共創ワークショップ

プラムフィールドアドバイザリー株式会社

いま、日本企業が直視すべきコンプライアンスと不正リスクの処方箋

中国など海外拠点での不正リスクへの対応策とは

梅原 哲也

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日本の不正リスク対策の現状
企業内で「不正」が起こり得る要因としては、次の3つが挙げられます。「動機がある」「機会がある」「不正を行う正当性があると考える」。これら3つのうち、一つが存在する時に不正が起こるといわれています。
言い換えれば、企業における不正リスクを減らすには、そうした「動機をなくす」「機会をなくす」、そして「誠実性を従業員に植え付ける」ことが重点課題となるわけです。
日本では昨年、J-SOX法が施行され、日本企業の間でも少しずつ不正リスクに関する意識が高まりつつあります。しかし、これで日本企業の不正リスクが減少すると考えるのは早計でしょう。なぜなら、J-SOX法はあくまでも財務報告に関する内部統制であり、抜本的な不正対策を念頭においたものではありません。

また、コンプライアンスをマネジメントの観点から見ると、単に「コンプライアンスを守れ」という号令だけではなく、それをしっかりと社内制度の中に組み込み、遵守できるように機能させ、生かしているかどうかが重要であり、例えば中間管理職に関しては、自分の管理部門の業務でいかにコンプライアンスを徹底させるかが問われる制度が必要です。また彼らの部下に対しても、コンプライアンスを浸透させるための管理職者用の社内教育の整備も必要になります。
そうした組織全体の仕組みの中で、それをチェックする横串としてのコンプライアンス監査があります。組織全体のコンプライアンスが図られているかどうかのチェック体質が、しっかりと制度として確立されているというと、日本ではまだ産声を上げた段階に過ぎないと思われます。

コンプライアンス面では日本の5、6年先を行っている欧米では、すでに多くの企業がそうした対策を講じて、コンプライアンスや不正リスクを軽減しています。
その違いはどこにあるのか?については後半の方でも触れますが、組織内にコンプライアンスや不正防止の仕組みがあるかどうか、さらにトップが率先してコンプライアンスを守れという強いメッセージを発し、末端の従業員まで浸透させるだけの具体的なリーダーシップを発揮しているかどうか。そこに問題の根本原因があるように思われます。
不正リスクへ向けた具体的な対応策
もっともコンプライアンスや不正リスクに限らず、企業が抱えているリスクの数は膨大です。そのすべてを挙げれば数千、数万もあり、それらすべてに取り組むことは企業の規模や人員、コスト面などから見ても無理があります。
そのため、同じリスクでも、その発生頻度や被害金額を想定した上で、リスクをいかにマネジメントしていくかが重要になります。
具体的にはリスクマップを作る手法もその一つです。自社が抱えている多くのリスクを、あらかじめ発生頻度と影響度(金額)によってランク分けし、発生頻度が高く、かつ影響度が大きいものから優先的に対処していく手法です。
コンプライアンスや不正リスクを事前分析し、優先順位の高いところから手を付ける。欧米ではすでにこうした手法が企業のリスク対策として一般的ですが、日本ではコスト面での理解浸透がまだ不十分な面もあり、実施しているのは一部の先端大手企業のみです。
中国進出での新たな不正リスクも
当社の主な活動拠点の一つである中国では、周知のとおり、いままでに数多くの日本企業が進出をしてきました。実際、海外で最も長期滞在邦人数が多いのは中国の上海です。
日本企業の現地法人と取引関係にある中国の廃棄処理業者が不法投棄の問題を起こすなどはごく日常的であり、こちらは先ほどの欧米の模範例とは対照的で、不正リスク、コンプライアンスの面では、かなり遅れており、 問題が多いのが実情です。
中国に進出している日本企業の場合、報道されている中国餃子事件などの「教訓」からも多くを学び、現地での不正リスクに対する心構えはあるでしょう。しかし、その具体的な対処法を現地の日本人駐在員が十分に理解しているのかといえば、まだまだと言わざるを得ません。

そこには中国文化や現地の人たちの経済環境や労働に対する独特の意識などがあり、例えば日本の大手製造メーカの現地工場で働いている従業員の多くは、地方から出稼ぎに来ている人たちが多い。考え方や価値観も、日本人とでは、まったくもって異なり、従業員同士が結託して商品や金品の横領などの不正を働くというケースも現地では珍しいことではありません。
取引業者からのキックバックの横行、さらには社内人事の昇進を口実に、上司が部下に賄賂を求めるケースなどもあり、性善説での信頼関係をベースに成り立った日本の企業文化に慣れ親しんだ駐在員からすれば、そこで初めて「不正リスク」の実体に直面し、対応に窮する場面が多いのが実情です。
増加する駐在員の不正
また、最近、新たな問題として浮上しているのが、駐在員自身が不正に手を染めてしまうケースです。
日本企業の生産拠点等の経営資源が中国にシフトしている中で、現地のマネジメントを任せられている駐在員の権限は、意外に大きいもので、それが経費の乱用や横領、背任につながるケースが頻発しています。
先ほど上海は長期滞在邦人人数が最も多い都市であると述べましたが、そのほとんどの駐在員は管理職であり、日本では考えられないレベルの権限を現地で任されています。そうすると、中にはその権限を乱用しようとする者も現れる。実際、その後の調査で横領が発覚し、解雇に到ったケースもあります。
こうした最近の事例からも、駐在員を対象としたコンプライアンスや不正対策の事前教育も、実はとても重要であることが分かります。
掛け声だけでは組織内に定着しない
こうしたコンプライアンスや不正リスクをなくしていくためには、経営者がそれをどうやって阻止するかの具体的な指示を出さなければ、何も始まりません。なぜなら、コンプライアンスそのものは売り上げを生み出す生産活動ではないからです。
経営者が強いリーダーシップを発揮し、コンプライアンスと不正防止の仕組みを社内にどう作り上げるかについて、その予算の計上から重点項目の選定などの必要性をトップ自らがまず理解し、具体的な指示を出さなければ、絶対に組織内に定着しないものです。
そして何よりも不正リスクで企業が肝に銘じておくべきは、不正が起きてしまうと組織自体の雰囲気が悪くなり、モチベーションダウンにもつながるということです。組織が綻び始めると、社員同士がお互いに疑心暗鬼になり、信頼関係が崩れます。そうなると社員の定着率も悪化し、活気もなくなり、売り上げも減少していく。

そうした企業文化の崩壊の火種となる不正リスクに対して、早めに手を打って、コンプライアンス体制をしっかりと組織内に構築し、企業文化を守る。それが結果として企業の収益性の確保にもつながってくるわけです。
当社はそうしたコンプライアンスと不正リスク対策の支援会社として、世界的に先行している欧米の手法も含めた高い専門的知識を備えたスタッフが国内外で活動中です。創業以来、リピート率は100%。英語・中国語・韓国語など多言語での対応を強みとしており、海外に駐在員を派遣している日本企業からの相談も多いのも、当社の特色の一つです。(終わり)
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