「必要とされている大切な存在だ」と思える自己重要感
社員のやる気を高める方法
リーダーシップ・スタイリスト/心理カウンセラー 松山淳
最近、「ブラック企業」と言われる言葉に代表されるように、労働環境の悪化がクローズアップされるようになりました。つい先日も、「たかの友梨ビューティクリニック」の社長の発言が問題となったばかりです。しかし一方で、ギリギリのコストで経営している企業も多く、やすやすと賃上げや労働時間の短縮には応じられない現状もあります。このような経営環境の中、どのように社員のやる気やモチベーションを高めたらよいか、専門家の方々に聞きました。
【社員のやる気を劇的に高める16の方法】
今回は、アースシップ・コンサルティング 代表でリーダーシップ・スタイリスト/心理カウンセラーの松山淳さんから回答を頂きました。
【ビズテリア経営企画 編集部】
「やる気」は「尊厳の欲求」に関係する
いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる様な職場で起きている低賃金、長時間労働といった問題と、社員のやる気が上がらないというモチベーションの問題は別々に捉えるべきです。
心理学者マズローの欲求5段階説では、次の様な欲求のレベルがあるとされています。
「生理的欲求」→「安全欲求」→「社会的欲求」→「尊厳欲求」→「自己実現欲求」
低次の欲求が満たされると、より高次の欲求を満たそうと人は行動する(やる気を高める)という説です。
「ブラック企業」の問題は低次の「生理的欲求」「安全欲求」が脅かさ れている状態と言えるでしょう。一方で、「やる気」の問題は「尊厳の欲求」に関わるものです。
組織に所属することで、「社会的欲求」が満たされ、そして次に「ひとりの人間として大切にされたい・認められたい」というより高次の「尊厳の欲求」を満たそうと行動します。
自己重要感を高める
このような状態の中で「自分は会社から必要とされている大切な存在だ」と思えることを自己重要感と呼びます。社員がこの自己重要感を持つと「やる気」を高めることができます。
経営陣を含めたリーダー層が、「君たちが必要だ」というメッセージを、あらゆる機会・手段を活用して日頃から繰り返し社内・社外に発信していくことが大切です。
有形資産を使う報酬(給与や地位)には、限界があるのですから、言葉による心理的報酬によって「自己重要感」を高め、
「社員の誰もが大切にされる会社」という組織風土や社外からの良好な評価(無形資産)をつくりあげていくことで、社員のやる気を向上させることができます。
社員のやる気を高めるために給料を上げようとする経営者の話を時折耳にします。結末は大体、一時的にはモチベーションが上がったが、しばらくすると元の低い状態に戻ってしまったという話です。自己重要感なしに、ただ待遇面だけを改善してもうまくいかない様です。
【ビズテリア編集部】