北海道電力が家庭用電気料金を再値上げする見通しです。
北海道電力は27日、家庭向け電気料金の値上げを8月にも政府に申請することで調整に入った。東日本大震災後の原発停止を受け、同社を含む7電力会社が料金引き上げに踏み切ったが、再値上げは初めて。年内の実施を目指し、上げ幅は10%程度を軸に詰める。
東日本震災によって日本国内全ての原発が順次停止しました。
これによって火力発電への依存度が高まり、
その燃料となるLNG(液化天然ガス)の輸入が増えています。
このような発電コストの増大によって、電気料金の値上げが起きています。
このことで考えるべき点は2つあると思います。
1つは、原発をエネルギー源としてどう位置づけるかという点です。
確かに、福島原発の事故は、その周辺地域のみならず、日本そして世界に大きな影響を与えました。
原発への安全神話が崩壊したと言っても過言ではありません。
しかし、問題なのは原発に変わる有効な代替エネルギーが見つからないという点です。
風力発電では、安定的な電力確保が難しいと言われています。
余剰電力買取制度で一時脚光をあびた太陽光発電ですが、
これも、原発停止による不足分を補うほどではありません。
水力発電は、ダムの建設が必要となり、これまで問題になってきた環境破壊につながります。
火力発電も上述のように、燃料コストがかかるうえに、地球温暖化ガスを大量に排出してしまいます。
確かに、原子力は一度事故が起きれば、途方もない被害が出る可能性があります。
また放射性廃棄物の完全な処理には、何十万年もかかるといわれており、
問題があることは明白です。
このような状況を踏まえ、原発を利用しないのか、それでも利用するのか、国民的議論が必要です。
もう1つは、電気料金を引き上げられても、その地域の住民には受け入れるしかないという
選択の自由がない問題があります。
今回、北海道電力は、上述のように、燃料の調達コストが増大したことを理由に、値上げ申請していますが、
北海道電力が本当にコスト低減の努力をしたのかどうかは、外からは分かりません。
その地域に住む住民にとって、電気を使うためには、北海道電力を使うしか選択肢がありません。
したがって、値上げしようとしまいと、それを受け入れるしかないのです。
このような状況は、電力会社にコスト削減を強いることにはなりません。
一般企業であれば、自社の製品の製造コストが増えても、だからといってそのまま顧客や消費者に価格を転嫁することはありません。できる限り価格を変えず、何とか製造コストを抑える様に自助努力をします。あるいは、価格を据え置くよりも、価格を下げる方策をいろいろと検討するはずです。
今の電力会社には、このような一般企業ほどのコスト削減意識はないように思われます。
その理由は、
顧客に電力会社を選ぶ自由が無いからです。
今回の北海道電力の電気料金引き上げのニュースは、
エネルギー源として原発をどのように位置づけるのか、
電力会社を選べない現状をどう考えるのか、
この2つの問題を浮き上がらせている様に思えます。