ブランド戦略を進める企業がたくさんあります。
その理由は
他社と差別化するためだったり、
顧客を囲い込むためだったり、
プレミアム価格を設定できるためだったり、と様々です。
最近では、フェイスブック、ツイッターなど、
ソーシャルメディアが普及したことで、
ブランド戦略を取り巻く環境も変化してきました。
これまでは、情報を一方的に受けるだけだった消費者が、
みずから情報を発信したり、
共有したりするようになってきたからです。
このような変化が、
マーケティングの在り方にも
確実に変化をもたらしています。
そこで今回ご紹介するのは、
「次世代共創マーケティング」(池田紀行、山崎晴生 著)
売り手が一方的に考えるマーケティングではなく、
買い手である消費者が参加し、一緒になってマーケティングを進めていくやり方を紹介しています。
従来のブランド戦略でも、「ブランドは消費者のもの」
と言われてきましたが、
そのときのマーケティングの主体はあくまでも売り手であり、
売り手が仕掛けた結果、買い手の中に生まれるものとしてブランドがあるという位置づけでした。
しかし、共創マーケティングでは、
売り手と買い手の両方が主体となり、
双方のコラボレーションの中でブランドが培われていく
という意味において、これまでのブランディングとは本質的に異なるものです。
そういった意味で、この「次世代共創マーケティング」(池田紀行、山崎晴生 著)は
これからのマーケティングの在り方を知る1冊だと言えるでしょう。
ところで、この「共創マーケティング」という考え方。
実際のマーケティングでどんな事例があるのか、少し考えてみました。
思い当ったのが、AKB48のプロモーション。
年末のNHK紅白歌合戦で彼女達は、
ヒットソング「恋のフォーチュンクッキー」を披露していました。
ご存知の方も多いと思いますが、
この曲に合わせて、ダンスをする動画が様々なバリエーションでYoutubeに投稿されています。
投稿しているのは、ファンや一般の人達です。
友達同士で集まり踊っている動画、
大学のサークルメンバーで踊っている動画、
地域の人たちで踊っている動画、
さらには、
企業、自治体などが自分達のプロモーションを兼ねて踊っている動画まで、
様々な形で、「恋のフォーチュンクッキー」を踊っています。
いろんな人たちの踊る動画がアップされることで、
この曲に付随するイメージに厚みが増しているような気がします。
これが売り手の作ったプロモーション動画のみしか公開されなかったとしたら、
この曲はここまでのヒットになることはなかったかも知れません。
売り手のアップした「恋のフォーチュンクッキー」のオフィシャル動画を見て、
買い手の消費者が自分達ならではの動画アップして、そこに新しい意味が加えられる。
結果、この「恋のフォーチュンクッキー」は
売り手、買い手、両者の想いが折り重なった新しい価値を帯びることになり、
これが、共創マーケティングの典型例ではないかと思いました。
他にも探せば、いろいろな事例が見つかるでしょう。
共創マーケティングはこれからのブランド戦略を知るための
重要なキーワードの1つです。
次世代共創マーケティング