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「専門家に聞く!」

企業とって人財とは何か

 

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最近、社員を大切にすることの必要性が叫ばれています。社員を会社の資源の中でも最も大切なものだとして、「人材」ではなく「人財」と表現することが増えてきました。しかし、その意味するところは人によってまちまちです。

そこで今回は、会社にとって社員とはどんな存在なのか、各専門家の意見を伺いました。
【ビズテリア経営企画 編集部】
「人財とは何か?」 回答一覧
代表理事 柴原健次
企業にとって人は、材:リソース(資源・資材)ではなく、財:キャピタル(資本・財産)だと言われて久しいですが、それらを企業経営に反映させている企業はまだまだごく少数ですね。

人財と言うは易しですが、その本当の意味が落とし込まれていないからでしょう。

人財=「社員主体の経営モデル」であり、本質的に「人を育てる」ことが必要でね。

そしてそれは、単に社員教育の量を増やすことではなく、社員が毎日イキイキと生き、職場全体が「学びの組織」となる企業風土の変革が必要であり、今の時代、それに気づいた企業が成長しているように感じます。
代表 高野 潤一郎
組織にとって、『人財とは、適応・進化する資産』です。

『知識の入手や技術のコピーが容易なデジタル時代』には、『他社には容易にマネできない価値を創出する』といった形で、『組織に持続的な繁栄をもたらす人財』の価値が高まっています。

『人は変わらない(損耗するだけ)』と考えれば、『資源としての人材(歯車)』を『管理』したくなりますが、『人財は、成長可能な資産』と考え、『ヴィジョン/戦略に意義を見い出し、喜んで仕事に取り組める機会を与える』などといった施策を打てば、人財部門の仕事は創造的な内容に変化します。
代表取締役 臥龍こと角田識之
サービス業が主体の社会では、組織も逆三角形となり、現場で主体的な意思決定が出来る「人財」が求められている。

人材とは言われたことだけをする「作業人」、人財とは言われた以上のことをする「仕事人」、別の言い方では「期待を超える人」。

お客様の期待、上司の期待、会社の期待、社会の期待を超える人。クレーム処理、マニュアル通りしました。

しかしお客様が不満であれば、それは作業。発生前よりもファンにして、初めて仕事。そのためには企業にも、一人ひとりが現場で明確な意思決定ができるための、「理念(クレド)の見える化」が求められている。
代表取締役 網谷征洋
私は「人材育成」に携わる者として、「人材」という言葉を使い続けています。「材」は元々、"原料にする立派な木"を意味し、"元になる""役に立つ""生来の能力"と転じたものであり、「人材」は大変素晴らしい言葉だと思うからです。

さて、私の考える「人材」とは、育て方次第で無限の輝きを放つ原石です。多くの企業が"人件費削減を目的とした正社員抑制"や"通り一遍の育成"をしていますが、このような目先の利益に囚われた短期思考こそが現場をダメにしています。

平日はほぼ毎日、ビジネスパーソンと研修の場で交流や議論をしている私としては、「人間を人間と見ない経営」が蔓延っていることに恐ろしさと無念さを感じています。要は、経営者の思考次第なのです。
代表取締役 松原寛樹
人財とは企業の宝(財宝)です。

人は、経営の4要素といわれる、人、物、金、情報の中で一番重要で、一番に必要なもので、物、金、情報は人によって生み出されるものが異なってきます。

人は磨き方によっては、ダイヤにもなりますが、ただの石ころのままで居続けてしまうこともあります。

人を人財として扱うということは、短期的な経営資源としてみるのではなく、長期的な経営資源として考える必要があります。計画的に教育を行い、適時、適正な仕事を与えることによって、輝きをもった人財を育てていくことが、企業として生き残っていくカギとなります
代表取締役 国際企業イメージコンサルタント 徳永ミユキ
~会社にとって社員とは、どのような存在なのか~

大切な2つの存在(想い)があります。

1.志をともにできる大切な仲間
社長の人生には終わりがありますが、会社(組織)は永遠に存続しなければならない責任があります。会社は志をともにできる仲間を探す永遠の旅のようなもの。社員(人財)は、多くの旅の中から選んでくれて、一緒に歩むと約束してくれた力強い仲間です。

2.互いに成長できる仲間
完璧な子供や完璧な大人はいるのでしょうか。完璧な子供ってどんな子供でしょう。大人に都合の良い子供でしょうか。「完璧な組織も存在しない」だからこそ"成長する楽しみ方がある"のだと価値観を優先してくれる仲間です。

「人財とは」一緒に働きたいと想える仲間です。
代表取締役 西邑 浩信 (にしむら ひろのぶ)
人財という言葉は、
扱う側・扱われる側を想起し、違和感あります。
会社は個人の集合体、関係に上下なく、転職等で個人の関係性も変化します。関係の瞬間のみ切り取ると、

 ・会社にとって社員は、会社=個人として自覚して欲しい存在
 ・個人にとって会社は、意味ある経験ができる社会で認知された場所

であり、お互いにお互いの「自立」を求めています。そのため、以下の観点で関わることが大切と考えます。

 ・存在 - 個人の存在そのもの、存在の当たり前を見直す
 ・関係 - 組織のつなぎである個人間の関係性に着目する
 ・自立 - 個人も(会社全体も)社会への自立をテーマとして取り組む
代表取締役 石附 純(いしずき じゅん)
「ジンザイ」には2種類あります。企業にとってヒトを"材"として扱うか、"財"として扱うかは大きな違いです。

そして働く一人ひとりにとっても、自分が"材"になるか"財"になるかは「企業に対する満足度=モチベーション=企業成長」に深く関係してきます。

企業が社員に対し、「慈しみ、労い、敬う」気持ちを持つことで、社員は人として行うべき正しい筋道である「義務・恩義・忠義・大義・信義・仁義」などの善悪を判断し、企業に貢献します。

「義をみてせざるは勇なきなり」で、何が「義」であるのかを決めるのは、人間としての思いやり、つまりは「仁」だと思っております。

参考
孔子は、「仁なくして一国を得た者の例はある。しかし仁なくして天下を得た者の例は聞かない」また「民の心服を得ることなしに王となった者はいない」とも言っています。

更に、「仁はその力を妨げる何物をも打ち破る。それはあたかも水が火に勝つようなものだ。

仁の力を疑う者は、馬車に載せた薪に付いた火を消すのに茶碗一杯の水で消せず、水の力を疑うようなものである」、「人を思いやる心が仁の根源である」と説いています。

奥州の戦国大名、伊達正宗は、「義に過ぐれば固くなる。仁に過ぐれば弱くなる。」と言い、「義」と「仁」のバランスが大切だと説いています。

「仁」と「義」の最良のバランスを把握しながら、企業の期待する人財を育成し、個人の意識改革を図りながら企業成長を促進させることで社会貢献できると確信しています。
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