松山 淳 (Jun Matsuyama)
リーダーシップ・スタイリスト/MBTI認定ユーザー。「リーダーが変われば日本の未来が変わる」を理念に、ビジネスの現場で奮闘するリーダー層を対象とした個別カウンセリング(面談・電話・メール)、講演、研修、執筆活動など幅広く活躍中。

ソニーの創業者井深大氏には盛田昭夫氏という右腕がいました。ホンダを世界レベルの自動車メーカーへと成長させた本田宗一郎氏には、藤沢武夫氏という名パートナーがいました。「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏にも高橋荒太郎氏や中尾哲二郎氏という陰の功労者がいたのです。

「リーダーシップ」という概念は「指導力」「統率力」と訳され、人の上に立つ人間にとって欠かしてならない要件とされています。その言葉を聞くと、多くの人が「個人的な強さ」をイメージすると思います。

「リーダーシップ」は、欧米から導入されました。「個」の確立された自我をもつ西洋人の思考がベースになっています。ですので「リーダーシップ理論」は「個人的な資質」に焦点を当てます。「リーダーはこうあらねばならない」という「リーダーの条件」がそれです。条件として列挙されるものには「決断力」「判断力」「察知力」「共感力」「教育力」・・・・いくらあげても切りがないでしょう。

周囲との「調和」の中に「個」を置く

しかし、日本人と西洋人の意識構造には違いがあります。西洋人の自我が「個の確立」を目指すのに対して、日本人は周囲との「調和」のなかに「個」を置こうとします。比喩を使うならば、西洋人が一本の木としての強さを求めるのに対して、日本人は森となって「全体としての強さ」を志向する、ということです。個の成果に固執した「成果主義評価制度」が組織にひずみをもたらしたのは、当然なのです。

日本人に適した「リーダーシップ」とは

この日本人特有の「心性」を考慮した時、個人的な有能さを求める「リーダーシップ論」は、実は日本の組織にはそぐわない考え方だということがわかります。「1人の強さ」ではなく、2人あるいは3人で、足りないところを補いあいながら、組織全体を統率しようとする「リーダーシップ」のかたちが、日本人に適したものです。

二重奏のことを「デュオ(duo)」、三重奏のことを「トリオ(trio)」と言いますが、部長と課長、課長と係長、係長と主任など、リーダーを組み合わせ、その結果としてより質の高い「リーダーシップ」を発揮していけばいいのです。

以上のことを「デュオ・リーダーシップ」あるいは「トリオ・リーダーシップ」という言葉で、筆者はビジネスリーダー層に対して説明してきました。リーダーが美しいハーモニー(調和)を奏でるためには、「個の強さ」よりも「組み合わせの妙」が大切であることを忘れないで下さい。

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