経営管理に必要なことは、従業員にやりがいを与える仕組みを作ることである
公認会計士・税理士 吉永徳好
1 経営者は従業員にやりがいをあたえる
事業者、特に中小企業からは、いい従業員が集まらない、いい従業員が長く続かないといったことを耳にすることがあります。
その原因がどこにあるかを考えている人は多くなく、また、考えている人でもどのようにして解決しようかと考え、具体的に動いている人は少ないのが実情でしょう。
経営者は、今後の事業運営をどのようにしようか、どうすればいいかを常に考えているでしょう。従業員も、今の企業に携わっていいのか、経営者に就いていっていいのかをも考えています。従業員に安心感をあたえるとともに、やりがいを感じさせる必要があります。
2 経営者のみならず、従業員にもやりがいを感じさせる未来図を
経営者は、会社の進むべき方向として、未来図である経営方針や中期経営計画を立案することはよくあることです。しかし、これらの中に会社で頑張る従業員に関することが記載されていない、記載されていたとしてもわかりにくく、従業員自身が理解できる内容になっていないことが少なくありません。
また、従業員にとって、未来図を示されたが、こんなのはできない、あるいは実現するためには相当大変なことをしなければいけないと思われたらどうでしょうか。
会社の今後の方向性を示したとしても、従業員は士気があがるどころか低下し、退職ということにもなりかねません。
そのためには、従業員にとって、容易にやりがいを感じさせる、未来図である経営方針や中期経営計画を示す必要があります。
3 従業員に責任と権限を与え進捗管理
従業員にやりがいを与える未来図を描けたら、これを実現するためにどうしていくかです。
まず、従業員に経営管理するための権限と責任を与え、従業員主体で、業務を行う体制を確立するとともに、会社の未来図の達成状況を適時に、把握、分析して、今後の見通しを明らかにする仕組み作りが必要であります。
従業員はやりがいのある未来図を会社から明示され、それを実現するために頑張ろうと感じています。
このような状況で、従業員が実施した達成状況の分析結果について、従業員との議論もなく、経営者が介入すると、せっかく頑張ろうと士気があがった従業員は、自分たちのことは信じてもらっていないと感じ、やる気をなくしてしまいます。
経営者主体ではなく、従業員主体で行っていくのが、未来を創るのに必要な経営管理でありましょう。
(以上)