共創スクエア

株式会社 IWNC

成功する経営戦略実行プロセスと組織活性

戦略実行のプロセスにこそ組織活性化の機会がある

村田 太

共創スクエア
不況のただ中にあったとしても、チャンスと捉え挑戦する企業はある。こうした企業の経営者は、「こうした時こそ組織を変革し、イノベーションを起こせる」という。そのためには、「息吹注入」が欠かせないと、数々の組織変革をサポートしているIWNCの村田太氏は断言する。そのために、企業は何をすべきか。また、経営企画室はどのような役割を果たさなくてはいけないのかを伺った。
【ビズテリア経営企画 編集部】

戦略立案のプロセス自体が使命感を醸成するプロセス

前回掲載の「経営戦略の実行と経営企画部門の役割」でご説明させて頂きましたが、経営戦略立案後は、その期待された成果を上げるために、戦略の意思を現場レベルにまで浸透させて、全社レベルでの実行を促す必要があります。そのために有効な方法として、戦略への「息吹注入」をご紹介しました。「息吹注入」とは、戦略に対して、目標達成のコミットメントと同時に、「達成できる」という“効力感”と「絶対に成し遂げる」という強い“意志力”をもつことです。

経営陣や経営企画室が策定した経営数値をもとに、各事業部門の責任者を巻き込み、企業が進むべき方向性を現場のデータと照らし合わせながら「DNA(らしさ)」と「顧客やマーケット環境」をリンクさせ、本気・本音の直接対話でプランニングを実施するという手法です。それにより“戦略立案のプロセス”自体が“使命感を醸成するプロセス”になり、「自分達で成し遂げたい」という意思を戦略に込めることができると考えています。

未曾有の経営環境をチャンスに変える組織活性

ご存知の通り、現在の企業を取り巻く環境は、過去に経験したことがないほど深刻な不況のただ中にあります。しかし、「不況だから」というネガティブな捉え方をするのではなく未曾有の経営環境と捉え、それをチャンスに変えるべく既に動き出している企業も多いとお聞きしています。

そういった企業の経営幹部の方々は揃って、「組織を変革し、イノベーションを起こす必要性」を口にしています。何故なら、彼らはイノベーションを、活路を開く重要なファクターとして捉えていて、それは一人の人間がじっと考えて生まれてくるのではなく、組織が活性化した中から出てくることを経験しているからです。私達は、そのように活性化した組織がイノベーションを創出している状態を、特に、イノベーティブシナジーと呼んでいます。

それは、新しいものを生み出しあうチカラと継続的に奨励しあう文化が活性化している状態であり、現在のような経営環境下にこそ求められると思っています。そのイノベーティブシナジーの創出についてはレポートで一部解説させて頂くとして、今回は、「息吹注入」後に成果を上げるために、我々が重要視していることでもあり、昨今の経営環境でも求められている、「組織の活性化」についてお話させて頂きます。

企業のDNAと市場を繋ぐのが戦略の意思

前述のような環境下では、各企業とも組織の活性化で様々な取り組みをしているとお聞きしています。弊社では、戦略の意思を現場に浸透させることが、期待された成果を上げながら組織を活性化するアプローチとして、成果と効率の両方で有効であると考えています。

一般のコンサルティング会社のアプローチとして、他社のベンチマークや課題を抽出するためのフレームを用いた課題抽出型のアプローチにより、自分達のサービス領域に重なる課題にフォーカスしてソリューションを提供することが一般的です。

しかしながら、これらのアプローチは、成長市場において有効なアプローチですが、昨今の成熟化と多様化、また成長と衰退が凄いスピードで進むマーケット環境においては、過去のデータは参考程度の資料でしかないと思います。企業の未来を構築するのは、優秀なコンサルタントとフレームに基づくデータ分析やベンチマークではなく、その企業の社員一人ひとりです。

弊社では、約20年間に渡り、企業固有のDNAと市場を繋ぎ、成果を創出するプロセスを組織や人の側面から支援してきました。その中で私達はある確信に辿り着きました。

「組織を構成する一人ひとりの考え方・働き方・相互の関わり方が、現場での実践的なイノベーションを創出する」こと、これは「戦略の意思を現場レベルに浸透させ、周知徹底する取り組みにより可能になってくること」、そしてそのプロセス自体が「組織を活性化させる」ということです。

経営企画室のセンスが益々求められる時代

予想不可能なできごとが起こりえる昨今の経営環境下で、様々な制約条件を突きつけられた組織が、期待通りの成果を上げるためには、図1にもある通り、成果を上げるプロセスの中で課題を想定し準備するということが必須になってくると考えます。すなわち、想定される課題を真っ先に認識できるポジションにいる経営企画室のセンスが益々問われる時代になってきたと思われます。

図2に、面白い事例を紹介致します。「経営企画」部門が戦略実行・達成の課題を社内のキーマンにインタビューした結果と「人事・人材育成」部門が従業員満足度調査で実施した結果が同じだったという事例です。従来であればその結果を受けて、それぞれ別々に施策のプランニングをし始めたかもしれません。しかし、弊社を通じた具体的な取り組みの中で、経営企画部門と人事・人材育成部門それぞれの情報と全体視点の共有が密になり、事業部門の成果を創出するプロセスの改善と組織活性化の視点から、短期の成果と未来構築のための施策として取り組みを始めました。

経営企画室の役割

経営企画室(社長室)は、戦略策定の段階で、各事業部門の方と戦略をブラッシュアップするプロセスを経ているため、全社の組織・経営課題をいち早く認識できる上に、全社横断的に俯瞰した視点をもって課題を抽出できるポジションにいます。しかし、実際に課題を解決するのは課題を抱える部署や階層の当事者達です。課題を抱える当事者がオーナーシップをもち、彼ら自身が前向きに課題解決に取り組むように促すことが、経営企画室に期待されるようになってきたと実感しています。

IWNCは、外部リソースだという強みを活かし、抜本的な組織の変革のお手伝いをしてきました。是非、貴社の短期の目標と未来への展望をお聞かせください。「やりたい!」「できる!」を市場に創造するために協働させて頂きます。(終わり)
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