共創スクエア

株式会社イニシア・コンサルティング

ブランド新7つ道具とは

企業ブランドと競争優位性(第7回)

丹生 光

共創スクエア

ブランドアイデンティティーの具体化と実践を通じた組織進化が注目されている。そこでこれまで本連載では、企業組織の本質を変革し競争優位性を高めるためには、ブランド「を」マネジメントすることからもう一歩進めたブランド「で」全社をマネジメントする「トータルインナーブランディング」ということを力説してきた。
コーポレートブランディングは次への飛躍を目指す組織進化において、その方向性を示すだけでなく、大きな推進力ともなる。それを具体的な形で展開し、成果に結びつけるためにこのたびブランド7つ道具を体系化したのでご紹介したい。

ブランド7つ道具とは、ブランディングによる組織進化の15ステップを進めるための具体的な方法論である。それは2つのパートからなる。すなわち、ブランド構築からその認知・理解までブランド「を」マネジメントする「ブランド7つ道具」とブランド「で」組織進化をさせるためにブランドに組織が共感・行動し、成果をあげるまでの「ブランド新7つ道具」の2つだ。
いわば、前者は基盤編であり、後者は発展編と位置づけられる。あくまで、前者のブランドマネジメントの基盤が構築されていなければ、後者のブランドによる組織進化はありえないことには留意しておく必要がある。

ブランド7つ道具は、【1】ブランドアイデンティティー構築、【2】ブランドロゴデザイン体系、【3】アウターコミュニケーション、【4】インナーコミュニケーション、【5】グループブランド管理体制の構築、【6】グローバルブランディング、【7】知的財産権の保護と運用の7つで構成されている。早くからブランディングに取り組まれてきた企業は概ねこれらの要素はすでにクリアしているといっていいだろう。

さて、次なるブランド新7つ道具とは何か。それは、N【1】ブランド課題調査・設定(ブランド課題調査、課題設定、解決施策など)、N【2】組織ミッション・ビジョン創り(ビジョンストーリー創りによる社内ブランド展開など)、N【3】中期経営計画への組み込み(中期経営計画、事業計画、PDCAへの組込みなど)、N【4】コンタクトポイントマネジメント(トーン&マナー基準と適用、評価・研修、接点支援システムなど)、N【5】顧客関係性マネジメント(顧客状況理解・提案の仕組み、顧客情報システムなど)、N【6】商品・サービスマネジメント(企画開発基準、評価・フィードバックの仕組みなど)、N【7】IRブランディング(投資家視点の情報公開、投資価値ある中期経営計画など)の7つからなる。

これらはブランドアイデンティティー実現のためのブランド課題を設定し、組織ミッション・ビジョン創りと事業計画への展開を経て、ステークホルダー接点を変革し、顧客関係性をより深いものにするとともに新しい商品・サービスにより感動を与え、さらに株主にはロイヤリティを高めていただくことを狙いとしている。つまり、これらが実現されることによりはじめてブランドで組織を次のステージへと進化させることができるのだ。これらは決して前者の7つ道具だけでは達成できないことはお分かりいただけるだろう。
具体的な進め方としては、これらブランド7つ道具、および新7つ道具を先の15ステップと関連付けて体系的に進めることで大きな組織進化の効果を発揮する。(つづく)
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