共創スクエア

株式会社 HFMコンサルティング

顧客価値向上を実現するマネジメントとは

競合他社に負けないビジネス戦略の基本は顧客ロイヤリティ獲得である

本田 伸孝

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一般的に、商品サービスを利用した結果に対する利用者の反応は、利用前に考えている"事前期待"と利用後に感じる"実績評価"の関係から「満足」「不確定」「不満足」というカテゴリーに分類することができる。

この「事前期待」を構成する要因が「満足度要因」に他ならない。この構成要因を的確に把握し、その内容に基づいたサービスの提供や営業活動を行うことにより、「実績評価」を高め、満足と感じる利用者層を増やすと同時に不満足と感じる利用者を減らすための営業活動の実践が求められる訳だが、これこそが「顧客価値=顧客ロイヤリティ」を高める経営戦略の基本にほかならない。

企業における「事前期待」を構成する要素を考えると以下の4種類に分類できる。

【ハード面】
商品サービスを直接提供する店舗施設やコールセンター等の受付施設やインターネットに代表される機械化対応状況等サービスを提供する「場面」の充実度

【ソフト面】
取扱う商品やサービスの内容(価格や機能・品質の優劣)と品揃え、サービス提供時間や営業時間等のサービスシステム、広告宣伝に代表される利用者への告知方法、相談窓口の設置や苦情への適切な対応等「行為」の充実度

【ヒューマン面】
的確・均質な接客態度と差別のない公平な応対、豊富な業務知識と熟練した接客技能、商品サービス内容の分り易い説明態勢等サービスを提供する職員の資質に代表される「人的スキル」の充実度

【ポリシー面】
明確な経営方針と透明な経営体質の公示、具体的業務運営計画の公示および地域社会への具体的貢献活動内容の公示等に基づく「信頼性」と「安全性」の確立  以上の内容は、経営資源そのものであり、当該要因が利用者であるお客様にどのように評価されておいるのか、明確に見極めた上で営業活動を行う仕組みづくりを行う事が「経営におけるマネジメントの真意」である。

利用客の立場に立ったサービスを提供し、利用者が全て「満足」と感じたならば、その客はリピート客となり、更には口コミで新たな客を引き連れてくることで労をせずに利用者を囲い込む事ができるシステムを築き上げることが出来るが、反面、不満足と感じる利用者を作り出してしまえば、リピート客を作れないどころか、悪評をたてられ、利用しようとしていた利用者まで失う可能性を秘めている。

一度失った利用者を取り戻すには10倍の労力を要するといわれるが、環境が激変する現在、過去の失敗を取り戻すことは至難の業である。「不満」と感じている利用者に対して適切な対応をとらなかった場合の機会損失を如何にして抑えることができるかが、経営マネジメントの重要テーマとなる。

利用者を拡大するために最も効果のある対策としては、価格・手数料の優遇~低位化や特典の付与が考えられるが、これは一見客を如何にして獲得するかという一過性の営業戦略にしかすぎない。「価格・手数料の優遇~低位化、特典の付与」を先駆者的に実施したとしても、競合他行が追随すればマーケットでの魅力は薄れ、常識化されてしまい「低位に収斂」し、結果として経営そのモノを悪化させる結果をたどることとなる。

利用してもらい「満足」と感じる利用者を如何にして増やすか利用者主体の経営を実現することこそが、経営マネジメントの考え方に他ならないが、これは、利用者が企業に対して何を求めているか、前述の4つの項目を基準に、利用者の評価情報を様々な角度から検証し、企業にとって「有益な利用者」「守るべき利用者」「攻めるべき利用者」「選択すべき利用者」に分類し、利用者別の営業戦略を構築することを意味しているのである。

営業活動の基本命題を「いつ、誰に、どこで、何を、どのように」売っていくのかとした場合、効率的な営業活動を実現するには、想定されるお客様接点を効率的に組み合わせることが必要になるが、接点をお客様とのコミュニケーションシステムと考えた場合、お客様と企業との双方向の意思伝達システムと発想を転換する必要がある。

すなわちコミュニケーションの仕組みという位置付けで、提供すべき商品やサービスの特性を加味しながら最適な接点を選択してお客様に提供できる体制を作ることが重要なのである。

本来、「商品サービスの質」「売り方の質」を高めることでお客様満足度を向上させ、結果として取引することによるお客様価値が向上し、最終的な利益が生み出されるという一連の要因関係が成立するが、お客様と接する場面の対応=売り方の質=担当する職員資質を高める組織的な体制も併せて整備する事も重要なのである。
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