共創スクエア

株式会社シェイク

自律組織に必要な人材育成・能力開発

モチベーション低下を防ぎ、組織を活性させるには

森田 英一

共創スクエア

「成長株だと見込んだ新人が、数年経った今ではこぢんまりして、自分から積極的に動くことがなくなった」「うちの会社は、若手にもどんどん大きな仕事を任せるチャレンジングな環境。だけど、アグレッシブに挑戦していく奴がいない」といった経営者の声をよく聞く。その原因として、「プチ大企業病」があるとシェイクの森田社長は言う。人材の価値がますます大切になりつつある現在。どうすれば活性化できるのか。「プチ大企業病」への対処法は、ぜひ知っておきたい。

【ビズテリア経営企画 編集部】

社員のモチベーションが大幅に低下した背景

高度成長期の日本では、社員が積極的にチャレンジしなくても、企業はある程度勝ちパターンを持っており業績を上げることができました。しかし、現在はヒット商品を出せば他社からすぐに類似商品が出ます。しかも、グローバルレベルでビジネスのスピードが加速度的に速くなってきています。こうした状況下では、過去のものにとらわれず、新しい商品や事業をつねに生み出していかなくてはいけません。それを可能にするのは、人材です。ところが、いまや危機を迎えています。社員のモチベーションは下がり、新しいことへ挑戦しなくなったのです。

背景には、バブル崩壊後の失われた10年の間に成果主義へ移行したことと、リストラも含め人材採用の抑制を行ったことが挙げられます。

成果主義は、長期ではなく短期的な視点で成果が決められ、部分最適になっています。自転車操業的に一生懸命やっているだけで先が見えない。「積極的行動、提案大歓迎」と会社は言うが、実際にやってみたら潰されて評価が下がる「やったもの負け」のカルチャーを蔓延させました。

また、人材採用を抑制したことで、一人あたりの負荷が大きくなり、生産性がより問われるようになりました。そのため、ムダなことやすぐ成果に結びつかないようなこと、たとえば他部署の人と飲みに行ったり、部下の人生相談にのったりすることの優先順位は圧倒的に下がりました。

その結果、モチベーションの低下した人材が大量発生し、組織に活力がなくなりました。こうした状況をわれわれは「プチ大企業病」と呼んでいます。

自律組織は、現場発のイノベーションが起きる

では、「プチ大企業病」を克服するにはどうすればいいでしょうか。

まず自律力をもった人材を育成しなければいけません。自律力とは、「自ら考えて、行動し、やりきる力」と定義しています。答えがない時代に何を信じて進んでいけばいいのか、自分なりの哲学やポリシーを持たなければいけません。さらに周りともうまくやっていく協調性も必要です。「自立」は自分一人で行うこと。「自律」は、自分で行いながらも個性と周りとのバランスを大切にします。そうした自律型人材を育成することが第一です。

次に、自律組織を作ります。この組織の特徴として、「共通の目的や目標を持っている」「各部署が考えて工夫し、新しいことを生み出す」「多様なメンバーで構成され、お互いに創発することで成長する」ことが挙げられます。従来のピラミッド型組織ですと、上層部が方針を決め、マネジャーがプランを立てて、平社員が実行を担当していました。しかし、そうではなく、各部署でG-PDCAサイクルを回さなくてはいけません。これはPDCA(Plan, Do, Check, Action)にG(Goal)を追加したものです。このGoalとは、自分で目的意識や問題意識を持ち、自ら課題設定、問題設定できることを指しています。たとえば、営業スタッフにとって、売り上げ目標は自分で考えるわけではなく、上から降りてくるものです。しかし、その目標は会社にとってどんなインパクトがあるのか、広い視野で本質を考える。これが、G-PDCAのGにあたるところです。

これができると、現場からイノベーションが起きます。スピードの速いビジネス環境であっても、つねに挑戦し続ける組織ができあがるでしょう。

自律組織を作るときのポイント

こうした自律組織を作るときのポイントは2点あります。「タブーをなくす」ことと「プロセスを大切にする」ことです。

どこの会社でも意識していないまでも、タブーを持っていると思います。それを取り払わなければいけません。例えば、時代を問わず、変革を成し遂げたのは若手が圧倒的に多いのです。坂本龍馬が暗殺された時の年齢は33歳。吉田松陰が松下村塾を開塾したのは24歳の時です。若いからといって何もできないわけではないのです。タブーを取り払って、新しいものを作っていく感度の高い若手を活用しなくては、強い自律組織は作れません。

次に、プロセスも大切にしてください。たとえば、会議の場で若手が発言したとき、部長がそれを一蹴してしまうと、以降発言しなくなってしまいます。そこで、出されたアイデアに対して、ただ否定するのではなく、質問だけをするようなルールを決めます。そうすると、さまざまな意見が自然と出るようになり、会議の雰囲気ややり方がガラッと変わります。

プロセスを変えるだけで社内の雰囲気が変わった

以前、コンサルティングさせていただいた不動産会社は、社長が実力者で絶対的に強く、社員が意見することなどできませんでした。しかも、いつも黒い服を着ていて強面、近寄りがたい雰囲気をだしていました。若手はなかなか建設的な意見を出せません。
そこで、まずラフな格好へ着替えてもらい、社員との話し合いの場に出てもらったのです。社員の社長への希望の中に「人の意見をきちんと聞いて欲しい」という意見がありました。そこで、同じように思う人は挙手してもらったところ、なんと8割の人が手を挙げたのです。これには、社長も驚き、自分の考えを変えざるを得ませんでした。

その後も腹を割った話し合いが続き、社内の雰囲気は変わりました。活性化した組織へと生まれ変わったのです。

このように上の人自らが、変えようとする姿勢を示すことは大切です。また、すべて自分が決定するのではなく、権限委譲して現場に任せてください。さらに、会社は何のために(ミッション)、どこを目指し(ビジョン)、どういうやり方(バリュー)でやるのかを明確にしておかないと、権限委譲してもバラバラの方向へ向かってしまいます。ぜひ、社員とすりあわせをしておいてください。

社員の行動を変えることにフォーカスした研修

当社は、自律組織に必要な人材育成や研修やコンサルティングを提供しています。座学でただおもしろかった、ためになったと思ってもらうのではなく、いかに行動を変えるかにフォーカスしています。そのためのパフォーマンス・スタイリングという教育テクノロジーを開発しました。人のもつ感情にも配慮しながら行動を変えるきっかけを作ることができます。

また、階層連動していることもサービスの特徴です。新人だけではなく、OJTトレーナーやマネジャーにもそれぞれ連動し、重層的に組織を変革するお手伝いをしています。社員がイキイキと目を輝かせて働く、そんな自律組織が1社でも増えることを臨んでいます。(終わり)

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