共創スクエア

株式会社コーチングネット

五感を生かした次世代リーダーのためのパワーNLPコーチング術

「自分が変わる」。そして社内に「変革の場」を創るリーダーの育成

木村 佳世子

共創スクエア
「経験則」が育成の足枷にも
NLPとは自分の脳・心・身体の関係性をきちんと理解して、そのための仕組みを頭の中や身体の中に作り出すものです。
欧米のコーポレートユニバーシティを持っている大企業などでは、NLPやコーチングを必ず採り入れています。日本でもここ数年、ビジネスの営業やマーケティング分野、さらには医療やスポーツの領域で、よくNLPが使われるようになりました。

ではなぜ今、企業内マネジメントや次世代リーダー育成にNLPを使ったコーチングが注目されているのでしょう?
一つの例を挙げましょう。GEの元会長兼CEOのジャック・ウェルチ氏は、自らコーチングをし、自身の後継者を選び出した際に、その理由を問われ「彼は私とまったく違う答えを出したからだ」と答えたそうです。
つまり「時代は移り変わるもの」。自分の経験則が未来永劫、役に立つわけではない、ということを理解していたジャック・ウェルチ氏ならではの考えがその根底にあったわけです。

しかし、こうした発想で後継者選びができている企業は、まだまだ少数派です。
多くの日本企業の上層部は、部下に対して自らの経験則による思考パターン、行動パターンでの答えを出し、そうした号令を常に発しているのが現状です。
しかし、それでは部下は思考しませんし、環境の変化や時代の移り変わりに対して柔軟に対応できるような「脳」は鍛えられません。

経験則とは学習効果であり、過去の育った環境で身に付いた考えや信念です。しかし、あまり経験則にとらわれてばかりではそれ以外の自由な発想を生むという選択肢を潰してしまう危険性も、そこにはあるのです。
リーダーに必要な「質問力」
私はそうした意味でも、これからの次世代リーダーには「質問力」が必要だと思っています。効果的な質問がいかに思考の活性化を生むかを知っていることが、これからの企業内マネジメントの中でもカギになってくると考えるからです。

なぜなら、人間には前述のように経験則に基づいた思考パターン、行動パターンというものがあります。そこに質問を投げかけることで、それが中断され、新たな考えや新たな答えを探し出そうとします。
コミュニケーションとは単に情報や知識を得るためだけでなく、人間の自浄作用、メンタルヘルスにも有効です。質問力とは、そうした人間の状態を変えることでもあり、それによってもっと多様な意見やアイデアを引き出すことにもなります。
パターンを意識的に「中断」させる
今の時代、企業のエグゼクティブが自らのコーチングを雇うのは、そうした経験則の塊のような自分のパターンを打破し、新しいアイデアを引き出すための質問をコーチからもらうためです。
知識や考え方については、学ぶ機会や場は世の中に溢れています。しかし、脳のクセになっている思考パターン、言語パターン、行動パターン。これらは無意識にやっていることですから、自らは「中断」ができません。

よって、コーチ役が意識的に「中断」し、新たな選択肢や、アイデアの再統合などに関わる必要があるわけです。
例えば、普段、私たちが朝起きてベッドから立ち上がるときも、「今日はどのように立ち上がろうか?」などとはいちいち考えません。それは「パターン」という過去の学習効果の進んだ脳があるからです。

しかし、見方を変えれば「こんな風に今日は起き上がってみようか」という「他の方法」はそこにはないということです。
実はこの「他の方法を」ということがNLPではとても大切です。それは「今日は何を手に入れるために、どうやって起き上がってみようか」という意図を持つことであり、それがゴールに対しての戦略でもあるからです。
今、日本の経営者が次世代リーダーに投資をすべきものとは、そうした選択肢を増やす質問を投げかけ、パターン中断と未知への挑戦をさせる「コーチ役」なのだと思います。
五感での感覚情報
NLPと次世代リーダーの育成という部分では、もう一つ、日本人の多くが感情や感性をビジネスに生かしていないということも大きな課題です。
なぜなら、今のビジネスの現場ではいわゆる五感を使わない言語が非常に幅を利かせているからです。
しかし、人間の脳とは、そもそも外部情報を五感を通して収集しプロセス(処理)することでしか物事を理解できない構造です。五感とは感覚であり、それらの集合体が感情であり、「感情こそが情報」であると言えます。

一般に会議などでよく「問題を認識している」とか、「解決する必要がある」といった五感を使わない言葉が飛び交います。しかし、「認識している」と思えるのは一体どういう状態なのかは、絶対に五感を探らなければ脳は分かりません。分からないから行動できない。

そもそも五感の感覚に端を発する「感情」こそが、人間が唯一理解できる情報です。言語とはそうした感覚が処理される中で、その人の体験や解釈のモデルに変換されているものに過ぎません。つまり「言語」自体は本質を捉えていない可能性もあるわけです。情報が記号化され「省略・歪曲・一般化」が日常的に行われています。

しかし、ビジネスの現場では逆で、よく「感情でものを言うな」という意見を耳にします。なぜそうなるのかというと、ビジネスの世界では言語、つまり論理を聞くと人は安心するからですが、言葉の齟齬が生まれる危険性が潜んでいます。
世界的に著名な優れた経営者や卓越した投資家と呼ばれる人の中には、多彩な趣味人や冒険家が多い。それは彼らが自らの五感情報の収集力を鍛えたいと思っているからです。
「非言語」と「言語」の両方を網羅
そもそも五感から言語に落とし込んで伝えられる情報は、わずか7%しかありません。それ以外はすべて非言語です。
一般にコーチングでは、この言語でのアプローチをしますが、私が提案している「パワーNLPコーチング」では非言語、言語の両方を扱いより深層にある情報にアプローチします。

当社ではNLPを単なるテクニックとは捉えてはいません。「習慣を変える」というスタンスから長期型の研修をモットーに、質問のやり方よりも先に、まずは相手がどういう五感情報を手に入れ、どんな背景と判断を持つ人なのかを「五感情報」で観察する方法を学んでから、コーチングの実践をしていきます。

まずは自分が変わる。そして社内に「変革の場」を創っていけるリーダーになってもらう。私のミッションはそこにあります。
大切なのは、自分が構築してきたものにある種の確信を持つのと同時に、「それだけではない。まだ自分には可能性がある」ことに気付き、それを次の世代の人とともに作っていけるようなリーダーの育成です。
それはその人にとって、人生の豊かさの実感でもあり、ある意味では会社を超え社会に対しても違った貢献ができるという喜びでもあるのです。(終わり)
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