世界的なエビ争奪戦、中国で需要激増 日本の国内自給率10%
2013/11/15
エビの価格が高騰しています。
日本のエビの消費は主に東南アジアからの輸入に頼っていますが、最近産地で、
早期死亡症候群(EMS)という魚の病気が流行り、エビの収穫が激減しています。
そのため、年末・年始に向けた国内でのエビ需要に十分対応できるだけの輸入が厳しくなっていて、
エビ価格の高騰につながっているようです。
農林水産省のデータによると、エビの国内自給率は10%程度と低い水準に留まっています。
このため、今回のように産地での収穫高が減ると、それが直接価格高騰につながってしまいます。
また最近は中国など他のアジアの国々でも、エビなどの魚介類の消費が急速に増えてきています。
今後、エビを安定的に調達するにはどうしたらよいでしょうか?
主に3つの方法が考えられます。
1.調達場所の多様化
2.国内養殖の強化
3.類似商品の開発
1の「調達場所の多様化」は調達する国を分散させる方法ですが、
エビの収穫量は東南アジアに集中しており、今回の早期死亡症候群(EMS)の流行地域と重なっているため、
なかなか難しいかもしれません。
2の「国内養殖の強化」については、
最近では、陸上養殖という養殖方法の研究開発が進み、新しい魚介類の生産方法が確立されようとしています。
この方法は、株式会社アイ・エム・ティーなど、日本の企業が世界に先駆けて取り組んでいるとのことで、
今後、期待が持てそうです。
最後の「類似商品の開発」については、
エビに依存するビジネス構造から脱却するということです。
かつて、牛肉のBSE問題が発生したときに、
大手牛丼チェーンは牛肉の調達が困難になるという厳しい経営環境にさらされました。
この時、豚丼などの代替商品が企画・開発され、BSE問題が去った今でも、
豚肉を使った商品は牛丼チェーン店の商品ラインアップの1つに入っています。
エビについても同じようなアプローチが考えられそうです。
日本は世界第2位のエビの大消費国である一方で、その安定供給は確立されていないのが現状です。
今回のEMSの件でその問題点が露呈された格好になっています。
これを機に、抜本的な対策が期待されるところです。