共創スクエア

福島マネジメントコンサルタント

アベノミクスの成長戦略で「改めてマーケティングを考える」

専門家に聞く「マーケティングとは何か」

福島 丞

共創スクエア

ビジネスシーンでよく使われる言葉、マーケティング。社内にマーケティング部という部署を置いている会社も少なくないでしょう。

しかし、社内でマーケティングとは具体的に何をすることなのかが明確に定まっている企業は少ないと思います。会議においてマーケティングに対しての認識が担当者毎に異なっているというケースもあるかもしれません。

そこで今回は、日々当たり前のように使っている「マーケティング」ついて、その本質を専門家の方々に聞いてみました。
今回は、福島マネジメントコンサルタントの福島丞さんからの回答をご紹介します。

【ビズテリア経営企画 編集部】

そもそもマーケテングという定義は

アメリカ・マーケティング協会AMAが古くから(時期不詳)発表していて、幾たびか変遷している。アカデミックなものとしては「AMAによるマーケティングの新定義(2007年)」YAHoo!参照。

1960年頃の私の記憶するAMAの定義は「製造された商品をいかにして顧客に買わせるかの購買意欲操作としてのさまざまな手段」とされていた。小売り・問屋の流通においても似たようなものはあったが、製造業中心の大衆操作法であったと記憶している。

1970年頃の日本では「消費者のための~」が理想として唱えられるようになったが、実体は広告宣伝、販売促進、市場調査などだった。私が国内系のマネジメント系コンサルテング会社(当時は最右翼といわれていた)をはじめて受験して最終面接でいわれたことは、コンサルタントとは、財務諸表とくにBSが手品師のように扱えて、その上に営業企画とか商品計画とか、経営計画などの専門があるといわれたもの。

コンサルタントの顧客開発も、財務診断からが定番の時代だった。企業経営も財務計画中心で、その他の経営機能が取り囲む、ぶらさがるという時代だった。

その時期が過ぎ、高度経済成長期に入り、生産過剰、在庫過多、同業種過多、の時代に入り、シェアの取り合い、同業他社との売上競争。主に売上拡大の販売促進、セースルマン別目標管理、行動管理、商品広告宣伝、等々の時代に入る。

次にCI(MI・BI・VI=経営理念・社員の顧客対応態度・企業固有のビジュアルイメージとしてロゴマーク、看板、名刺など)の範疇もマーケティングの領域に。更に財務会計から管理会計へ、部門別、事業部別、商品別、さらには標準原価 方式、◯◯別損益分岐点。さらには市場別販売戦略と戦術展開の実行のPDCA。社内の情報流、物流。商品開発計画、マーチャンダイジング、と人物金情報すべてがやがてマーケティングの領域となった。

過去に財務が経営の幹であったものがマーケティングに入れ替わった。それがバブル崩壊までの、主要な日本のビジネスモデルであった。そして失われた20年・25年ともいわれるデフレ期。バブル期の競争市場においても、製品はもとより、組織機能、時間、さらには人件費までもコストという切り口で生産性を計るようになる。

アベノミクスの成長戦略で「改めてマーケティングを考える」

マーケティングといえば、それぞれの組織が(場合によっては個人が)「自社・自分の売り」を確たるものにして、社会や顧客・クライエントに役立ち、役立ちの大きさに比例してリターン収入をを得る仕掛け、仕組みと運用のブロセス。昔は、収入にばくと利益は内包するとしていた。収入(売上といっいい)は多く得られても、さまざまなマーケティングプロセスに、水漏れ現象(ムダ)が起きていると、収入に内包している利益(組織メンバーへの人件費や、さらに社会や顧客に役立つ技術開発、設備投資、等に回すお金)が目減りすることになる。

その水漏れ現象を減らすため、なくするためにその原因としての問題を見つけ「改善する」。この2つが私の思う「改めてのマーケティング」である。

ここでは、82歳の私が、「老いの必然から、病院や医院(最近はクリニックといわれる開業医)」を結果いろいろなところをまわったことになり、現役時代の商業癖としての現場観察が、つねに踊っていた。公立の大病院・民間の病院(ここは公立の大病院とはいかないまでもかなり大きな総合病院から、中型病院まで)・他は医師会加盟の開業医。この形態別のすべてを回ったことになった。

一番画一的「売り」をやっているのは、医師会加盟の開業医であった。ある期間は、内科はもとより、耳鼻咽喉科、胃腸科、関係なく「COPDのパンフレッット」がおかれており、この期間はこれでいこうと当番の委員になった医師が企画していることが患者からすれば手にとるように読める。知能指数の高い医師たちと尊敬している市民からしてみれば、中小企業でもやらない見え見えの企画をやっているのには驚きである。開業医は原則一人一人が経営者であり医師である。医師が本職であり天職と自覚されている人が多い。それは医師としての倫理で大切なスタンスであるに違いない。

ところがインターネットの普及で、忙しい休みのない医師は、インターネットも、病院、医院経営に必須のテレビ番組も、新聞も見聞きする間がない。それに比べ患者はインターネットで直ぐ目当ての情報を検索する。

開業医においても個別のその医院の、クリニックの「売り」を企画し、手書きポップでもいい訴求できないことはないと思うに、そのことになるとどうして世の中の流れに疎いのか。

医院のホームページにおいても工夫の跡が感じられない、飲み屋レベルの町のホームぺ ージ製作屋か。医療ルート専門のホームページ製作やか。どちらにしても画一的になっていることは否めない。個別の「売り」は感じられない。

これからは病院、医院でも広い意味のマーケティングに無関心のところは流行らない。政治の医療行政に疎い病院医院は、信頼が得られない。

京都の公立大学病院も昔と違って、外来患者全員に、医師の個人名で未だに上から目線の医師がいたら書いてくださいと、年に2回アンケート調査やっいるとこるがある。

今矢面に立たされている後期高齢者は、NHKラジオ深夜便の常連である。ここでは私が出会った見解と違うことをいう医師も、非常に多い。特殊な例かも知れないが、年寄りのファンは感動して聞いていることは確か。

最近では「糖尿病の数値基準」の話は多い。従来から一本化されていない厚生労働省の曖昧さが指摘しされてきたといわれるも、TTP絡みと思える記事が他にあったりして、公立病院と医師会の見解の違いもよく説明してもらえないので患者は迷う。患者の納得のゆく説明をしてくれる医院というだけで好意的口コミはてきめん増えること間違いなしと私思う。

マスコミュニケーションの時代は終わり、個対個の寄り添いのコミュニケーションをコスト安く効率的にどうやるか、競争は医療現場でも経営を左右するのが医療におけるマーケティングと考える。

それとCIのところで述べたが、掲げた理念の嘘のない実行と、患者への好感度接触態度のばらつきは教育の問題でもあり、医師、看護師、医療技師、受付事務ともに統一感を醸している医療機関は少ない。これだけの改善でもてきめんの効果が出ると思われる。

開業医のホームページには大抵口コミの欄があるが。これは委託業者の取材コメントですとあったりする。広告業界特有の手でもあるので、読者は要注意とみているものもある。

最後に誤解されないようにお断りしておきます。先に述べた実情は、すべてがそうであるといっているのではなく、すでにこれらの課題をクリアして、レッキとした「個別の売り」を明確に打ち出されている開業医も、何件かあります。この人達は、 時代を見据え、問題意識をもってコトを起こされていることが手に取るように実感できます。

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