不況期こそ、顧客志向、顧客維持に注力
ビジネスのプロフェッショナルを派遣、激変する経営環境に対応した強い組織に改革
横山 彰吾
不況期の今だからこそ、顧客志向
現在、米国発の世界的な金融危機で、企業の経営環境は厳しくなっていると言われています。ですが、環境の変化は3、4年前から起きており、その対応が求められていました。例えば、最近ではWeb2.0に代表されるようなビジネスに影響しそうなテーマにどう向き合うかの判断などがありました。こうした環境の変化に対応した強い企業になっていないということが、不況に対応できない理由の1つかもしれません。
とはいえ、今は不況を乗り切ることが重要でしょう。強い会社に生まれ変わるきっかけになると思います。そのためにはまず、顧客志向を高めていくことが大切です。不況でモノが売れない時代だと感じていることでしょう。ですが、それは、顧客が離れていくということとは別の問題です。不況が終われば顧客は戻ってきます。ですから、それまでの間、顧客のリテンション(維持)につとめなくてはいけません。
80年代、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が「選択と集中」という戦略をとり、業績を回復させたことは有名ですが、だからといって現在の不況下で「選択と集中」という対応を行なっていくことは疑問です。事業を切り離し、必要な人員を整理したら、その事業の顧客は戻ってきません。仮に、製品の改廃や値上げ、リストラを実行するとしても、「顧客へのベネフィットを提供し続けるため」という目的を説明すべきです。90年代以降の日本企業は、ものすごい円高、バブル崩壊による大変な不況にあっても、顧客のリテンションを防いだことが、その後の増収増益につながっているということを忘れてはいけないと思います。
ぶれない経営者と柔軟な管理職の組合せで
顧客志向を高めるにはどうすればいいでしょうか。そのためには、顧客が「なぜ買えないのか」を正確に把握し、その理由に応じて会社の持つ付加価値を提供していくべきです。例えば、生産財のメーカーが、よりサービスに注力していくような取り組みが、1つの答えです。
先ほど紹介したGEをはじめとする先進的な機械メーカーなどは、自分たちが製造した機械についても最初の購入者だけではなく転売先での状況まで、遠く離れていてもマネジメントできるしくみを構築し、顧客とのつながりを強めています。
変化の激しい経営環境に対応していくためには、販売からサービスへの転換や、WebやITの活用の判断のように、柔軟で迅速な事業展開が必要です。そのためには、マネジャーが柔軟に変化していくことが求められます。場合によっては、半年前、3ヶ月前とは言うことが違っていてもかまいません。環境の変化に現場が対応していくというマネジメントのスタイルです。
ただし、経営者の軸足はぶれないこと。会社が何を目指すのかということが定義できていれば、現場はそれに基づき、自由に判断し、事業活動を展開します。軸足がしっかりしている経営に基づいて、現場が柔軟に変化しているということが伝わればいいのです。節度ある「朝令暮改」ですね。
組織に密着したコンサルティング
我々が提供するサービスは、クライアントに入り込み、経営環境の変化に対応した体質革新を進めていくというものです。従来型のコンサルにあるような、改善計画を立てて、その進捗を管理していくというスタイルでは、激しい変化に対応できません。そのため、クライアントの「ベスト」を常に考えるビジネスのプロフェッショナルの1人が1社に張り付き、ともに議論を重ねながら、目先の問題を解決し、企業とその現場を改善していきます。
クライアントは主に、顧客との接点となるマーケティング部門や営業部門、コンサルティングの期間は1年間を超える場合が多く、長いお付き合いになります。こうしたスタイルは、いわゆるコンサルティング会社とは一線を画すものです。(終わり)