5年間は前社長と新社長で並走いていくという形でしょうか。

お客様には、まずは1年契約でやっていくことをお勧めしています。その結果、事業承継に向けて、必ず進んでいくという自信が、私たちにはあります。

現社長と次期社長で理念を見直す

事業承継にあたって、会社の理念を見直すこともお願いしています。というのも、理念の内容が十分ではなく、中には理念がないというケースもあるからです。

よくあるのが、「お客様第一」という理念です。しかし、これだけでは社員は幸せになりません。また、その結果、社員には浸透しません。

大事なことは、この理念通りに行動することで、自分たちが幸せになる、社員がそのように思えることです。また、社員を大切にしなければ、お客様を幸せにすることはできません。

事業承継にはホールディングカンパニーの活用も

事業承継にあたって、親族ではない方が社長に就任した方がいいケースがよくあります。この場合、次期社長は事業を承継しないが株式を保有する親族のことを考慮しなくてはなりませんし、借入の保証などの負担もかかってきます。そのため、承継が進まないということにもなりかねません。

こうした場合、私たちはホールディングカンパニー(持ち株会社)の設立をお勧めしています。

ホールディングカンパニーの下に、100%子会社をいくつもつくることで、それぞれについて優秀な社員を社長にすることができます。販売が得意な社長、開発が得意な社長など、得意分野ごとの社長が持ち味を発揮すれば、会社は活性化します。また、持ち株会社の社長の経営能力に不足があっても、子会社の社長がそれを支えてくれます。

借入の保証は、ホールディングカンパニーが行うので、子会社の社長は保証人にならなくてすみますから、経営に集中できるでしょう。

このように、ホールディングカンパニーを設立することで、株式は親族で継承し、経営については優秀な社員から登用することができるため、事業承継においては有効な手段となります。

単に事業承継をお手伝いするのではなく、さまざまなケースに対応できるように、私たちはチームとなって、ワンストップで対応させていただいております。

(終わり)
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