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人材の「本音」を生かす「採用ブランド力」の構築法とは

人材確保は「量より質」時代の採用手法

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求人は「量から質」へ

少子高齢化、さらに今後の国内における労働人口の減少という大きな課題の中で、今、企業は人材採用面での「量から質」への転換を進めています。大量採用は控えつつも、「質の高い学生」は確保したい。団塊の世代が大量に退職し、労働力の流動化が加速する国内の企業環境にあって、それが多くの企業の本音でしょう。

新卒学生の例で言えば、数年前から「質の高い学生」を巡って企業間では激しい争奪戦が繰り広げられています。「質の高い」と見られている学生には有名企業からの複数の内定が集中する一方で、09年新卒採用の有効求人倍率が2.14倍(リクルートワークス研究所調べ)の「売り手市場」でありながら、内定が一社ももらえない学生も少なからず存在しているからです。

そうした一人の「質の高い学生」に複数の企業が集中する一方で、実際の学生側の企業選定の基準はというと、多くは「就職したい人気企業ランキング」に載っているブランド力のある有名企業などを志向する傾向が根強いという現状があります。

では、そうしたブランド力には頼れない大多数の企業にとって、「質の高い学生」を確保していくためには、どうすればいいのか?結論から言えば、個々の企業としての『採用ブランド力』を強化する。それがより重要になることは言うまでもありません。

では、一般企業にとっての『採用ブランド力』とは何なのか?そのヒントを、以下の2つのケーススタディから探ってみることにしましょう。

ケーススタディ1~「ブランド」とのギャップが早期退職の一因に

仮に業界で5番手に位置する商社が新卒の学生を採用したい意向を持っていたとします。
当然、採用ターゲットの学生は競合する業界上位各社との争奪戦になるわけですが、その商社は、業界トップ商社の採用力の強さの理由として、「社会的な公共性や公益性の高さにある」と考え、同様に自社でも「公益性や公共性の高い企業」であるというブランドイメージの採用コンテンツをつくり上げ、学生向けにアピールし始めました。
すると、期待通りにそれに共感する「質の高い学生」からの応募が殺到。業界トップ商社に負けないだけの「質の高い学生」の採用という目標は見事、クリアしました。
しかし、「質の高い学生」は確保できたものの、その商社では新たな別の問題が発生しました。
それはその商社が本来持っていた「リアルブランド」とのギャップです。

もともとその商社の業界内でのカラーは「革新性」。自己価値や市場価値の向上への貪欲な姿勢が業界5番手の地位まで成長してきた源泉であり、今後のポジションアップには、同じ思いを共有できる若い世代のパワーが求められていたわけです。
ところが、「公益性や公共性の高い企業」というブランドイメージに惹かれて入社した新卒社員にしてみれば、堪りません。そのギャップに戸惑い、短期退職する者、あるいは社内でやりがいを見出せずに悩む者が相次ぐ始末です。
この商社のケースはあくまでも仮説ですが、実はこれと似たような採用ブランドの失敗事例はいろいろな業界で今、起きているのが実情です。
本来なら業界5位に位置する自社の「革新性」という『採用ブランド力』を大切にし、それを正しく磨き上げることさえすれば、その会社に相応しい人材を集めることは可能なはずです。
そうした「会社と同じ思いや考えを共有できそうな学生」に対して、自社こそが入社を志望するに相応しい企業である!と口説き、相思相愛の関係を目指す。それこそが当社の考える「真の採用ブランド」であると考えます。

ケーススタディ2~「ブランドイメージ」訴求の成功事例

では、そうした「真の採用ブランド」を構築し、実際に優秀な学生の採用率を上げたケースを、以下に紹介しておきましょう。
これは当社がサポートしたある消費財の専門メーカーのケースです。業界内では40%ものトップシェアを持つ安定企業。学生への認知度はいま一つながら、毎年10人の採用目標はクリア。個々人に対しての大きな不満はないものの、現場からは「真面目で素直だが、積極性やもっと享楽性を大事に職場の雰囲気を活性化できる人材も必要では」との声も少なからずありました。
同社の「採用コンテンツ」を精査したところ、市場や商品に対する説明が多く、どこか地味で大人しい印象を与えており、それが企業イメージとして学生に認知されているのではないか、と推測。

そこで、採用上のブランド戦略においては、堅実・安全という「安心できる企業」ではなく、自分自身にとって「働き甲斐のある企業」というイメージを学生に持ってもらうために採用コンテンツを一新。自己の能力向上に関心の高い学生には「自らの仕事が世の中に与える影響度」を、享楽性を重んじる学生に対しては「自由度の高さやプライベートの充実ぶりを、それぞれコンテンツに盛り込むことでイメージ訴求を図りました。
具体的には就職サイト上のトップ画面において、「社会貢献度を数値化した情報」を追加し、この会社で働くことの価値を提示。さらに説明会の参加者向けのリーフレットでは、「自由度の高さ」「日々の充実」を感じてもらえるように社員のプライベートにフォーカスしたコンテンツも盛り込みました。また、説明会に登場する先輩社員に関しても、ブランド戦略にもとづく人選を行いました。
その結果、当初の目的である積極性や享楽性のある学生の採用が実現できただけではなく、説明会の参加者は10%アップし、説明会から一次面接への参加者も60%弱から84%へ。さらに30%程度だった内定承諾率も50%まで引き上げられました。

リアルタイムで「学生の本音」を探る

この数年、当社には、採用面でのミスマッチを軽減したいと考える顧客から「今、学生が自社をどう思っているのかをリアルタイムで調査する方法はないか」との相談を数多く受けました。
これが意味することは、今やその企業のブランドイメージとは、「企業側が提供するもの」というよりも、「学生たちが形成していくもの」である、と多くの企業が気付き始めたということです。
つまり、自社の「採用ブランド」を高めたいと思うのであれば、まずは「自社が学生にどう映っているのか?」。そうした学生の「本音」をつかむことが何よりも重要であり、それが分かれば自社の問題点、改善点が浮上し、採用力を高めるためのブライドイメージ戦略も可能になります。

当社が発売した採用マーケティングサーベイ「Entry9(エントリーナイン)」は、そうした企業と学生のミスマッチを募集段階から軽減することを目的にした商品であり、大きな特徴は次の3つです。

・臨床心理学的なアプローチで学生の本音を探る
 学生の本質的な価値基準を明らかに。

・応募者視点での企業イメージが分かる
 志望動機のポイントを絞ることが可能に。

・求める人物像と今の学生とのギャップを知る
 採用計画や採用イメージの修正へのタイムリーな対応が可能に。


少子高齢化による労働人口の減少、および優秀な人材の企業間の争奪がますます激しくなる中、企業の競争力の源泉は「人材の質」であり、それこそ経営者が直接、現場に出向いて学生を口説く。それによる相思相愛の関係をつくらなければ、「質の高い人材」の採用にはなかなか結び付かないのが現実です。

当社では「Entry9」の提供をはじめ、そうした「質の高い人材」の採用を実現する「採用ブランド」の構築に向けた惜しみないサポートを、今後も積極的にしていきたいと考えております。(終わり)
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