2013/07/10
私が以前、広告営業をしていた時の話です。
広告の契約を取ろうと、いろんな所に電話をかけていました。
その手法はこんな感じです。
電話をかけて、
「○○という雑誌で取材先を探しています。ちょっと話を聞いてもらえませんか?」
「取材」という言葉で、少し興味をもってもらい、
電話口で説明をしていき、最後に
「実は少し費用がかかるんです。」
と伝えると、
「お金がかかるんだったら、やらない」
と断られてしまうことがほとんどです。
中にはもっときついことを言う方もいらっしゃいました。
「だったら、最初に取材とか、紛らわしいことを言うな!」
みたいな感じです。
そんな営業活動をしているある日、電話口で、
「営業は一切お断りしている。広告なんかに興味がない。それでも会いたいなら来てもいいよ。」
といった感じのことを言われました。
そして、そのお客様の場所も、当時の事務所から、電車で何時間もかかる所にあり、もしそこに訪問すれば一日がかりのことになりそうです。
電話で話した感じでは、どう考えても、広告ニーズがあるとも思えなかったのですが、「来るなら来てもいいよ」という言葉がひっかかり、
とりあえず、「では、ご挨拶に行きます。」ということでアポイントを取りました。
そして、当日、その方の事務所に伺うと、
やはり電話口での感触のとおり、
「広告なんかには興味がない」ということをおっしゃっていました。
「広告を出すのは、お金をドブにすてるようなものだ」
とも言ってました。
それから、なぜ、広告は無駄なのかについて、
何十分にもわたる話を聞かされ、まさに独演会状態です。
広告営業をしている私としては、その話の中で、
いろいろと反論したいことも多々ありましたが、
ずっと、あいづちを打ちながら話を聞いていました。
そして、長い長い、「広告不要論」の演説会が終わった時、
思わぬことが起きました。
「で、せっかく遠くから来てもらったんだから、広告を出してみようか?
とりあえず3回連載でいいかな?
明日、振り込んどくから、請求書出して。」
「えっ」
自分の耳を疑いました。
直前まで広告なんかいらないと言っていた人が、
広告を出そうと言って下さっているのです。
しかも3回連続で。
広告費用はそんなに安いものではありません。
一回の掲載で何十万もします。
3回連載ということは、もう結構な数字になってしまいます。
いま振り返っても思いもかけない、受注でした。
「営業は一切お断り」、「そんな商品いらない」
などお客様から言われても、
それを真に受けてはいけません。
お客様の気持ちは突然変わることがあるのですから。
営業は最後まで、何が起きるかわかりませんね。