「幸せの定義」に共感する人を集め、責任と権限のバランスの取れた組織を作る
「社員のやる気を高める方法」トップ・コンサルタントに聞く
代表取締役 安澤 武郎
最近、「ブラック企業」と言われる言葉に代表されるように、労働環境の悪化がクローズアップされるようになりました。つい先日も、「たかの友梨ビューティクリニック」の社長の発言が問題となったばかりです。しかし一方で、ギリギリのコストで経営している企業も多く、やすやすと賃上げや労働時間の短縮には応じられない現状もあります。このような経営環境の中、どのように社員のやる気やモチベーションを高めたらよいか、専門家の方々に聞きました。
【社員のやる気を劇的に高める16の方法】
今回は、ペネトラ・コンサルティング株式会社 代表取締役の安澤武郎さんからの回答をご紹介します。
【ビズテリア経営企画 編集部】
社員の幸せを描き、それに共感する人を集める
ブラック企業かどうかは社員と企業の関係性で決まります。ハードな仕事環境でも社員が喜んで働く企業もあれば、ブラック企業として訴えられる事もありますので、労働環境だけで、ブラック企業とは言えませんし、逆に、労働環境を改善しさせすれば、社員のやる気は高まるということでもありません。
では、社員のやる気を高めるにはどうするかと言うと、まず、「経営の目的」=「社員の幸せ」という視点からスタートします。もちろん、幸せの定義は人によって異なります。
短期間で金を稼ぎたい人
家族との時間を大切にしたい人
仕事を通じて笑顔を増やしたい人
など、様々な価値観があります。
これらの様々な幸せの定義全てに、会社の目的を完全に一致させることは当然できません。しかし、一般的には、経済的な幸せと精神的な幸せの両方を追求することで活力ある人材が集まって活躍する組織を作ることができると言えます。
これを踏まえた上で、経営者が理想とする「社員の幸せ」を描くことが必要です。つまり、自社の従業員に限定した「幸せ」を定義することです。
「うちの会社で仕事をすると、こんな人生を送れるよ」
「こんな幸せを手にいれることができますよ」
などと示し、それに共感した人を集めて組織を作ります。
責任と権限のバランスの取れた組織を作る
しかし「幸せの定義」だけでは不十分です。同時に社員に対して権限をしっかり与える必要があります。責任と権限のバランスが崩れていると、社員は経営の責任と捉え、不平不満が噴出します。自分達の幸せを自分達で実現できる環境だと感じた時、社員は力を発揮するのです。
社員の幸せを経営者が描き、それに共感する人を集めて、責任と権限のバランスのとれた組織を作る。これによって社員のやる気は格段に上がるはずです。
高度経済成長期の終身雇用が当たり前の時代には「社員の幸せ」は何となく社会全体で共有出来ていたかもしれません。しかし、人々の価値観が多様化する今日ではもうそれは無理でしょう。その会社にとっての「社員の幸せ」を定義し、それに共感する人を集める。このような「この指とまれ」方式はこれから増えて行きそうです。
【ビズテリア編集部】