株式会社イニシア・コンサルティング
丹生 光
日立マクセルの千歳喜弘社長は同社のコスト削減策として早期退職者の募集を行うと発表しました。
全社員数2,500人のうちの10パーセント程度を削減する方針です。40歳以上を対象として11月から来年1月まで募集し、2月末に退職となります。
また、経営陣の責任として、取締役や執行役員の報酬を一部返上することも発表しました。
日立マクセルの主要な事業であるリチウムイオン電池の大口納入先は韓国のサムスン電子。サムスン電子のスマートフォン、GALAXYのハイエンド・モデル用として出荷されていました。
しかし最近、中国メーカーの低価格スマートフォンが台頭してきたことでスマートフォン市場は大きく変化。GALAXYの売り上げが急落し、「サムスンショック」と呼ばれる事態に陥っています。日立マクセルのリチウムイオン電池も、この「サムスンショック」に連動する形で大幅な売上減となり、今回のリストラ策の発表に至っています。
日立マクセルは3月に再上場を果たした会社です。実に四年ぶりのことでした。再上場時には、リチウムイオン電池の販売を順調に伸ばして行く計画でした。しかし、半年もたたないうちにスマートフォン市場が大きく変化しました。千歳喜弘社長は記者会見の席上で「中国メーカーが夏ごろから台頭してきたが、自社の売り上げがここまで急落することは予想できなかった」と述べました。
日立マクセルは恐らく、いくら中国の低価格スマートフォンが参入しようとも、ハイエンド市場は影響を受けないと踏んでいたのではないでしょうか。しかし結果は低価格商品が高級商品のセグメントまでも奪ってしまうという事態になってしまった様です。