
ゴーマニズム宣言スペシャル AKB48論
小林よしのり氏が国民的アイドルユニット、AKB48について本を書きました。その名もAKB48論。
あの小林よしのり氏が何故?
小林よしのり氏と言えば、漫画家にして社会評論家の著名人。
70年代、80年代は「東大一直線」、「おぼっちゃまくん」など数々の大ヒット漫画を世に送り出し、
90年代からは、あの「ゴーマニズム宣言」のもと、
戦争論、天皇論、靖国論、そして最近では脱原発論など、様々な政治主張を漫画を通して展開している方です。
そのような堅いテーマを扱ってきた小林氏がなぜ、AKB48なのでしょうか?
小林氏のファン、AKB48のファンであれば、小林氏がAKB48のファンであることは周知の事実。
しかし、一般の人から見れば、著名な文化人が突然、アイドルに入れ込んだようにも思える出来事です。
小林氏のAKB48への想いは、単なるファンということではありません。
「ハマっている」というレベルだそうです。
そして、このハマっている理由を、自著「AKB48論」で説明しています。
「かつてはわしもAKB48の良さが全然わからなかった」
「AKB48に血が滾った」
と、ご自身がAKB48にいかに魅了されていったかを書き綴っています。
これは小林氏だけに限ったことでしょうか?
今や日本中で知らない人はいないと言っていいくらいのAKB48。
彼女達が無名の新人からスーパーアイドルに駆け上がって行く過程において、
恐らく、小林氏と同じように、自分自身が変えられて、AKB48の虜になっていった大人たち、子ども達がたくさんいたのでしょう。
この一連の社会現象をどう説明したらいいでしょうか。
ここで、営業・マーケティングの視点から考えてみたいと思います。
今は、音楽が売れない時代と言われています。
好きな音楽をCDで買う人、ダウンロードする人が少なくなってきています。
そんな中、AKB48は新曲を出すたびにミリオンセラーを連発しています。なぜ、AKB48だけがこうもヒットを立て続けに出せるのでしょうか?
以前にも紹介した書籍「お客様が不思議とファンに変わる! 女子脳営業術」。
この本の著者、舛岡美寿子さんは、「売る」から自然と「売れる」への転換を提唱しています。
共感、親和、協調が舛岡さんの強調するキーワード。
その人の個性や考え、経験、夢や希望などのプロファイルに興味をもち、
それによって、共感、共鳴が生まれ、
その人の持っている商品、その人の扱っている商品を買いたいと思う流れが生まれます。
そうすることで、商品が自然と「売れる」ようになるのだそうです。
同じことをAKB48に当てはめてみましょう。
彼女達の商品である、音楽、あるいは彼女達自身。
冷静に客観的に見ると、
飛び抜けてクオリティの高い曲でもなく、
飛びぬけて美人という訳でもありません。
しかし、彼女達の日々の活動は、ファン達の心を揺さぶります。
「彼女たちはめちゃくちゃがんばってるんだ」
小林よしのり氏はこう言っていました。
AKB48のメンバーは、これまでのアイドルのような、いわゆる高根の花というよりは、
自分の近所にもいそうな女の子という雰囲気を持っています。
その身近さが、彼女達との共感を作っています。
また、テレビでもおなじみの「総選挙」。
ファンの投じる一票が、ユニットの真ん中で歌う「センター」を決めます。
まるで一緒になって次のAKB48を作っているというような共鳴が生まれています。
このようにファン達は、AKB48の独特のコミュニティーの中に、
いつの間にか引き込まれ、その中で同じ感動・同じ経験をすることで、
彼女たちを応援したい、
もっと知りたい、
もっと関わりたい、
などという気持ちから、
彼女達の商品、それはCDやチケット、関連グッズなど様々なあると思いますが、
これら一連の商品が自然と売れる流れが出来あがってくるのです。
舛岡美寿子さんの言う、「共感、親和、協調」は、
正にAKB48の作りだしているコミュニティーの中にあるかもしれません。
このような自然と売れる営業スタイルを舛岡さんは女子脳営業と呼んでいます。
AKB48の販売戦略、マーケティング戦略は
この女子脳営業の典型であると言えるでしょう。

ゴーマニズム宣言スペシャル AKB48論