共創スクエア

株式会社ビジネス アソシエイツ

業務改革を成功させるクラウド活用

成功の鍵は企業体質の転換

横山 彰吾

共創スクエア

企業におけるクラウドコンピューティング導入が加速している。IDC Japanの調査によると、同市場が年平均25.2%の成長率を見せ、2013年には1521億円の規模になるとのことである。現状、特にSalesforce.comを筆頭とするCRM/SFA領域での導入・活用は、むしろ常態化してきているともいえる。

いうまでもなく、クラウド導入のメリットは、自社でIT資産を保有しないことによる投資の抑制や、導入の迅速性などにあり、適応領域を選んでうまく取り入れることで大きな効果が得られるであろう。

経営改革の現場の感覚でクラウドをとらえてみると、一般に言われるメリット以上のものが見えてくる。昨今の、「変化が激しい経営環境に非常にフィットするものである」という側面が何より大きい。なぜなら、かつてのように「業務プロセス設計」を一度行ったら、それでしばらく通用するというものではなく、今は環境変化にいかに早く業務を適応できるか、ということが求められるからだ。

そのために活用にあたっては、「永遠にβ版」的な認識・発想が必要であり、それが可能なのが低コストでカスタマイズ性に優れた、完成度の高いクラウドサービスだ。たとえば業務プロセスも、とりあえず気になるところからでも作ってみて、使いながら新しい業務プロセスを試してみる。それを繰り返しながら、BPR(業務の再構築)とシステム活用が同時に実現されていく。という流れである。いわば、組織や業務の進化を、「仮説検証型」にしていくということなのである。

これは従来のシステム会社によるシステム導入にはなかった発想であり(言葉では言っていたかもしれないが)、クラウドのメリットを最大限活かせる領域である。

ではそのクラウド活用型の「仮説検証型」組織にしていくには、どのようにすればよいか?まずは活用・運用の主体性を自社内にもつことである。従来の「システム開発プロジェクト+システム会社による保守」という形から、「自社の業務の一環としてのカスタマイズ+サービス活用」になる。これまでは、導入時にしっかり時間をかけて自社の業務に最適化したものを作り、変更がしたければ、都度外部ベンダーに費用を支払ってやってもらうという流れであった。ところが、クラウドになると、常に変更が可能であるがゆえに、「使いながら改善していく」というサイクルとなる。

それを実現するには、業務のことをよく分かっていて、かつそのクラウドサービスのユーザー(管理者)としてある程度のカスタマイズができ、必要に応じてそのサービス業者へのエスカレーションができるような、システム面での切り分けをする、といった“クラウド活用プロモーション(推進)”機能をもつことである。

その機能が日本企業には意外と少ない。仮にあったとしても、優秀なスタッフが片手間で行っていたり、逆にコミュニケーション能力や現場経験はないがPCには詳しいというスタッフが担当する場合も見受けられる。

現実問題として必要なのは、その機能を動かすためのスキルである。カスタマイズというのは、「テクノロジの専門家であるシステム会社がやるほどではないが、事業会社の普通の人だと難しい」というタイプの業務。さらには、エスカレーションや他システム連携のための取組みテーマの切り出しができる、IT知識もある程度必要である。当然ながら、そこに業務知識やユーザーとのコミュニケーション能力もなくてはならない。

また、クラウドのシステム自体が、比較的「部門主導」で導入されることが多いがゆえに直面する課題も存在する。 部門主導はスピード感もあり業務に密着した形でのシステム導入になるというメリットはあるが、一方で、部分最適への暴走を防ぎ全社のIT方針と沿ったものにするとか、他システム連携や、認証の統合など、さまざまな課題があり、コーポレートのIT部門との関係をマネジメントしなくてはならない。

また、経営陣が最も心配する、「いつまでどれだけ使ったら、作った場合よりも高くなるのか?」といった費用対効果、それも時間軸を考慮したほかのオプションとの比較ができなくてはならない。もちろん定量的な効果だけではない点も、経営陣に知ってもらう必要がある。話題性があるがゆえに、特にそういった起案、説得、共有、応援を得るという対経営陣の関係のマネジメントも重要になる。

こういった要件を満たせてこそ、本来のクラウドのメリットを享受できる。 しかしながらこういった機能を企業のコアとして、正社員で担うべきかという課題がある。昨今は本当に会社の将来を担うコア人材でなければ、プロパーとして保有しておくことにも躊躇する時代である。また、これは必要工数が変動する機能なので、そのためのヘッドカウント確保は難しい。

そのような課題に直面される企業も多いため、私どもは、特にクラウド活用度が高い営業・マーケティング部門を対象に、「営業ITチーム」の確立とその機能の「BPO」を推奨している。要は、従来の営業の業務支援機能の一部を、流動的な「業務改革・ITの専門チーム」にしようということである。BPOといっても、単なる工数補完ではなく、最小限のチームで最大限の効果を出すことが目標である。

実際に当社のお客様でも、そういった体制でクラウド活用を成功させ、自力では導入できない海外新興国への展開を加速したり、市場の変化をいち早く捉えられるよう入手データや分析方法を常に進化させ、効果を出し続けている。

現在、すでに何らかのクラウドのサービスを活用している企業、あるいはこれから導入をしようとしている企業の活用部門には、ぜひとも以上のようなことを自己評価していただき、新たな業務プロセス・体制を構築して成果をものにしていただきたい。
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