なぜ人材マネジメントが役に立たなくなったのか
山口憲彦 (Norihiko Yamaguchi)
1966年藤沢市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。トップコンサルタントとして数百社を担当。 毎月200名規模の研修を開催。 企業理念を柱に採用・教育・制度を確立させるコンサルティングで高い評価を得る。内閣府認定公益財団立ち上げ、 代表理事に就任。 2012年、株式会社イデア設立。2014年、アメリカ、フロイドコンサルティング社より、日本初のドリームマネジメント認定ファシリテーターの資格を取得。現実処理の方法論を伝達している。
社会経済の変化によって人材マネジメントの在り方も大きく変わろうとしています。
高度経済成長時代の日本では、企業の業績拡大はそのまま従業員のモチベーション維持につながっていました。しかしバブル崩壊後の長引く不況によって、これまでのような高い経済成長を前提とした、報酬を上げ続けてモチベーションを維持するやり方は機能しなくなりました。
また社会が成熟化したことで、一人ひとりの価値観も多様化し、幸せの感じ方も人それぞれになりました。
このような社会の大きな変化が、これまで通用していた人材マネジメントを過去のものにしてしまっています。
EH(従業員幸福度)への転換
では、これからの人材マネジメントには何が必要なのでしょうか。まず、最初に知るべきなのは従業員幸福度(EH: Employee Happiness)という考え方です。
これまでの人材・組織開発においては従業員満足度(ES: Employee Satisfaction)が重視されていました。しかし、このESが高い数値を示す組織でも「離職率が下がらない」、「従業員のモチベーションが上がらない」と言った問題が表面化しています。これはどういう事でしょうか。
ESでは待遇や労働環境など物理的要因に対する満足度を知ることができますが、人間には「働き方」や「生き方」と言った精神的要因に対する満足度も重要です。これを測る指標となるのが、従業員幸福度(EH)というものです。今後このEHを重視した新しいマネジメントが必要となっています。
EH(従業員幸福度)を高めるドリーム・マネジメント・プログラム
では、EHを高めるために企業は何ができるのでしょうか。ここに注目すべき方法があります。米国フロイドコンサルティング社が開発した「ザ・ドリーム・マネジメント・プログラム」です。
ドリーム・マネジメント・プログラムでは、経営側が従業員一人一人の「夢」の実現を具体的に支援するためのシステムを作ります。
これまでの企業経営において、経営者が従業員の個別の夢を知ろうとすることはなかったでしょう。個人の夢は、企業の成長とは何の関係もないものと考えられていたからです。
しかし、ドリーム・マネジメント・プログラムでは、経営側が従業員の夢に積極的に関与して、それを応援しようとします。従業員の夢はもはや、経営と無関係ではなく、むしろ会社の一部となっています。このことで従業員幸福度(EH)が高まり、従業員一人一人が自発的に働き出すようになるのです。
「社員の夢」が「会社の夢」につながる好循環
モチベートされた従業員の積極的な働きは会社の業績を向上させます。業績が向上すると従業員の夢がまた一歩実現に近づくことにもなります。そうすると、従業員はさらに会社のために働き、業績がまた向上。このような好循環の構造によって、組織のパフォーマンスは飛躍的に良くなるのです。

これまでの経営では企業の夢やビジョンに従業員をある意味、無理やり従わせている面があったことは否定できません。しかしドリーム・マネジメント・プログラムでは従業員一人ひとりの夢と企業の夢(ビジョン)は完全に同じ方向を向いています。このことは、これまでの経営管理の在り方を根底から覆すものと言えるでしょう。
ドリーム・マネージャーが社員の夢に寄り添う
ドリーム・マネジメント・プログラムを具体的に進めるには、まず社員一人ひとりの夢を支援する担当者としてドリームマネージャーを任命します。このドリームマネージャーが毎月個人セッションを行い社員の夢に寄り添います。最初は小さな夢を実現させて、その成功体験の積み重ねが会社を動かし、より大きな夢に繋げていくのです。
米国の一流企業で数多くの成果、次は日本で。
これは単なる理論ではなく、米国においては既に成果が実証されているメソッドです。日用消費財メーカーのP&Gを始め、タイヤメーカーのGoodYear、金融機関のWellsFargo、ハンバーガーチェーンのマクドナルドなど、米国有数の一流企業でドリーム・マネジメント・プログラムは導入され、成果を上げています。
ドリーム・マネジメント 認定証
(Dream Management Certificate)
2014年3月 取得
その成果の内容も「離職率400%の企業を5年で12%まで引き下げることが出来た」などと、目を見張るものがあります。
私達、株式会社イデアは日本で初めてドリーム・マネジメント・プログラムの認定ファシリテーターの資格を取得しました。組織の生産性やパフォーマンスの向上について、米国で数多くの実績を上げているこの新しいメソッドを日本にも導入して、組織の劇的な変化をもたらしたいと考えております。
社員一人ひとりの人生を支えるために
ドリーム・マネジメント・プログラムの開発者である、米フロイドコンサルティング社のマシュー・ケリー氏はその著書「ザ・ドリーム・マネージャー」で次の様に言っています。
「人は会社のために存在しているのではない。会社が人間のために存在するのだ。」
この言葉には単なる会社のルールではなく、社員全員の人生設計も包括するという意味がこめられています。それを全員で共有し応援し合えたら素晴らしい組織になると思いませんか?こういった組織づくりが次世代に必要な人材育成プログラムであると言えるでしょう。(終わり)