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デジタル時代にはソフトパワーで差別化を

不況は改革の絶好機

田原 中男

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百年に一度といわれる不況の真只中にいます。 経営戦略が素早く実践されることが重要ですが、どのようにして進捗を把握(モニタリング)しているのでしょうか。 最終的に実践するのは生身の人間ですから表面的な数値目標(デジタル)でなく社員全員が経営戦略コンセプトを理解している(アナログ)ことが欠かせません。 

21世紀に入る直前から技術進歩は非常に早くなり、その大部分がデジタル技術に拠っていることは既にご存知の通りです。 さらに、コストは飛躍的に減少し数年前には特殊な軍需用品でしか使用できないテクノロジーも一般消費者の手が届くところに来ています。 これらのデジタル技術は過剰生産による価格低下という宿命を持つために瞬く間に全世界に普及し、テクノロジーの差別化を維持することは困難です。

このような環境の中で生き抜くための競争力は技術革新を生かす「ソフトパワー」にあると考えます。 ハーバード大学のナイ教授が国際政治において主張していますが、企業間の競争でも同様です。 誰でも簡単に同等の技術が得られる時代における競争力とは各企業が発信するソフトパワー(理念や商品による文化の創造)の優劣ということになるでしょう。 さらに組織のあり方や経営戦略の浸透度といったアナログ的なソフトパワーが試される時代になってきています。

独自のソフトパワーを身に付けた企業のみが利益を確保できるのです。 意外に知られていないことですが歴史的に日本は独創性に富んだ国であり、このソフトパワーが他国に大きな影響を与えていました。 先物取引、為替といった経済活動も、印象派画家に影響を与えた浮世絵といった文化面でも、また衛生的で整然とした江戸時代の街づくりといった面においても自前の独創性あふれる活動がありました。 一方で独創性とは常識からの脱却ですから大きな抵抗を受けることになります。 どの時代でも、どの国でも人間は変化に対して本能的な抵抗を示すものですが、危機の時にはもう一つのサバイバル本能が勝るのでこのような時に大きな変革が実現できるのです。(終わり)
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