ジェフ・ベゾスは今や誰もが知る、ECサイト、アマゾンの創業者です。
彼はマスコミ嫌いと言われ、これまで、彼自身のことは秘密のベールに隠されてきた感があります。
今回、ジェフ・ベゾス自身がこの本の著者、ブラッド・ストーンに取材を許可したことで、
「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」の出版が実現しました。
アマゾンの創業者がどのような人物なのか、
どんな考えや想いから会社を設立し、
ここまでの巨大企業にまで成長させたのかを
この「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」では
知ることができると思います。
ところで、ジェフ・ベゾスは、
これまで、様々な機会で、
アマゾンが重要視する3つの視点について触れています。
それは、
顧客中心、長期視点、創造、
の3つです。
どれも、どこかで聞いたことのあるような言葉ですが、
ジェフ・ベゾス氏は、
「これら3つ全てを、本当の意味で実践している企業は少ない」
と述べています。
顧客中心といいながら、
いつのまにか、
競合他社のことを注視するようになったり、
自社内の上司や社長からの評価だけを気にするようになったり、
と顧客から離れてしまう罠があることを指摘しています。
またアマゾンの言う、長期視点は
多くの企業の言う長期よりもさらに長い期間を指しているようです。
「多くの企業は2,3年うまく行かないと、その事業をあきらめてしまう。
アマゾンは、1つの事業に対して5~7年のタイムラインを持っている。
我々は辛抱強い」
と述べています。
そして、次世代を見据えた新しい創造。
つい先日も、アマゾンが数年先の実用化を目指して、
倉庫から顧客の届け先まで、小型の無人ヘリコプターで配達する
研究開発をしていることが報じられたばかりです。
このように、アマゾンの創業者の持つ、こだわりには、
当たり前の様で、実は奥深いものがいくつもあります。
今回、出版した「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」の原書のタイトルは
the everything store Jeff Bezos and the Age of Amazon
となっています。
この "everything store" は
「全てを販売する」と訳されますが、
それは、どんな意味なのでしょうか?
全ての商品をアマゾンのサイトで売るということでしょうか。
ネットのみならず、実店舗まで販売場所を広げるという意味でしょうか。
日本国内でアマゾンの競合と思われるのは、
Yahoo JAPAN や楽天などでしょう。
今後、これらの企業にはさらなる攻勢がかけられるのは間違いないでしょう。
しかし同時に、アマゾンの今後の事業展開次第では、
実店舗を持つ、スーパー、百貨店などの小売業界も競合かもしれません。
物流網の整備を進めているという意味では、
物流会社、運送会社も競合になるかもしれません。
"everything store"の持つ本当の意味は、
アマゾンのしかける次の1手が、
日本の様々な業界に影響を及ぼすことなのかもしれません。
ジェフ・ベゾス 果てなき野望―アマゾンを創った無敵の奇才経営者