「成功の要諦」(稲盛和夫 著)に見る経営の本質
「人はなぜ生きるのか」
2015/02/26
売上を上げようとしたとき、まずやるのが営業力の強化です。そして、その営業をもっと戦略的にできないかと考えます。
マーケティングという視点も持ち、売り込まずに、自然と売れる様な仕組みも検討するでしょう。さらにはブランディングなどによって商品価値や企業価値を高めたりもします。
これらの一連のことを体系的に包括させるためには、経営戦略が必要となり、
その戦略の基礎には、経営ビジョン、経営理念があります。
このようにして、企業活動を考えていくと、自然とより上位の概念に進んで行き、遂には経営者の想いや・こだわりといった、その人の人生観や哲月などに到達するはずです。
普段の経営の中で、ここまで突き詰めて考えることは稀ですが、本質的な問題なので、一度どこかで考えておいた方がいいでしょう。
そこでご紹介するのがこの本、「成功の要諦」(稲盛和夫 著)です。
京セラや第二電電(現KDDI)を創業し、最近では日本航空の名誉会長まで務められた、あの稲盛さんの講演をまとめた本ですが、ここには、経営のプロフェッショナルとしての稲盛さんの企業経営に対する考え方を学ぶことができます。
なかでも興味深いのは、「人はなぜ生きるのか」という章です。
この章の中で、稲盛さんは、人生には2つの「軸」があるとしています。
運命と因果応報だそうです。
人にも、会社にも、国家にもそれぞれ運命があるということです。
そして、よい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるという因果応報があるとしています。
これらは仏教から来ている考え方の様です。
アメーバ経営など経営の最先端を走っている稲盛さんが、宗教的な概念をお持ちなのは、ちょっと意外な気もしますが、しかし、冒頭で触れた様に、経営を突き詰めると、最後に行きつくのは、経営者の人生観や哲学であり、正にこの章のタイトルである、「人はなぜ生きるのか」ということです。
稲盛さんは、これに対して、運命と因果応報という2つの軸がある人生の中で、「徳をつむ」ことが、生きる意味であるという、極めて仏教的な考えをお持ちの様です。
私達も、日ごろの様々な雑務に忙殺されがちですが、このような人生の意味についてどこかで考えてみる必要があるでしょう。「成功の要諦」(稲盛和夫 著)では経営の最も基本的なことを知ることができます。