60秒以内にすぐ褒める - やる気のある行動を賞賛という報酬で強化する
「社員のやる気を高める方法」
代表理事 渡辺 智英
最近、「ブラック企業」と言われる言葉に代表されるように、労働環境の悪化がクローズアップされるようになりました。つい先日も、「たかの友梨ビューティクリニック」の社長の発言が問題となったばかりです。しかし一方で、ギリギリのコストで経営している企業も多く、やすやすと賃上げや労働時間の短縮には応じられない現状もあります。このような経営環境の中、どのように社員のやる気やモチベーションを高めたらよいか、専門家の方々に聞きました。
【社員のやる気を劇的に高める16の方法】
今回は、NPO法人 つくばこころの相談ネットワーク 代表理事の渡辺智英さんから回答を頂きました。
【ビズテリア経営企画 編集部】
60秒以内にすぐ褒める
社員のやる気やモチベーションは、会社にとっての「前向きな行動」と言えます。その行動を増やすには、まず「褒める」ことが必要です。行動に「賞賛」という報酬を与えることで行動は強化されます。
この時に重要なのは、すぐに褒めるということです。つまりタイミングを逃さないことです。褒めるべき行動の発生から60秒以内というのが1つの目安になります。これは60秒経過した後が最適ということではなく、早めれば早いほど有効と言われています。
では具体的に「どんな方法で褒めたらいいだろうか?」と考える経営者やビジネスリーダーの方も多いでしょう。しかし、前述のとおり、褒めるタイミングが重要であり、その方法はシンプルなものでも構いません。賞賛のメッセージが伝わるだけで十分です。
親指を立てる仕草やokサイン、グータッチ、ハグ、などなんでもいいです。静かに頷くだけでも効果的です。顔を引きつらせて褒めるくらいなら、行動が発生した直後に軽く頷くだけでも行動は強化されます。尚、賞賛のメッセージが届いていない可能性もありますので、褒めた後は部下や社員をしっかり観察する事が前提となります。
叱ることは避けるべき
この「褒める」の反対に「叱る」は、不適切な行動へ「注目」という報酬を与えるため、避けた方が無難です。思わず叱ってしまった時は、その場で行動を修正させ、それを褒める。すると修正された行動は強化されます。
このように「すぐに褒める」はシンプルですが、行動を強化する基本的なスキルであり、これを実践していくことで、社員のやる気やモチベーションは向上して行くでしょう。
褒めることを実践している方は多いと思いますが、「60秒以内」と言われると、そこまでタイムリーにやっている方は少ないかもしれません。自分自身のことで忙しいと、つい部下を褒めることが後回しになってしまいがちです。経営者やリーダーには部下を褒めるための時間的、精神的余裕が必要なのかもしれません。
【ビズテリア編集部】