共創スクエア

サンブリッジ グローバルベンチャーズ

日本のベンチャーが世界で活躍する日

米国シリコンバレーを超えるベンチャースピリットを東京で育む

取締役会長(サンブリッジグループ CEO) アレン マイナー

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「日本が好きだからです」
株式会社サンブリッジグループの創業者、アレン・マイナー氏が日本で活動する理由を聞かれて答えた言葉だ。

アメリカ人であるマイナー氏は、日本オラクルの初代代表として、同社の急成長の礎を築いた人物。そんな辣腕経営者が現在取り組んでいるのが、日本のベンチャー企業の育成だ。

1999年にサンブリッジを設立し、セールスフォース・ドットコム、オウケイウェイヴ、ガイアックス、マクロミル、ジー・モードなど数々のベンチャー企業に投資して、IPOを実現させた実績を持つ。

日本が今後も成長をしていくためには、ベンチャー企業を始めとする、様々なビジネスが立ち上がって、新しい価値を作っていく必要があるが、これからの日本のベンチャー企業に何が必要なのか、同氏にそのポイントを伺った。

【ビズテリア経営企画 編集部】

アメリカに引けを取らない日本のベンチャー企業

アレン マイナー (Allen Miner)
株式会社サンブリッジグループ創業者。日本オラクル初代代表として同社の立ち上げに貢献し、記録的成長の礎を築く。その後も米国オラクル本社のマネジメントとして活躍。

1999年に自らの資金で設立したサンブリッジの代表取締役として、アイティメディアやセールスフォース・ドットコム、オウケイウェイヴ、ガイアックス、マクロミル、ジー・モードといったベンチャー企業に投資し、7件にのぼるIPO(新規株式公開)を実現させてきた。現在までに投資してきたベンチャー企業は優に55件を超え、新事業、新産業の創出発展に貢献している。

ハイテク・ベンチャーというと、アメリカとりわけシリコンバレーをイメージすることが多いと思います。GoogleやOracle、HPなど、日本でも知られているこれらのグローバル企業は、カリフォルニア州にあるシリコンバレーと呼ばれる地域でベンチャー企業としてスタートし、今では世界有数のIT企業に成長しています。

これに対して日本では、なかなかアメリカのようにベンチャー企業が育たないと言う人がいます。しかし、日本のベンチャーも確実に育ってきています。特に起業するスタートアップの時期で比較すると、日本のベンチャーの持っている、ビジネス・アイディアやテクノロジーはシリコンバレーのそれと比べても、決して引けを取らない素晴らしいものであることが多いのです。

日本とシリコンバレーの価値観の違い

では、日本とシリコンバレーとの間にはどんな違いがあるのでしょうか。一番の違いはキャリアに対する価値観です。

日本では、大学生の卒業後の進路として、優秀な学生ほど、大手企業や官庁に就職しようとする傾向があります。そして、その中でキャリアアップをしていくことが「カッコいい」と思われています。

シリコンバレーでも、大学を卒業後に大手企業に就職しようとする学生は多いのですが、その後が日本とは違います。

優秀と言われる人は、キャリアの途中で、会社を辞めてベンチャー企業を興そうとします。またはベンチャー企業を興した同僚からその会社に誘われたりします。

つまり、優秀な人は、一度は大手企業に就職しても、人生のどこかでベンチャー企業でチャレンジをしようとします。その中には、そのまま成功して大きな会社に成長するケースもありますが、失敗することも当然あります。しかし、仮に失敗したとしても、また大手企業に戻って働くという道が残されています。

反対に、ずっと大手企業に在籍して定年退職を迎えるということは、その人にベンチャーを興す能力がなかった、またはベンチャー企業から誘いが来ないような能力の低い人だと思われてしまう雰囲気があります。

日本では如何に失敗しないかが評価されますが、シリコンバレーでは如何にチャレンジしたかが評価されます。このような価値観の違いが大きいと言えるでしょう。

東京にベンチャー・スピリットのサブカルチャーを作る

では、日本もシリコンバレーのような価値観を持つべきかと言うと、日本全体が全てそうなるべきとは思いません。しかし、日本の一部において、シリコンバレーと同じようなベンチャー・スピリットが育つ場所はあったらいいと思います。

東京はカリフォルニア州と同程度の人口があります。カリフォルニア州の中にシリコンバレーというベンチャー・スピリットが育まれる特異なエリアがあるように、東京にもベンチャーが育つようなサブカルチャーを持つ場所ができることは十分可能です。

