年間1000人との面談から導かれる3つの方法 - 「社員のやる気を高めるには」
産業医が語るモチベーション・アップの処方箋
代表理事 日本医師会認定産業医 武神健之
最近、「ブラック企業」と言われる言葉に代表されるように、労働環境の悪化がクローズアップされるようになりました。つい先日も、「たかの友梨ビューティクリニック」の社長の発言が問題となったばかりです。しかし一方で、ギリギリのコストで経営している企業も多く、やすやすと賃上げや労働時間の短縮には応じられない現状もあります。このような経営環境の中、どのように社員のやる気やモチベーションを高めたらよいか、専門家の方々に聞きました。
【社員のやる気を劇的に高める16の方法】
今回は日本ストレスチェック協会 代表理事の武神健之さんから回答を頂きました。
【ビズテリア経営企画 編集部】
私が産業医として、企業の幹部社員に、社員(部下)のやる気を高める方法としてお勧めているのは、以下3つです。どの方法が合うか合わないかは、ケースバイケースですので、1つのやり方よりも、3つのやり方をご案内しています。なお、この解答は、メンタルヘルス不調の人には当てはまりませんので、ご了承ください。
1.「ほめる」
とにかく、ほめるにつきます。できたときにほめる、いいときにほめる、すぐにほめる。具体的にほめる。毎回決まった言葉ではなく、違う言葉でほめる。
ほめるというのは、相手の存在を認めるという意味です。自分が認められた=承認欲求が満たされた、というのは、少しでも仕事にやる気のある社員にとっては、とても嬉しい事です。
これは、子育てと通じるものがありますね。お子さんのいらっしゃる方には分かりやすい方法です。
2.「聴く」
部下(社員)の言葉をしっかりと聴く。相手の話を途中で遮り、聞かれてもないアドバイスをしていませんか?話すよりも聴く、だまって聴く、8割は聴く。傾聴(active listening)という技術がありますが、そんなことよりも、まずは、相手の言葉を聴く、言いたい事を聴く。
上司が自分の事を分かってくれているという安心感、安堵感は、信頼につながり、部下(社員)がのびのびと仕事をこなす職場環境の土台になります。
3.「意味・意義を与える」
やらされている仕事は、いい結果にはなりません。最終的には、部下(社員)個人個人が、その仕事に、どのような意味や意義を見いだしてやっているのかが、仕事の熱意の源となり、結果の違いに結びつきます。入社したときにあった「働く理由・意味・意義」は、個人の成長や環境の変化により、5年後にも持ち続けているとは限りません。
部下(社員)が、その仕事に与えるものは何か、その仕事から何を得ようとしているのか、自分にとっての仕事の意味意義を再確認することで、新たな気持ちで仕事に打ち込めるでしょう。
年間1000人近くの働く人との面談を行っているという武神さん。そのうちの半分は「やる気」に関係するメンタル相談だそうです。そのような数多くの現場での経験に裏打ちされた、この3つの方法はリアリティを感じずにはいられません。
【ビズテリア編集部】