「自己」(SELF)を鼓舞し「人々」(PEOPLE)に影響を与え「社会」(SOCIETY)をよりよいものへと変革していく。「リーダーシップ」は、図1のようにスリー・ステップを踏んでいきます。その基礎となる「セルフ・リーダーシップ」は特に重要です。他人を動かそうと思うならば、自分自身の内面が充実していなければなりません。なぜなら、「人を動かすとは、人の心を動かすこと」であり、その過程は心と心の「ふれあい」「せめぎあい」「ぶつかりあい」だからです。

さて、図1では「社会」を頂点に最終ゴールを設定していますが、実際には、図2のように、「自己」が「人々」へ、「人々」が「社会」へ、そうして与えた影響は、何らかの形で「自分のもとにかえってくる」という発想が大切です。現在、CSR(企業の社会的責任)という言葉がクローズアップされ、各企業は地球の未来を考え環境問題などに取り組み、その施策を広報素材として使用しています。ただ、CSRを経営とは切り離した、例えば、かつてよく口にされた「メセナ」や「フィランソロピー」と同じように、景気が悪くなったら経費削減の対象とし、中止してしまう一過性のものと捉えると本質を見失ってしまいます。

松山 淳 (Jun Matsuyama)
リーダーシップ・スタイリスト/MBTI認定ユーザー。「リーダーが変われば日本の未来が変わる」を理念に、ビジネスの現場で奮闘するリーダー層を対象とした個別カウンセリング(面談・電話・メール)、講演、研修、執筆活動など幅広く活躍中。

松下幸之助氏は「商売は私のものではない。私企業でありますけれども、その本質は、公の機関である」(『松下幸之助発言集』 PHP)と述べています。もちろん民間企業が「国の機関」であるということではなく、ここでの「公」とは「社会」のことを指し、「企業は本業と通して社会に貢献すべきだ」と松下氏は言っているわけです。つまり企業経営そのものが、社会的責任を果たすことです。温暖化対策、文化支援など部分的な施策だけではありません。今後CSRという言葉が、流行の経営用語にありがちなように廃れていっても、松下幸之助氏が言った意味での「公の責任」は企業が存在する限り未来永劫変わることはありません。

リーダーシップを発揮する立場にある人間は、社内の人々に影響を与えることで、社会に対しても少なからずのインパクトを及ぼし、その結果として自分をも変化させているという自覚を持つべきです。太陽が照り、海の水は雲となり、雨を降らせ、川になり、そして川は海に注ぎ込まれまた雲となる。そうした自然の摂理に似た「自己」「人々」「社会」をベースにした「循環思想」こそ、リーダーシップを考えるうえで忘れてはならいものです。

■この記事についてのお問い合わせ
アースシップ・コンサルティング