実際、日本でもシリコンバレーと同じマインドを持った企業家を私はたくさん知っていますし、そのような人たちに資金提供を考えている人たちも増えてきていることも事実です。

私は、東京にシリコンバレーと同じような起業家マインドが育まれるサブカルチャーを作りたいと考えています。

ベンチャー起業家として成功する人

では、どんな人がベンチャー企業の経営者に向いているでしょうか。それは、ある意味、「病気」と思えるくらい自分に自信がある人です。100回ノーと言われても、決して諦めず、101回目にはイエスと言わせる確信を持てる人です。

どんな経験があるとか、どんなスキルがあるとかは関係ありません。営業系の人間なのか、それとも技術系なのかといったことも関係ありません。

絶対に成功できるという自信があって、オープン・マインドで精神的にタフな人がベンチャー起業家として成功できる人だと思います。

実は、運というは誰にでも来るものです。その運をつかむクセがあるかどうかが重要です。自分に来た運をそれが運だと認識して掴み、それを小さな成功体験にします。小さな成功が自信につながり、その成功をある意味「自分には当然のこと」と受け止めます。そうなると周りの人にもその自信は伝わり、その人に良い話がたくさん来るようになります。

ベンチャー企業の経営者に向いているのは、このように、絶対的な自信のもと、運を成功体験につなげて、また新しい運を呼び、成長の好循環を自然と作り出せる人だと思います。

十分な資金調達の必要性

ベンチャー企業の経営者の資質の問題だけでなく、その企業を育成する環境面も考える必要があります。中でも、資金調達の問題は避けて通れません。

シリコンバレーに比べると、ベンチャー企業がIPO(株式公開)前の状態で調達できる資金はまだまだ少ないと言えるでしょう。5億円、10億円くらいのまとまった資金がなければ、世界に通用するような製品を開発できる余裕は出てきません。短期的な収益を確保しようとして、長期的な視野に立った事業ができない可能性があります。

金庫に眠ったままになる調達資金

またIPOをした企業は単年度黒字が当たり前という風潮も、ベンチャー企業の成長を阻害している一因です。

意外に思うかもしれませんが、実は、IPOで調達した資金が実際の投資に使えずに眠ったままでいることが少なからずあるのです。

これはどうしてかというと、IPO後に、調達目的であった用途に資金を使おうとすると、その支出は費用として計上されるので、売り上げは順調に伸びていたとしても、場合によってはその年の決算は赤字となってしまいます。

ベンチャー企業の経営者は、株主や証券会社などから毎年黒字であることを暗に期待されている現状があります。その結果、経営者は赤字になることを恐れ、IPOした後になって初めて、「やっぱりこの資金は投資には使えない」と思ってしまうことがあります。結局そのお金は金庫に眠ったままになるという、ちょっと不思議なことが起きてしまうのです。

死の谷を何度も越えながら成長して行く

ベンチャー企業が成長していく過程は、単純な右肩上がりではありません。売り上げやシェアが伸びていく中で、その途中途中で赤字も経験し、時には経営難に陥ることも少なくありません。しかし、それを乗り越えたときに、また新しい成長をすることができます。

その様子はValley Of Death「死の谷」とも呼ばれ、この谷を何度も越えながら、ベンチャー企業は成長していきます。

ベンチャー企業にはこのような成長プロセスが不可欠であるという認識を持った上で、経営者は、売り上げのトップラインは維持しつつも、赤字を恐れず、時には思い切った先行投資をする必要があります。

また資金提供する側も、IPOそれ自体を目的とはせず、長期的な視野に立って、企業が成長するための十分な資金を供給していくことが求められています。

日本への恩返し

このように、日本にはシリコンバレーに負けないような可能性のある企業がある一方で、企業を育成するための仕組みや文化がまだ十分ではない面があります。

日本にはトヨタ、ホンダ、ソニー、パナソニックなど世界ブランドとして認知されグローバルに活躍している企業がたくさんありますが、これらの企業も何十年か前はベンチャー企業だった時代があります。今のベンチャー企業もこれら先輩企業と同じように成長できる可能性は十分あると思います。

私は、日本オラクルの社長として、数多くの日本企業のお客様に製品やサービスを提供してきました。言ってみれば、日本の経営者の方々に育てて頂き、日本オラクルも私自身も成長できたと思います。

これまでお世話になってきたこの日本という国への恩返しの意味も含めて、これからの日本のベンチャー企業が世界に展開できるグローバル企業に育つように、資金提供を始めとする様々な経営支援を行っていきたいと考えています。(終わり)

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