事業計画や経営戦略を考える際に、「自社の強みを活かして」ということがよく言われています。しかし、「御社の強みは?」と改めて聞かれると、明確に答えられない経営者は意外と多いのではないでしょうか。また、同じ質問を従業員にすると、人によって答えがバラバラということもよくあります。
「自社の本当の強み、競争力の源泉となっているものが何なのか」
「それを知るためには、どのようなことが必要なのか」
各専門の方々に伺いました。
今回は、株式会社シャイニング 代表取締役の下田 令雄成さんからの回答をご紹介します。
【ビズテリア経営企画 編集部】
本当の強みを知る実行性の高い方法
<<自社の本当の強みを知るには?>>
この問いに答えるとき、多くのコンサルタントや経営学者は、3C、SWOT、PPMなど、フレームワークを活用した手法を紹介することが多いようです。
フレームワークの解説は、他の方にお任せするとして、ここでは、自社の本当の強みを知る上で、特に実効性の高い方法をお伝えいたします。
強みが認識できていない背景に何があるのか
まず、現状として・・
従業員の回答がバラバラ
⇒社内の共通認識が持てていない。
経営者が明確な回答ができない
⇒(日本人の美徳でもあるが)謙虚になり過ぎている。
⇒自社では当たり前すぎて「強み」として認識できていない。
といったことが推察されます。
「強みが認識できていない背景には、どのような課題が潜んでいるのか?」
を見極めることが大切です。
例えば、従業員の回答がバラバラだった場合、仮に経営者が、自社の強みが何なのかが判っても社内の共通認識がなければ、強みを強みとして発揮し、自社の発展・飛躍に繋げられないからです。
一緒に考えるプロセスを重視する
私は、組織開発コンサルタントとして仕事をさせていただいておりますが、ミーティングや研修の場を活用し、社内の中核メンバーとともに一緒に考え、答えを導き出すというプロセスを重視しています。
中核メンバーが持ち寄る情報(各自の考え、それを裏付ける顧客の声、競合他社との比較など)を集約・統合して、自社の強みが何かを一緒に見極めます。
勉強熱心な方やトップダウン型のリーダーシップを発揮してきた方は、ここでみんなの回答を待ちきれずに自分で模範解答を言ってしまいます。
するとそこに反論する意見を言い難い空気ができてしまうし、みんながリーダーに依存して、自分の頭で考えなくなります。だから、リーダーは質問することに徹したり、呼び水となるような最低の意見を最初に言うことが大切です。(マクドナルド理論がこれに当てはまります)
実践と学習(検証)を繰り返すアクション・ラーニング
そして、強み(らしいもの)を見出すことができたら、それを現場でどう発揮するか?という問いを投げかけ、行動計画もみんなで一緒に考えます。
さらに、行動した結果どうだったかを次回のミーティングの場で報告する約束をして解散し、現場に戻ります。こうすれば、その場で見出した強みに対して懐疑的だった人もまずは行動に移していただくことができます。
その強み(らしいもの)が自社の本当の強みであれば、何らかの好結果が得られるはずです。
それと同時に強みを強みとして各自が認識し、自信を持って自社の強みを語り、自社の一員であることを誇りに思いながら、その強みを発揮できるようになっていきます。
ちなみに、行動した結果、好結果が得られなくてもみんなで見出したことを実践したという事実は、約束を守る人間であるというお互いの信頼関係の強化に繋がります。
これは、実践と学習(検証)を繰り返していく、アクション・ラーニング型のアプローチと言われています。
以上、自社の本当の強みを知るには、社員を効果的に巻き込んで仮説を立て、実践を通じて検証するというプロセスを経て、見極めていくことが有効です。
アクション・ラーニング型のアプローチで自社の本当の強みを見つけて行くと、強みが見つかるだけでなく、その過程で、信頼関係が強化されたり、意識が統一されたりと、別な効果も期待できそうです。何が見つかるかよりも、見つける過程の方が重要なのかもしれません。
【ビズテリア編集部】