製紙メーカー大手、大王製紙の前会長、井川意高氏は特別背任の疑いで逮捕、実刑判決を受けて、
現在、栃木県の喜連川社会復帰促進センターに服役中です。
その井川氏の著書、「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」では、
これまでの交友関係が赤裸々につづられています。
有名人や芸能界の女優との関係が実名で書かれていることで、世間の注目を集めている書です。
このことが、井川氏や大王製紙にどのような影響をもたらすでしょうか?
確かに、これら一連のことは、井川氏本人や大王製紙にとって逆風なのは間違い有りません。
しかし長い目で見ると、プラスに働く可能性がありそうです。
以前の記事に書いた様に、この不祥事によって大王製紙の売り上げには実はさほど影響はありませんでした。
消費者は井川氏個人の不祥事と「エリエール」をはじめとする大王製紙のブランドとは直接結びつけませんでした。
一方、井川氏は大王製紙の創業一族の一員です。
今回の不祥事によって会長職を辞任しましたが、創業家の会社に対する影響力は依然あるかと推測されます。
創業一族が一定の発言力や影響力を持つことは大王製紙に限ったことではなく、他の大企業にも見られることです。
しかし今回、不祥事に加えて、暴露本ともいえるこの書籍、「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」は、
大王製紙にとって、創業一族から一定の距離をとるための千載一遇のチャンスとも取れるのです。
今回の井川氏の不祥事を受けて、現在、大王製紙はコーポレートガバナンスの強化に取り組んでいます。
経営を私物化されることなく、会社の成長のために、機動的な経営判断が行える仕組み作りをしようとしています。
本来であれば、創業一族からの影響力をなかなか排除できないのですが、今回のこの暴露本により、
コーポレートガバナンスをさらに強めることができるかもしれません。
加えて、大王製紙は本業の内容は、しっかりとしたものです。
足元の業績だけでなく、将来に向けた技術開発も怠っていません。
つい先日も、大王製紙が開発したナノセルロースという次世代先端材料を
各研究機関にサンプル提供するとう発表を行うなど、将来を見据えた先行投資に余念がありません。
このように、順調な事業を行っている大王製紙が、もし強力なコーポレートガバナンスを実現できれば、
現在は業界3位というポジションから2位、1位というポジションにあがってくる可能性は大いにあると思われます。
何年後かに、これらのことを振り返ると、
井川意高氏の今回出版した「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」は、
逆説的に、大王製紙にエールを送ることになっているかもしれません。
井川意高氏の暴露本が大王製紙、大逆転の始まりかもしれません。
■ 井川意高氏の人生観
■ 井川氏、大王製紙の今後は?
■ 井川意高 その業績
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録