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統計学が最強の学問である (西内 啓)を読んで「仮説・検証」を考える

2013/10/06
共創スクエア

統計学が最強の学問である(西内啓 著)を読んでみて、
営業での「仮説・検証」について考えてみました。

この本の冒頭の部分では、
最近の「ビックデータ」と呼ばれるITのトレンドについて触れています。

ビックデータとは、
ソーシャルメディアに投稿された記事、
ECサイトでの購入履歴、
ICカードの利用履歴など、
データセンターに蓄積されている膨大な情報を分析して、
そこからビジネス上意味のある結論を導き出そうとする
コンセプトを指しています。

様々なIT企業がこのビッグデータの必要性を声高に主張しています。

ビックデータでは膨大な情報を分析することが前提となるので、
統計学は重要な役割を果たすはずです。

しかし、「統計学が最強の学問である」の著者、西内氏は、
その書籍の冒頭で、
このビックデータを否定的に触れています。

ビックデータそのものを否定的に言っているのではなく、
ビックデータをとりまいている現状について否定的に捉えているようです。

多くの企業がIT企業の売り文句にひっかかってしまい、
何でもかんでも「ビックデータ」という名のもとに
データ分析に安易に投資をしていることを問題視しています。

悪い例として挙げられていることの中に、
企業のブランディング調査の例がありました。

商品を購入した顧客にアンケートを実施し、
その企業の広告を見たことがあるか、
その企業についてどんなイメージを持っているか、
などを調査したそうです。

その結果、「○○%の顧客はあなたの会社に良いイメージを持っています」
のようなことが分かったということです。

このことが分かっても、その企業にどんなメリットがあるのでしょうか?
確かにこれをもって「ビックデータは凄い」と言わせるのは無理がありそうです。

西内氏はビックデータを否定しているのではありません。
統計学についての正しい理解と知識があってはじめて、
ビックデータは経営革新のツールとして活きてくると言っているようです。

そんな話を読んでいるうちに、思ったことがありました。

それは、「仮説と検証」という言葉です。

ビックデータのような大規模なデータ分析は、ただ闇雲に行えばいいのではなく、
何らかの仮説を持って臨むべきです。

つまり、このデータには、こんな情報が眠っているのではないか。
このデータから、こんな結論が言えるのではないか、
という想定です。

その仮説が正しいのか・間違っているのかを検証するために、
実際のデータ分析を行うという考え方です。

「どんな情報があるかわからないから、とりあえず分析してみよう」
「何か新しことが分かるかもしれないから、とりあえず分析してみよう」
ではダメなのです。

西内氏は統計学のリテラシーを高めることで、ビックデータを有効に使えると説明しています。
もちろん、そういったリテラシーは必要なことだとは思います。

しかし、それ以上に重要なのは、経営者あるいは担当者が、
何からの仮説を持つこと、予想を持つことです。

そのことで、調査やプロジェクトに方向性や一貫性が出てきます。

何のための調査なのか、
何を明らかにするべきなのか、
その結果、どんな経営判断につながるのか、
などが明確になってきます。

実は西内氏もその書籍の中で、次の3つのことを強調していました。

可能性: そのことは可能なのか
実現性: 可能であっても、実際の環境で実現できるのか
収益性: そして、それはコストを差し引いも利益がでるのか

このように、データ分析について、
その意味と方向性、具体的なプロセスが明確になって行けば、
ビッグデータも経営に有用な道具となり得ると思います。

「仮説と検証」は、ビックデータ以外にも様々なプロジェクトで有効な考え方です。

日々の営業活動においても、
長期的な営業戦略を構築する場合おいても、
有効です。

「どのようにして、売上を達成するのか」

そのことについての仮説が全くない中で、
闇雲に営業するのであれば、
大きな成果を得られないでしょう。

しかし、
「こうすれば売る上げがあがるはず」という何からの仮説に基づいて、
それを検証すべく、行動を起こせば、

その結果、
うまく行った場合でも、
うまくいかない場合でも、
さまざまな経験や知恵を得ることができます。

それをもとに、また新しい仮説を立てる。

その仮説と検証のサイクルをどんどん回して行くことが、
遠回りな様で、実は着実に成功に近づく道なのです。

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