戦後70年を経過し、高度成長を支えてきた様々な仕組みが軋みはじめてきた結果がバブルの崩壊だと考えられます。
今後、景気が回復してもバブル前のような状態にはならないということを肝に銘じて対策を考えなければなりません。
残念ながら各方面から聞こえてくる声はバブル崩壊前の状況にどうやって戻るかという論調で、新しい仕組みを作りそれに合った発想でこれからの社会や経済を作り直すのだという声が聞こえてこないのはどうしてなのでしょうか。
業務改革も同様に今までとは異なる発想で立ち向かう必要があります。
高度成長時代には仕事はどんどん増えてくるので、どうやって対処するのかが大きな課題でした。
基本的に同じ人数で多くの仕事をこなすことが業務改善でありそのためのIT化も推進してきたのですが、これからの時代は無駄な仕事を極力減らして人も減らすことで改革を実現しなければなりません。
ほとんどの組織では半分にすることに大きな困難はありません。その後同じことを繰り返せば当初の1/4にすることも可能です。
もちろん、無駄な仕事はしていないという反論があるでしょうし、その通りだと思います。 それではどうやって減らすかといえば、上司、そして経営者が
〇 管理職の仕事は仕事を減らすことです
〇 減らしても会社は困りませんよ
〇 もし問題が起きても評価の減点はしません
〇 むしろボーナスを上げますよ
というメッセージを伝えれば実現は可能になります
無駄という言葉に抵抗感はあるでしょうから
〇 優先順位の低い仕事
〇 緊急性の低い仕事
と言い換えるとわかりやすいと思います。
以前、まだメインフレームのコンピユータを使っていた時代には計算結果は画面で見たり表計算プログラムにダウンロードするのではなく、基本的にすべて決められたフォーマットで印刷するという時代がありました。
各部門からの要求に応えているうちにアウトプットの量が膨大になり大量の紙を使用するようになるばかりかそれらを各部門に配布するのも大変になってしまいました。 コンピュータ部門は何とかアウトプットを減らそうと毎年アンケートをとって必要性を調査していたのですがどの部門の回答も必要ですということなので減らすことができませんでした。
この時の具体的な提案はコンピュータ部門の判断で不必要と思われるアウトプットは一方的にやめてしまいなさい、もし配布先部門から問合せやお叱りを受けたらその資料だけ追加で作成してくださいということでした。
何が起きたかというとどの部門からも問合せやお叱りはなかったということで無事にアウトプット量を大幅に削減することができた訳です。
組織が大きくなると実際の担当者と窓口担当者が分かれ、自部門でのニーズも把握できなくなるので安全サイド(この場合で言えば資料をとりあえず受け取る)の判断が働くということです。
人間ですから聞かれればあったほうが良いと答えるのは当然です。
もしなかったら、から発想と議論を始めると異なる意見が出てくるかもしれません、例えば今まではこんな資料だったけれどこんな資料はできないのかというようにデータがより良く仕事に反映されるようになるかもしれませんし、相手の仕事についての理解も深まります。
簡単な方法は自分のやっている仕事をすべて箇条書きでリストアップしてみます、できればA4の紙にちょうど入るぐらいの分量を重要と思われる、緊急性が高いと思われる順番に書き出し、紙を半分に折って下半分の仕事はやらないようにします。
そんなに簡単にはできません、と言われますがやってみると意外に簡単です。
もっとも、組織の規模や仕事の内容、様々な人間関係等が絡みますので一般論だけでは解決しないこともあります。