上場会社、非上場会社を問わず、社長をはじめとした経営者、その下で働く社員のみなさまとお話をすると、必ずといってよいほど、経営者は社員に物足りなさを感じ、社員の方々は会社に不満を感じています。
なぜなのか?皆様は考えたことがおありでしょうか。
多くのお客様とお話をしていると、あることに気づきます。
みなさんご自身はいかがでしょうか?
まず、経営者は社員に何を期待し、社員は経営者に何を求めているのか考えてみましょう。
みなさん、何かに気づきませんか?そうです、経営者も社員も基本的には、同じことを考えているのです。それなのに、なぜ、思いが一致しないのか。それは、同じゴールを具体的に共有できていないからかもしれません。
みなさんの周りでも、こんな会話があるのではないでしょうか。
みなさん、既にお気づきですね。経営者の言葉には、「なぜ」、「どうして」それをやらなければならないのかという、目的の説明が欠落しており、社員の言葉には、自分から行動する、考えるという「自発性」「自立性」が欠如しています。
これは、経営者は前述のように、社員に自立を期待しているため、当たり前ように話をしてしまいがちですが、社員は何のために仕事をするのか、会社の方向性はどうなっているのか、それが自分にプラスになるのか、その目的が分かっておらず、上から言われたことを仕事だからしょうがなくやってしまっていることに起因していると考えられます。
この状態では、「社員はわがままだ!」「経営者は理不尽だ!」といった、感情論のいがみ合いで終わってしまいます。
しかし、確かになるべく説明してはあげたいけど、そんな時間はないし、経営者も社員もみんなが、同じ方向に、当たり前のように進んで欲しいですよね。 そこで重要なのが、経営者と社員が『共通言語』で経営を語りあっていくことです。
それでは、『共通言語』とは何なのでしょうか?これは、会社によって異なります。
ある会社では、売上○○億円、利益○億円、利益率○○%、○○で日本一になろう!なのかもしれません。また、ある会社では、お客様の満足度向上、クレームゼロ、女性が働きやすい環境を!残業ゼロ!なのかもしれません。
重要なのは、経営者は何をめざし、5年後、10年後の将来の目標は何であり、そのために社員のみんなに何を理解し、どんな行動をとって欲しいのかを明確にすること、そして、それを社員と何度も話しあい、共有化することです。
この『共通言語』を共有することこそが、経営を可視化すること、そのものなのです。
1つは人事制度に組み込むこと、もう1つは、日々管理するKPI(Key Performance Indicators)を設定していくことです。
人事制度に組み込むこと、それは、経営者が社員に期待していることを文字にし、社員全員にブレークダウンすることから始まります。いままで、経営者が一方的に期待していたことを、社員全員に周知させ、自分たちは何をめざし、何をすべきなのかを理解してもらうのです。
また、それを具体的に評価できるように、計測可能なKPIを設定することが重要です。KPIを設定することで、いつでも全員で経営を同じ『共通言語』で話すことが可能となります。
そうです、『共通言語』を作ること、それは、経営者の思いをブレークダウンし、客観的に全社に明示できるものとすること、そして、みんなが具体的に計測可能な指標で話をすることに他ならないのです。
経営の『共通言語』を作ることが出来れば、あと少しです。
『共通言語』を作れたということは、ゴール(目標)が全社に共有化されたということです。次に必要なのは、各人は今、ゴールに向かってどのスタートラインに立っているのかを教えてあげることです。
それぞれのスタートラインが定まれば、あとはゴール(目標)に向かって、各人が自発的・自律的に動き始めます。 後は、KPI管理を行いながら、PDCAを繰り返し、より強固な組織へとブラッシュアップするだけ。
経営の『共通言語』を作ることで、全社に経営は可視化され、各人が自発的・自律的に動き始める強固な組織が出来上がるはずです。
みなさんもぜひ、みんなが『共通言語』を話せているか、確認してみてはいかがでしょうか?
(終わり)