共創スクエア

株式会社アクションラーニングソリューションズ

日本企業が今、取り組むべき組織開発

組織崩壊から脱し、真の組織づくりを実現する

斉藤 秀樹

共創スクエア
組織力や組織の自律性が向上しない理由
私はこれまで多くの企業、組織の組織変革に関わってきました。状況や現象は多様です。100社あれば100社の事情があります。しかし、その真因は大きく3つに集約されます。

 ●自組織の可能性や潜在能力をイメージできて(信じて)いない。
 ●組織マネジメントを理解し実践しているリーダーがいない。
 ●経営者に組織開発の見識が乏しく、コミットもない。
これは現在の多くの日本企業が抱える共通的な課題です。
なぜ組織が成長できないのか
この標題を見て読者はどのような印象を持たれただろう。そもそも組織が成長するものであることを真に理解し、日々のマネジメントで実践されていると感じた経験を持つ読者は居られるだろうか。

日本において人材開発ばかりに目が行き、組織開発が注目されない理由に、組織が成長するものだと認識している方が極めて少ない点が挙げられます。短絡的に横行している論理は「良い人材を取れば成果が上がる」です。この考えも確かに真実ではありますが、であるならば何故、私達は組織を形成し、組織で働くのでしょう。すべての社員を個人契約とし成果に応じた報酬を支払う方が極めて合理的ではないでしょうか。

私は仕事柄多くのリーダーの皆さんと対話する機会があります。そして同じ問いをします 「組織は何のためにあるのですか? 私達は何故、組織で働くのでしょうか?」 多くの方が「一人では成し得ない大きな仕事をするため。シナジーを生み出し大きな成果を生み出すため」と答えます。

すべて正しい回答です。そして次の質問をします。「では皆さんの組織は今、回答した通りになっていますか?」・・・・沈黙。

そもそも組織管理者の役割とは何でしょうか。組織シナジーを引き出し、現在のメンバーで可能な限りの最大の組織パフォーマンスを生み出すことではないでしょうか。

しかし、組織成長を前提としたマネジメントの指導を受けた方は極めて少ないのではないでしょうか。そうです、私達は組織成長を前提とした組織マネジメントを知らないのです。無論、多くのマネジメント理論が無意味だと言っているのではありません。それぞれのマネジメント理論は組織の成長段階に応じて適切に使用しなければ効果が低い(場合によっては逆効果になる)可能性が高いのです。

先にも述べたようにリーダーが組織を成長させシナジーを引き出すためには、組織成長プロセスと自組織の成長段階の見極め、そして、成長段階に適したマネジメントが必要なのです。酷なようですが、今、日本の組織に必要なのはトップを含め、組織マネジメントを実践できるプロの組織リーダーなのです。
組織の成長過程と組織の実情
組織の成長過程は4つのフェーズから成ります。

1:フォーミング、2:ストーミング、3:ノーミング、4:トランスフォーミング

この成長過程の中で組織シナジーが発現されるのは3:ノーミング以降です。ここで私達が衝撃を受けた事実があります。私達が接触した何千人というリーダーの皆さんに以下の質問をした回答の蓄積です。

「皆さんがマネジメントしている組織の成長過程はどの段階ですか?」

その結果、なんと80%以上のリーダーが1:フォーミング乃至は2:ストーミングと回答したのです。つまり、8割以上の組織でシナジーが生み出されていないのです。さらに現実は、昨今のメンタルヘルスなどの問題で、シナジーどころか頭数分の組織力も出ていないのです。これは彼らの直感的な回答ですが、私は最も現実を映しているものだと思います。
組織成長が生み出すもの
4:トランスフォーミング(達成期)は、桁はずれな組織力が発揮されている段階です。そして、この段階への組織成長に重要なヒントをアインシュタインの言葉「知識よりもイメージが重要」から得ることができます。私達にまず、必要なことは何らかの経験を通してトランスフォーミング期のチーム(組織)を体験することなのです。私達は具体的なイメージがなければ良い組織、強い組織とはどのような組織であるのかと言った向かうべきゴールを設定することができません。しかし、ほとんどの人たちがそのような経験を持っていません。

だからこそ、グローバルでは当たり前なチームビルディング、アクションラーニング、AIなどの組織開発メソッドの活用が重要になってくるのです。
組織開発へのコミットメント
人材開発も組織開発も短期的な視野では成果は出せません。スキルや知識の補充では時代の変化に柔軟に対応する人材も組織も構築できないのです。重要ことはゴールを皆が共有し中期的な視点で達成するまで継続的に取り組むことです。

そのためには企業経営者のコミットメントと支援が必要です。日本の未来は人材と組織に懸かっています。短期視点とともに中長期で社会と人材を展望する真のリーダーの出現を期待します。(終わり)
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