共創ワークショップ

株式会社 ワーク・トラスト

各自が「心のパターン」を知り自己認知の上で、自律型人間へ

人材育成ができる人事に変われば、会社が変わる

田村さつき

共創ワークショップ

不況により、企業が軒並みリストラを断行している今こそ、逆に優秀な人材を確保するチャンス。しかし、大方の企業経営者の率直な思いは「コンパクトにしたこの戦力で、いかに業績を好転させるか」に尽きる。となると現有戦力の底上げ、すなわち人材育成が喫緊のテーマとなってくる。企業が行う人材育成が抱える課題、その解決法とはーー。

【ビズテリア経営企画 編集部】

経営者層と中間管理職層に大きなギャップ。そこに人材育成を巡るジレンマが……。

 2年前より昨年、昨年より今年と、深刻な不況の影響で企業の人材育成がなおざりにされているというのが、現場を見ている私の実感です。人材育成よりもコスト削減。人材育成のための研修費などはいの一番にカットされているのが現状ではないでしょうか。

 中間管理職層にうかがうと、「とにかく上からコスト削減と言われ、やろうと思うことがまったくできない。自分自身のモチベーションが下がっているのに、部下の育成どころじゃない」という本音が返ってくるぐらいです。完全に負のスパイラルに陥っています。どこから手を加えればいいのか、悩んでいるというのが率直なところではないでしょうか。

 一方、経営者層は、「(リストラで)コンパクトにしたんだから、このコンパクトな組織で売上げを上げて行きたい」という考えです。これは経営者として確かに当然の考えですよね。となると、そのためにはいまいる社員の育成しかないわけです。しかし、その原動力となる中間管理職層が、前述のようにモチベーションが目に見えて下がっている……。いま現場で見える人材育成の課題はこういうことです。人材育成が重要なことは分かっている。しかし、この不況でコスト削減するほかなく、人材育成にまわせる経費もない。社内環境も待遇面を筆頭にモチベーションを保てる状態ではなく、とても部下の育成まで余裕がない。ジレンマですよね。ですが、なにもしないでいては、それこそ会社の未来が見えてこない。

人事が変われば会社が変わる。今こそ「支援型の人事」が必要!

 私は起業以来「人事が変われば会社が変わる」ということをテーマに掲げ、その具体的な理想として支援型の人事部というものを強く推進してきました。人事の悪い例は明快です。社員をとりあえず採用するのです。そこにはなんらビジョンもなく、単に募集作業というものが日常化、義務化してしまっているんです。まさに、“お決まりの仕事”ですね。ですが、本来の人事とは、人材を育成する部署でなければなりません。人材を育成し、経営のパートナーとなれるような人事が、私が理想とする支援型の人事部というわけです。ただ上から目を光らせ、社内から「偉そうな特権階級」などと疎まれる存在ではダメです。

上司はメンター的要素が不足し、イマドキの部下は集団力が欠如

上司と部下との関係でいうと、以前と大きく違うのが、昔の上司はメンター的な要素を備えていたんですね。恩師や良き先輩として信頼もでき、相談にも乗ってもらえるような頼れる存在というとちょっと堅い感じですが、そういうニュアンスの魅力があったんです。ですから職場の内外でコミュニケーションが図れ、人間関係が円滑に動いていたんです。ところが、いまそういったメンター的な要素を持たない、あるいは持てない上司が非常に多くて、どうも円滑な人間関係を築けていない。そのため部下が思うように動かないんです。ですから、部下を持つ立場の管理者を、メンター的な要素を持った人材に育てるというのがまず人材育成の基本のひとつです。

 次に、上司の側から見ると、イマドキの若者をどう育てていいのかが分からないんです。以前なら年功序列の縦社会の中で、右向け右で団体行動がうまく行っていたものが、いまでは個性の時代になっていますから、なかなかそうもいかない。私は短大、大学、専門学校で非常勤のキャリア教育の講師をしていますが、ひと昔前はそんな常識的なことを教える必要なかった、ということまでカリキュラムに入れなければならなくなっています。ですから、イマドキの若者は常識に疎く、上司も大変なんだろうなあと想像できます。その要因ですが、やはりゆとり教育世代なのでしょう。いまの20歳前後は「ほめて伸ばしましょう世代」で、確かに個性的ではあるんですが、いかんせん集団力が弱いんです。いままでの育成プランや研修では立ち行かなくなっています。

 ただ、ここが重要なんですが、単に昔の磨き方ではダメだということであって、磨いても光らないということでは決してないんです。

まずはMBTIで自己認識、そこから拡がる育成の可能性

 ここまで人材育成に関していくつか課題を述べてきました。ではどうすればいいのかという解決法ですが、当社が推奨しているのはMBTI(囲み記事参照)といわれるものです。200人規模の企業に実際に導入いただいた例で話しますと、まず人事部長をリーダーとして、各部長に集まっていただき、人材開発プロジェクトチームを作りました。経営者の最終的な目的には、部長クラスにも変わってほしいとの思いがあったのですが、それを発信しては抵抗や反発が出るので、あくまでも部下を育成するためという名目です。

 その研修で私たちがまず行ったのが、このMBTI。これはユングのタイプ論に基づいた国際的な性格検査なんですが、私は性格検査とは呼ばず、一人ひとりの「心のパターン」が分かる方法だという風に認識しています。これにより、一律の教育ではない個人に合わせたアプローチが可能となるわけです。

 具体的に言うと、有資格者の元で行う検査で、その結果から人間を16のタイプに分類するものです。この分類は、人材育成の導入口で、それ以上でも以下でもありません。まず自分がどんな人間なのか、自己理解をしっかりとしてもらうことが目的です。自分のことが分からない人に、人を育てることなどできないですから。

 この16の分類には、優劣もなければ順列もありません。役割としては共通言語のようなものでしょうか。人材を育成するうえで、みんながみんな自分の価値観でモノをしゃべってしまうと、そこには自ずとミスコミュニケーションが生じるんです。ですが、このMBTIのタイプ論をベースにして話せば、ズレたりブレたりせず、問題を共有できます。

 特に私が強調したいのは、自律型人間になっていただきたいということなんです。なんでもかんでもすぐに他者の責任にすり替える、なにか問題が起きた時に言い訳ばかりを考える、そういう大人が増えているように感じますが、これは自分というものを認識せず、自分軸が脆弱であるためなんです。ですから「心のパターン」を知り、本当の自分と対面することによって、ブレない自分、自分軸の太い自分、自分自身をコントロールできる自分、すなわち自律型人間に成長していただきたいと思っています。そのための一つの方法として、いま現在MBTIは非常に有効であり、私たちはその有益な活用法を広く紹介して行きたいと考えています。(終わり)

■MBTIとは?
MBTI(エムビーティーアイ:Myers-Briggs Type Indicator)とは、世界45か国以上で活用されている、ユングのタイプ論に基づいた性格検査。回答した人一人ひとりが自分の心を理解し、自分をより生かすための座標軸として用いることを最大の目的としている。日本には2000年から正式に導入され、現在までに10万人以上の人がフィードバックを受けている。ソニーが全社導入するなど、近年日本でもさまざまな分野でその有益性が認められている。

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